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DATE/ 2018.04.05

年収が低いと肥満リスクが高くなる理由

 お金持ちというとどんな人をイメージしますか。お金持ちといえば社長さん。社長さんというと、どちらかと言えばすこしドシっとした体格の方を連想します。反対に貧乏の人のステレオタイプといえば、ガリガリにやせた人。

 ところが、最近はこのステレオタイプが崩れつつあるようなのです。すなわち、肥満の貧困層が増えているということです。なぜ、こんなことが起こっているのでしょうか。

貧困層とジャンクフード

 さて、肥満の貧困層が増えている理由ですが、カギとなるのは食事です。収入にかかわらず、おいしいものを食べたいと思うのが人情というもの。おいしいものを食べてお腹いっぱいになりたい。誰でもそう思います。

 ここまでは貧乏も富豪も考えることは一緒です。分かれ道は次の行動にあらわれます。つまり、どんなものを食べてお腹を満たすかということです。お金持ちは食べたいという欲求とともに健康のことを考えます。お金があるから、選択ができます。選べるのならできるだけ健康的な食事をしたいと考えるのもまた人間の本能的な生存欲求と言えるでしょう。

 しかし、貧困層にはその選択肢が多くありません。それゆえ、安価でカロリーの高いジャンクフードやファストフードなどに偏ることになります。これが貧困層の肥満につながっているということです。

所得格差は健康格差でもある

 SankeiBizによると、滋賀医科大の三浦克之教授(公衆衛生学)らのチームが、収入や学歴によって健康格差が生まれているという調査結果をまとめたことを伝えています。低収入の人は安価なもので空腹を満たそうとして、炭水化物に偏り、そうした偏った食習慣が肥満につながるのではと推測しています。

 そういう意味では、やはり安くて高カロリーのジャンクフードやファストフードと貧困の関係は無視できないでしょう。イギリスでも貧困エリアにファストフード店が集中していることがNewSphereの記事で取り上げられていました。

 たしかに、安いことを大看板に掲げているファストフード店の立場からすれば、ターゲットは富裕層よりも、むしろ貧困層でしょう。そう考えるほうが自然です。

一度、自分の食生活を見直してみよう

 格差社会は日本でもますます広がっています。近い将来、日本でもイギリスのように貧困エリアにファストフード店が集中するということが起こるかもしれません。貧困層というと、ものすごく貧しい人を想像してしまうかもしれませんが、そうした人たちばかりではなく、一般庶民にも貧困はまんべんなく、そして急速に浸透しようとしています。

 自分は「貧困とは無縁だ」と思っている方もこの機会に一度、自分の食生活を見直してみてください。もし、ジャンクフードやファストフードにお世話になる機会が増えているとしたら注意すべきでしょう。今回は貧困と肥満の関係をご紹介しましたが、「肥満」自体は食生活の偏りから生まれるのです。

 お金持ちというとどんな人をイメージしますか。お金持ちといえば社長さん。社長さんというと、どちらかと言えばすこしドシっとした体格の方を連想します。反対に貧乏の人のステレオタイプといえば、ガリガリにやせた人。

 ところが、最近はこのステレオタイプが崩れつつあるようなのです。すなわち、肥満の貧困層が増えているということです。なぜ、こんなことが起こっているのでしょうか。

貧困層とジャンクフード

 さて、肥満の貧困層が増えている理由ですが、カギとなるのは食事です。収入にかかわらず、おいしいものを食べたいと思うのが人情というもの。おいしいものを食べてお腹いっぱいになりたい。誰でもそう思います。

 ここまでは貧乏も富豪も考えることは一緒です。分かれ道は次の行動にあらわれます。つまり、どんなものを食べてお腹を満たすかということです。お金持ちは食べたいという欲求とともに健康のことを考えます。お金があるから、選択ができます。選べるのならできるだけ健康的な食事をしたいと考えるのもまた人間の本能的な生存欲求と言えるでしょう。

 しかし、貧困層にはその選択肢が多くありません。それゆえ、安価でカロリーの高いジャンクフードやファストフードなどに偏ることになります。これが貧困層の肥満につながっているということです。

所得格差は健康格差でもある

 SankeiBizによると、滋賀医科大の三浦克之教授(公衆衛生学)らのチームが、収入や学歴によって健康格差が生まれているという調査結果をまとめたことを伝えています。低収入の人は安価なもので空腹を満たそうとして、炭水化物に偏り、そうした偏った食習慣が肥満につながるのではと推測しています。

 そういう意味では、やはり安くて高カロリーのジャンクフードやファストフードと貧困の関係は無視できないでしょう。イギリスでも貧困エリアにファストフード店が集中していることがNewSphereの記事で取り上げられていました。

 たしかに、安いことを大看板に掲げているファストフード店の立場からすれば、ターゲットは富裕層よりも、むしろ貧困層でしょう。そう考えるほうが自然です。

一度、自分の食生活を見直してみよう

 格差社会は日本でもますます広がっています。近い将来、日本でもイギリスのように貧困エリアにファストフード店が集中するということが起こるかもしれません。貧困層というと、ものすごく貧しい人を想像してしまうかもしれませんが、そうした人たちばかりではなく、一般庶民にも貧困はまんべんなく、そして急速に浸透しようとしています。

 自分は「貧困とは無縁だ」と思っている方もこの機会に一度、自分の食生活を見直してみてください。もし、ジャンクフードやファストフードにお世話になる機会が増えているとしたら注意すべきでしょう。今回は貧困と肥満の関係をご紹介しましたが、「肥満」自体は食生活の偏りから生まれるのです。

<参考サイト>
・SankeiBiz:収入が低くなるほど肥満増、支出別で炭水化物に偏りなども…滋賀医大ら調査結果発表
https://www.sankeibiz.jp/econome/news/180306/ecb1803061102002-n1.htm
・NewSphere:ファストフード店増える英国、1人あたりの店舗は日本の6倍 貧困エリアに多く問題に
https://newsphere.jp/national/20170808-4/
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