テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.09.27

日本の「経済力」は世界で何番目?

 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」なんて言われたのも今は昔。同タイトルの書籍が発売されたのは1979年なので、もう40年も前になるんですね。そこからバブル、バブル崩壊、失われた20年、もしくは30年を経て、日本の経済的な存在感が以前と比べて落ちてしまったのは事実でしょう。さて、では実際のところ、日本の経済力は世界で何番目なのでしょうか?

名目GDPという観点ではまだ世界3位も…

 まず、名目GDP(国内総生産:国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の総額)という観点だと、2018年の日本は約5兆ドルで世界3位。1位は約20兆ドルのアメリカ、2位は約13億ドルの中国でした。2010年のGDPで、日本は中国に抜かれ世界2位の座から約40年ぶりに陥落、と話題になりましたが、それから8年で日中の差は倍以上開いてしまったということですね。

 「でも中国は人口が多いからGDPも多いだけ」、そういう見方もあるでしょう。では、1人当たりのGDPではどうでしょうか。ここでは日本は約3.93万ドルで192か国中26位。国のGDPで1位だったアメリカは約6.26万ドルで9位。中国は約9600ドルで72位ということで、まだ1人当たりでならすと中国は中堅国という位置づけになりそうです。ちなみに1人当たりGDPの世界1位は約11.42万ドルのルクセンブルク。日本円にして約1230万円です。平均ですからね、これ。人口が約59万人と少ない一方で金融業が発達していることが理由のようです。

 購買力平価という切り口もあります。購買力平価とは、ある商品の価格が世界中どこでも同じという前提のもと、各国の為替レートを比較したものです。よく使われるのはビッグマックの価格を比較した「ビッグマック指数」ですが、例えば日本でビッグマックが300円、アメリカで6ドルだった場合、1ドル=50円が適切な為替レート、という考え方になります。これを1人あたりGDPとかけあわせた順位で見ると、日本はこちらも31位止まり。1人あたりGDPでは8000ドルほど差をつけていた韓国が、1人当たり購買力平価GDPでは32位に迫ってきています。

日本は意外と人口多い国 なんと世界で10位

 1人当たりのGDPでは30位程度ですが、国のGDPではまだ3位につけている日本。なぜかというと、意外なことに日本は人口で見ると世界10位なんです。中国やアメリカを比較対象にしてしまうと人口が少ない小さな島国に思えてしまうかもしれませんが、なかなかどうして、そこそこの大国なんです。なので、1人当たりだと上の下から上の中くらいのランクですが、国民1人1人の数字を足し上げると世界3位に躍り出る、ということになります。

 今後、人口が多いインドやインドネシア、ブラジルなどにも日本はGDPで抜かれ、2050年には世界7位にまで落ち込むという予測もあります。「日本も昔は世界で2番目(3番目)の経済大国だったんだよ…」という話が、そう遠くないうちに昔話になってしまいそうですね。

<参考サイト>
・世界の名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)―Global Note
https://www.globalnote.jp/p-data-g/?dno=8860&post_no=1409
・購買力平価 | 金融・証券用語解説集 | 大和証券
https://www.daiwa.jp/glossary/YST0538.html
・世界の1人当たり購買力平価GDP 国別ランキング・推移(IMF)―Global Note
https://www.globalnote.jp/post-12805.html
・世界の人口ランキング - 世界経済のネタ帳
https://ecodb.net/ranking/imf_lp.html
・PwC、調査レポート「2050年の世界」を発表し、主要国のGDPを予測‐2020年以降、中国の成長は大幅に鈍化するものの、世界の経済力の新興国へのシフトは止まらず | PwC Japanグループ
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/world-in-2050-150227.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
2

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
3

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために

ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
橋爪大三郎
社会学者
5

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
池上英洋
東京造形大学教授