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DATE/ 2018.04.21

空気清浄機はタバコの煙に効果ないってホント?

 2018年4月1日、東京都では「子どもの受動喫煙防止条例」が施行されました。この条例では、自分の意思で受動喫煙を避けられない子どもを守ることが主眼ですが、現状では特に罰則は設けられていません。今後は飲食店なども対象にして、より踏み込んだ罰則付きの条例案も考えられているようです。タバコの害に関してはもうわかったよ、という人もいるかもしれません。しかし、条例が施行された今、もう一度、喫煙、特に副流煙がどのようなものか確認しておきましょう。

タバコに含まれる有害物質

 タバコの煙には有害な化学物質が200種類以上あり、その内には数十種類の発がん性物質が含まれています。国立保険医療科学院の研究によると、煙草の煙の成分は、ガス相と粒子相に分けられ、発がん性物質はガス相に95.5%、粒子相に4.5%含まれているとのこと。

 ガス相の内訳は、水分40%、窒素59%、酸素13%、二酸化炭素12.5%、一酸化炭素4.0%、アルゴン、ヘリウム、水素を合計して1.5%、カルボニル類などその他の化合物が1.5%です。一方、粒子相の内訳は、水分0.70%、ニコチン0.28%そしてタールが3.52%となっています。

 一般には聞き慣れない化学物質もありますが、問題になるのは、一酸化炭素、ニコチン、タール、その他の化合物です。一酸化炭素は体内で酸素の運搬をさまたげるので、身体が酸欠状態になります。また、動脈硬化を促し、心筋梗塞や脳梗塞になる危険性を高めます。ニコチンはよく知られているように、脳に作用し、強い依存性を招くと同時に末梢血管を収縮させて血圧を上げ、心臓に負担をかけます。タール、その他化合物には70種類以上の発がん性物質が含まれています。

副流煙の方が危険

 さらに、厚生労働省のデータによると、受動喫煙の原因となる副流煙中における有害物質等の含有量は、ものによっては主流煙より数倍から100倍以上になっています。たとえば、マイルドセブンを1本吸った場合、一酸化炭素は主流煙で11.6mg、副流煙で48.7mg。ニコチンは主流煙で0.958mg、副流煙で5.03mgとなっています。

 副流煙は空気中に拡散するので、主流煙のように直接、すべてを肺に取り込むわけではないかもしれません。しかし、密閉された室内環境下でタバコを吸った場合、相当量の有害化学物質を吸い込んでいるということが想像できます。

空気清浄機では効果はほぼない

 さて、ここまで、タバコの煙はどう考えても有害だということを示しました。そこで、「それなら、そうだ、空気清浄機をつかえば…」と思われるかもしれません。しかし、実際に空気清浄機のフィルターで除去できるのは「粒子成分」のみ。つまり、先に示した粒子相の4.5%に関しては有効かもしれませんが、ガス相の95.5%はすべてフィルターをすり抜けています。残念ですが、現時点で空気清浄機では効果はほぼないと言っていいようです。

 こういった科学的データから、今のところ、自分の意思で受動喫煙を避けられない子どもを守るには条例で規制するしか方法がないのではという状況であることがご理解いただけるのではないでしょうか。

<参考サイト>
・東京都福祉保健局:「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」が公布されました
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/kitsuen/kodomojourei.html
・厚生労働省:平成11-12年度たばこ煙の成分分析について(概要)
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/seibun.html
(10MTV編集部)