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個人情報を売買する「情報銀行」とは何か?
「情報銀行」とは、「個人とのデータ活用に関する契約等に基づき、パーソナルデータストア(PDS)等のシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示または予め指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業」を指します。
具体的には、「個人から買い物の履歴など個人情報を預かり、本人の同意を得たうえで活用したいほかの企業に提供するサービス」です。預けた情報を預かった企業が運用するビジネスモデルがお金を預けて活用する銀行と似ているため、「情報銀行」と呼ばれています。
「ビッグデータ」の活用に未知数の可能性があり、高度な情報化が進み、さらに少子高齢化などが加速するなどの大きな課題を抱えた日本では、よりよい社会とするためにも「ビッグデータ」を活用することは必要ですが、「ビッグデータ」には多くの「パーソナルデータ」が含まれているという問題があります。
そのため、「ビッグデータ」を活用するためにも、その情報の提供者や所有者から、利用の都度、何らかの許可を得ることが大前提となっています。
しかし、「ビッグデータ」に含まれる情報一つひとつの許諾を得ることは、すでに困難な状況となっています。また、原則は「パーソナルデータ」の所有者が充分な知識を持って自らの情報の活用について考える必要性があるとしていますが、これらのことをすべての所有者に求めることは難しくもあります。
そこで、情報の所有者が積極的に信頼のおける組織に預け、「パーソナルデータ」の所有者の権利と義務を代行しメリットを与えてくれて、かつ「ビッグデータ」を活用するモデルとして「情報銀行」が考えられ、期待されるようになりました。
「パーソナルデータ」のうち、個人を特定・識別することができる氏名、生年月日、住所などの情報は「個人情報」とされ、「個人情報保護法」で保護されています。
一方、個人情報以外の「パーソナルデータ」には、主として個人の位置情報や購入情報、IPアドレス、インターネット閲覧履歴など、企業やネット上に集積されている情報、個人に結びつけることができないように加工された個人の行動や状態などに関するデータなどがあります。
ちなみに、政府は「情報銀行」の事業化を進めることによって、「パーソナルデータ」を活用し、アメリカの巨大企業「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の対抗策としたいとも考えているようです。
1)利用を希望する個人は、専用スマホアプリ「MEY(ミー)」を使って、商品の購買履歴や家計収支、連絡先、健康状態など最大250項目のデータを預ける、2)データを集めたい企業が利用目的やデータの種類をアプリ上で明示、3)個人は案件ごとに提供するかどうかを決める、4)データを提供するごとに報酬としてお金やサービスなどの対価が支払われる――という仕組みになっています。
なお、マイデータは、預かったデータを1つのIDで管理してデータを暗号化するなどして安全性を確保したうえ、データを提供した後にデータ利用の許諾を取り消すことも可能としています。
また、「情報銀行」を活性化したい政府は、個人情報以外の「パーソナルデータ」の取り扱いについての制度見直しを行い、これまでと同様に個人の権利利益の侵害を未然に防ぎプライバシーの保護を図るとともに、「ビックデータ」活用による産業再興のため、本人の同意がなくてもデータを利活用できる枠組みを導入するなどの環境整備を検討しています。
ただし、やはり個人情報の含まれる「パーソナルデータ」の取り扱いには細心の注意が必要とされ、個人にも環境や状況に応じた情報リテラシーが都度求められることが増えてくるように思いますし、企業側もより高度なセキュリティが必要になってくると予想されます。
同時に、個人のプライバシー意識も高まっているため、個人の権利利益の侵害にはならないデータについても、事業者側が利用をためらうといった「利活用の壁」が生じるといった課題も生じています。
社会的には「ビックデータ」の活用も重要ですが、個人的には大切な「個人情報」を含む「パーソナルデータ」の取り扱いこそが最重要課題となるともいえます。大事な自分のお金を預ける銀行を選ぶよりも慎重に、「情報銀行」を選択し活用することが、個々人に求められているように思います。
具体的には、「個人から買い物の履歴など個人情報を預かり、本人の同意を得たうえで活用したいほかの企業に提供するサービス」です。預けた情報を預かった企業が運用するビジネスモデルがお金を預けて活用する銀行と似ているため、「情報銀行」と呼ばれています。
「ビッグデータ」の活用のための「情報銀行」への期待
現代の日本では、コンピュータやスマートホン、ドライブレコーダ―や監視カメラなどの高機能なデジタル機器が生活全般に広く利用されることによって日々刻々と記録されているさまざまなデータの巨大な集まり、「ビッグデータ」の活用が期待されています。「ビッグデータ」の活用に未知数の可能性があり、高度な情報化が進み、さらに少子高齢化などが加速するなどの大きな課題を抱えた日本では、よりよい社会とするためにも「ビッグデータ」を活用することは必要ですが、「ビッグデータ」には多くの「パーソナルデータ」が含まれているという問題があります。
そのため、「ビッグデータ」を活用するためにも、その情報の提供者や所有者から、利用の都度、何らかの許可を得ることが大前提となっています。
しかし、「ビッグデータ」に含まれる情報一つひとつの許諾を得ることは、すでに困難な状況となっています。また、原則は「パーソナルデータ」の所有者が充分な知識を持って自らの情報の活用について考える必要性があるとしていますが、これらのことをすべての所有者に求めることは難しくもあります。
そこで、情報の所有者が積極的に信頼のおける組織に預け、「パーソナルデータ」の所有者の権利と義務を代行しメリットを与えてくれて、かつ「ビッグデータ」を活用するモデルとして「情報銀行」が考えられ、期待されるようになりました。
「情報銀行」のキーは「パーソナルデータ」
上記に示したように、「情報銀行」が預けてほしい情報は「ビッグデータ」と紐づく「パーソナルデータ」となってきます。「パーソナルデータ」とは、「個人の識別性の有無にかかわらず、個人に関する情報全般」を指します。「パーソナルデータ」のうち、個人を特定・識別することができる氏名、生年月日、住所などの情報は「個人情報」とされ、「個人情報保護法」で保護されています。
一方、個人情報以外の「パーソナルデータ」には、主として個人の位置情報や購入情報、IPアドレス、インターネット閲覧履歴など、企業やネット上に集積されている情報、個人に結びつけることができないように加工された個人の行動や状態などに関するデータなどがあります。
ちなみに、政府は「情報銀行」の事業化を進めることによって、「パーソナルデータ」を活用し、アメリカの巨大企業「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の対抗策としたいとも考えているようです。
「情報銀行」利用のメリットとデメリット
2019年7月、電通グループのマイデータ・インテリジェンスが、個人から購買履歴などのデータを預かり企業に提供する、国内初の「情報銀行」のサービスを開始したと発表しました。利用法や利用者のメリットは以下のようになっています。1)利用を希望する個人は、専用スマホアプリ「MEY(ミー)」を使って、商品の購買履歴や家計収支、連絡先、健康状態など最大250項目のデータを預ける、2)データを集めたい企業が利用目的やデータの種類をアプリ上で明示、3)個人は案件ごとに提供するかどうかを決める、4)データを提供するごとに報酬としてお金やサービスなどの対価が支払われる――という仕組みになっています。
なお、マイデータは、預かったデータを1つのIDで管理してデータを暗号化するなどして安全性を確保したうえ、データを提供した後にデータ利用の許諾を取り消すことも可能としています。
また、「情報銀行」を活性化したい政府は、個人情報以外の「パーソナルデータ」の取り扱いについての制度見直しを行い、これまでと同様に個人の権利利益の侵害を未然に防ぎプライバシーの保護を図るとともに、「ビックデータ」活用による産業再興のため、本人の同意がなくてもデータを利活用できる枠組みを導入するなどの環境整備を検討しています。
ただし、やはり個人情報の含まれる「パーソナルデータ」の取り扱いには細心の注意が必要とされ、個人にも環境や状況に応じた情報リテラシーが都度求められることが増えてくるように思いますし、企業側もより高度なセキュリティが必要になってくると予想されます。
同時に、個人のプライバシー意識も高まっているため、個人の権利利益の侵害にはならないデータについても、事業者側が利用をためらうといった「利活用の壁」が生じるといった課題も生じています。
社会的には「ビックデータ」の活用も重要ですが、個人的には大切な「個人情報」を含む「パーソナルデータ」の取り扱いこそが最重要課題となるともいえます。大事な自分のお金を預ける銀行を選ぶよりも慎重に、「情報銀行」を選択し活用することが、個々人に求められているように思います。
<参考文献・参考サイト>
・「情報銀行[情報通信産業]」『イミダス2018』(手嶋彩子著、集英社)
・「情報銀行[インターネット]」『イミダス2018』(砂原秀樹・和泉順子著、集英社)
・「ビッグデータ」『日本大百科全書』(小学館)
・「パーソナルデータ」『日本大百科全書』(小学館)
・「データ預かる情報銀行 信用スコアに展開も」『週刊東洋経済』(2018年12月1日号、東洋経済新報社)
・「全ての産業がサービス業に -脱工業化時代の到来 消費者行動のデータ化で「信用スコア」や「情報銀行」にニーズ メーカーのサービス業化、生産設備や研究をシェアする仕組みも拡大-」『日経マネー』(2019年4月号、日経BP)
・国内初の情報銀行、サービス開始 購買履歴など提供
https://www.sankei.com/economy/news/190703/ecn1907030015-n1.html
・マイデータ・バンク「MEY」
https://www.meyportal.com/
・「情報銀行[情報通信産業]」『イミダス2018』(手嶋彩子著、集英社)
・「情報銀行[インターネット]」『イミダス2018』(砂原秀樹・和泉順子著、集英社)
・「ビッグデータ」『日本大百科全書』(小学館)
・「パーソナルデータ」『日本大百科全書』(小学館)
・「データ預かる情報銀行 信用スコアに展開も」『週刊東洋経済』(2018年12月1日号、東洋経済新報社)
・「全ての産業がサービス業に -脱工業化時代の到来 消費者行動のデータ化で「信用スコア」や「情報銀行」にニーズ メーカーのサービス業化、生産設備や研究をシェアする仕組みも拡大-」『日経マネー』(2019年4月号、日経BP)
・国内初の情報銀行、サービス開始 購買履歴など提供
https://www.sankei.com/economy/news/190703/ecn1907030015-n1.html
・マイデータ・バンク「MEY」
https://www.meyportal.com/
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