驚きの低さ…「介護士」の年収は?
高齢者の自宅を訪れる訪問介護やデイケア、老人ホームなどの介護施設、医療機関においても「ヘルパーさん」と呼ばれる「介護士」の存在は欠かせません。今後さらに進む高齢社会を支える人々の待遇はどうなっているのか、今後の見通しについて調べてみました。
介護福祉士と介護士の間に、職務上の違いはほぼありません。どちらも食事や入浴の世話をする身体介護、買い物や掃除などの生活支援、ご家族やご本人の相談に乗る相談援助を行なっています。
つまり、介護の最前線でケアを担う仕事について、特段の資格は必要とされていません。とくに訪問介護員としては非正規職員が80%を占め、女性では60歳以上の割合が3人に1人の割合に上っています。
介護保険制度がスタートした2000年以降、介護職員の数は171万人(2013年)にまで増加していますが、さまざまな理由から離職者も多く、無資格・未経験でも介護職員として働いているケースが多いのです。それでも高齢者や要介護(要支援)認定者の増加には追いついておらず、慢性の人手不足感が業界全体に漂っています。
厚労省が発表した資料によると、平成28年の介護職員処遇改善加算を取得している事業所の常勤介護職員の月給平均(月額+手当+一時金)は、289,780円で、年収換算約348万円、非常勤介護職員の月給平均(月額+手当+一時金)は、96,080円で、年収換算約115万円となっています。平均年収.JPによる平成28年度の平均年収が422万円であることから、驚きの低さといってよいでしょう。
資格についてみていくと、「介護支援専門員」は、いわゆる「ケアマネさん(ケアマネージャー)」で、医療・介護分野での専門職としての実務経験や知識など、高いハードルがあります。「介護福祉士」は養成施設や福祉系高校で学んだ後、国家試験を受けるのが通常のルート(実務経験3年以上でも受験可能)。最後の「介護職員初任者研修」は、従来のホームヘルパー資格や介護職員基礎研修などを統合した、3か月程度で取得できる資格です。
給与待遇と在勤年数から、介護へのやりがい、社会的な意義を感じて介護職に就く割合は、有資格者のほうが高い傾向があります。
ただし、全国171万人の介護職のうち、訪問介護員33万人、施設等の介護職員35万人は、時給で働く非常勤職員です。この人たちの平均時給は、平成27年で1,100円、平成28年で1,110円であることが分かっています。
一方、福祉系高校や介護福祉士養成施設の定員割れ、介護福祉士登録者数に比べて介護職従事者数が6割程度となっていることも、問題です。職に就く前から、「給料が安い」「夜勤もあってきつい」というネガティブ・イメージが刷り込まれ、「やりがい」「社会的意義」を上回っているのです。
これらの現状を重く見た政府は、平成29年度に臨時の介護報酬改定を実施、介護職員の給与を引き上げるために、介護職員処遇改善加算を拡充させました。取得は事業者単位になりますが、積極的な動きを見せています。
処遇改善加算を受けた施設では、介護職員の月額給与が平均1万円引き上げられています。また、この加算は同時に介護職員のキャリアパスを評価する仕組みになっています。長く介護職として働いてもらうための待遇改善、うまく図に当たるでしょうか。今後とも注目していきたい動きです。
介護士と介護福祉士は、どう違う?
まず、厳密に言うと「介護士」という資格は存在せず、正確には「介護福祉士」という国家資格が設置されています。介護福祉士と介護士の間に、職務上の違いはほぼありません。どちらも食事や入浴の世話をする身体介護、買い物や掃除などの生活支援、ご家族やご本人の相談に乗る相談援助を行なっています。
つまり、介護の最前線でケアを担う仕事について、特段の資格は必要とされていません。とくに訪問介護員としては非正規職員が80%を占め、女性では60歳以上の割合が3人に1人の割合に上っています。
介護保険制度がスタートした2000年以降、介護職員の数は171万人(2013年)にまで増加していますが、さまざまな理由から離職者も多く、無資格・未経験でも介護職員として働いているケースが多いのです。それでも高齢者や要介護(要支援)認定者の増加には追いついておらず、慢性の人手不足感が業界全体に漂っています。
年収は常勤介護職員で約348万円、非常勤介護職員で約115万円
全国的に量も質も必要となるこれからの介護現場に対して、世論調査では「夜勤などがあり、きつい」「給与水準が低い」仕事という見方が、「社会的に意義がある」と肯定的な意見に並んでいます。実際に働いている人の実感としては、「仕事の内容・やりがい」や「職場の人間関係」などには満足感が高い一方、「賃金」に関しては不満の声が高く、正規・非正規の別を問いません。厚労省が発表した資料によると、平成28年の介護職員処遇改善加算を取得している事業所の常勤介護職員の月給平均(月額+手当+一時金)は、289,780円で、年収換算約348万円、非常勤介護職員の月給平均(月額+手当+一時金)は、96,080円で、年収換算約115万円となっています。平均年収.JPによる平成28年度の平均年収が422万円であることから、驚きの低さといってよいでしょう。
資格についてみていくと、「介護支援専門員」は、いわゆる「ケアマネさん(ケアマネージャー)」で、医療・介護分野での専門職としての実務経験や知識など、高いハードルがあります。「介護福祉士」は養成施設や福祉系高校で学んだ後、国家試験を受けるのが通常のルート(実務経験3年以上でも受験可能)。最後の「介護職員初任者研修」は、従来のホームヘルパー資格や介護職員基礎研修などを統合した、3か月程度で取得できる資格です。
給与待遇と在勤年数から、介護へのやりがい、社会的な意義を感じて介護職に就く割合は、有資格者のほうが高い傾向があります。
ただし、全国171万人の介護職のうち、訪問介護員33万人、施設等の介護職員35万人は、時給で働く非常勤職員です。この人たちの平均時給は、平成27年で1,100円、平成28年で1,110円であることが分かっています。
国の介護報酬改定で、月額1万円アップ!
厚生労働省の発表した需給推計によると、団塊の世代が75歳以上になる2025年度には介護職員が約253万人必要になるとされています。対して供給の見込みは約215万人。およそ38万人の介護職員が不足すると言われています。一方、福祉系高校や介護福祉士養成施設の定員割れ、介護福祉士登録者数に比べて介護職従事者数が6割程度となっていることも、問題です。職に就く前から、「給料が安い」「夜勤もあってきつい」というネガティブ・イメージが刷り込まれ、「やりがい」「社会的意義」を上回っているのです。
これらの現状を重く見た政府は、平成29年度に臨時の介護報酬改定を実施、介護職員の給与を引き上げるために、介護職員処遇改善加算を拡充させました。取得は事業者単位になりますが、積極的な動きを見せています。
処遇改善加算を受けた施設では、介護職員の月額給与が平均1万円引き上げられています。また、この加算は同時に介護職員のキャリアパスを評価する仕組みになっています。長く介護職として働いてもらうための待遇改善、うまく図に当たるでしょうか。今後とも注目していきたい動きです。
<参考サイト>
・厚生労働省:平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/17/dl/28gaiyou.pdf
・平均年収.JP
http://heikinnenshu.jp/country/japan.html
・第4回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会:介護人材の確保について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000075028.pdf
・e-Stat:介護事業実態調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450376&tstat=000001043665&cycle=0&tclass1=000001043668&tclass2=000001043669&tclass3=000001043674
・厚生労働省:平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/17/dl/28gaiyou.pdf
・平均年収.JP
http://heikinnenshu.jp/country/japan.html
・第4回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会:介護人材の確保について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000075028.pdf
・e-Stat:介護事業実態調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450376&tstat=000001043665&cycle=0&tclass1=000001043668&tclass2=000001043669&tclass3=000001043674