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DATE/ 2017.12.01

会社を辞めるベストなタイミングとは?

 転職業界が「売り手市場」として活気づき、さまざまな職種で人員・人材不足、求人倍率が回復してきています。働くこととは生きること、そろそろ自分の働き方改革をしていきたいと思っている方には追い風かもしれません。

キャリアを考えて前向きな転職を

 お給料も出世も頭打ち。やりたい仕事から離れてしまったなど、先のキャリアを念頭に今の会社を辞めて転職を考える方も多いと思います。「就職はお見合い」というのは有名な例えですが、仕事は人生の一部です。今の上司や会社そのものと価値感が合わなくなってしまえば、この先一緒に歩んでいくことは難しいでしょう。

「もっと給料のよい会社に」「ワークライフバランスを考え直したい」「仕事内容を今より充実させたい」など、そうした夢や希望は自分から動かなければ変えることはできません。「今の会社に申し訳ない」「仲間たちのことを考えると後ろめたい」など、なかなか踏ん切れないこともあるかもしれませんが、それとは関係なく回っていくのが会社であり、社会です。

 ならば、自分の夢やこの先のキャリアを考え、意を決したら、今の会社を辞めて転職活動をはじめることです。

辞めるタイミングは難しい?

 スタッフの周りの退職・転職経験者に「退職や転職にあたってもっとも苦労したことは何か」と訊くと、かなりの割合で出てくるのが「前の職場の退職」という声でした。なるほど、確かに引き継ぎやら残務整理やら、ネックになる理由はいくらでも出てきそうです。

 大手転職コンサルタントでは、最低でも3ヶ月前からは準備期間を設けることが勧められています。はじめの1ヶ月を情報収集と応募に当てて、翌月に面接、採用が決まったら上司への報告、引き継ぎなどに最後の月を費やすといった割り振りです。

 とはいえ、現実はなかなかスムーズには進まないもの。繁忙期に退職の報告が重なってしまって受理してもらえなかったり、次の人員が見つかるまで待ってくれと、半年近く延期をさせられた、なんて話も耳にしました。法律では1ヶ月前に申告すれば退職できるものなのですが、場所によってはそうもいきません。あらかじめ後任のためのマニュアルや指示書を作っておくなど事前準備をしておくのがベターでしょう。

 また、新卒採用や決算など企業のイベントが多い4月、12月や、業界的に多忙になる時期は途中採用の口が下がりますので、全体の傾向を把握して選択肢を増やせるようにしておきたいところです。

一事が万事、気力と体力

 退職・転職はキャリアを考えたものだけではありません。転職活動をはじめた理由調査アンケートなどでもっとも多いのが、劣悪な職場環境、人間関係に悩んでいたからという声になります。

「それじゃあどこに行ったって同じじゃないか」「わたしなんかのキャリアじゃ新しい転職先なんてないのでは」―そう自分に言い聞かせて心身を削っている方は、手始めにブラック企業からの転職に成功した人のブログやインタビューを読んでみることをお勧めします。実際に、長らく勤めたハードな職場から転職した友人たちからは、「どこの会社も同じだと思っていたけれど、隣の芝は青く見えているんじゃなくて、本当に青かった」という声もありました。

 また、「私は大丈夫、まだやれる...頭ではそう思っていても、身体が無意識のうちにSOSのサインを出していた」などといった声も多々あります。例えば「会社に向かう途中、いつの間にか泣いていた」「朝起きたら全身にじんましんが出るようになった」「下血が止まらなくなって病院に行くも異状なしとの診断、ストレスでは?と言われた」など。自分はまだ頑張れるはずなんて思わずに、逃げる気力と体力があるうちに行動するのが吉です。

離職後の求職活動は?

 転職活動は可能な限り、収入がある内に済ませるのが理想なのですが、事情によってはそうできないこともあると思われます。そういう時にお世話になれるのが失業保険です。受給には雇用保険に入っていた期間が合計1年以上、前の職場から離職届けをもらうなど、一定の条件があるので、そちらの方も抑えておきましょう。

 また、貯金があることも安心につながります。失業保険の支給は自己都合での退職の場合約3ヶ月は先になりますので、少なくともその間は食べていける程度の資金を準備しておきたいところです。

 離職後の就職活動も理想的には3ヶ月、長くて半年以内に終わらせるのが鉄則ということも、しばしば語られる話です。それ以上期間が空いてしまうと、採用する側からの心証が悪くなる可能性が高くなるとか。とはいえ、焦って安易な決断に後悔したくはありませんよね。売り手市場の今だからこそ、納得のできる転職を目指してステップをあがっていただければと思います。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授