社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
マイナンバー制度~恐怖の落とし穴…海外事例に学ぶ
2015年の10月に届く、あなただけの12桁の番号「マイナンバー」。この番号は、あなたが、あなたであることを証明してくれるため、引っ越しや婚姻、パスポートや各種給付金の申請など、縦割り行政で、それぞれで面倒な手続きが必要だったものが、うんと簡単になる大変便利な制度だ。
しかし、このマイナンバー、「あなたがあなたであることを証明してくれる」と同時に、「他人があなたである」ことまで証明してしまうものだったとしたら...!?
この社会保障番号の犯罪への悪用の例は数限りなく存在する。例えば、とある女子高生が卒業を控え、はじめて自分のクレジットカードを作ろうとした。しかし、どうしても作れない。カード会社から申請を拒否されるのだ。
調べてみると、なんと、彼女には借金が150万ドル(1億8,000万円)もあったことが発覚。借金は、クレジットカードなど、42もの口座で作られていて、もちろん彼女自身には全く身に覚えのないものだった。そう、この口座は、どこかで盗み出された彼女の社会保障番号を悪用して作られたものだったのだ。
司法省の統計によると2006~08年のなりすまし被害は、実に約1,170万件。被害額は約173億ドル、つまり日本円に換算して約2兆700億円という、とてつもない被害が出ているのだ!
これは韓国の人口の5,000万人を軽く上回る数字で、単純計算で国民ひとりあたり7回は情報が漏れているということだ。流出した情報は他の個人情報と結び付けられ、様々な目的で利用されているという。
日本でも、マイナンバーを企業が取り扱うようになることから、安全面での対応を迫られているが、対応が完了している企業は今年4月時点でまだ2割という調査もある。
日本でも銀行の口座とひも付けるなど、民間利用が始まる見込みだ。これまでも、落とした保険証などを悪用されて、消費者金融で借金を作られるなどの悪用事例はあったが、マイナンバーの悪用はそれどころじゃ済まない可能性もある。
政府は、悪用を防止するため様々な対策を施しているとも言うが、個人でも海外の事例など踏まえ、今から、しっかりと個人情報を守る意識を作っておきたい。携帯、ネット、原子力発電、自動車…、便利なものの裏には、危険が潜むというのは歴史の教訓だ。
しかし、このマイナンバー、「あなたがあなたであることを証明してくれる」と同時に、「他人があなたである」ことまで証明してしまうものだったとしたら...!?
女子高生が1億円以上のなりすまし被害に?!
米国の制度で、日本のマイナンバーにあたるのは、「社会保障番号」と呼ばれるものだ。アメリカのクライムサスペンスドラマなどで目にした、耳にしたことがあるという人も多いことだろう。この社会保障番号の犯罪への悪用の例は数限りなく存在する。例えば、とある女子高生が卒業を控え、はじめて自分のクレジットカードを作ろうとした。しかし、どうしても作れない。カード会社から申請を拒否されるのだ。
調べてみると、なんと、彼女には借金が150万ドル(1億8,000万円)もあったことが発覚。借金は、クレジットカードなど、42もの口座で作られていて、もちろん彼女自身には全く身に覚えのないものだった。そう、この口座は、どこかで盗み出された彼女の社会保障番号を悪用して作られたものだったのだ。
被害額は3年で兆を超える
社会保障番号は公的機関でも民間でも幅広く利用されているため、これを盗み出せば、様々な申請が他人名義で可能になってしまう。銀行やクレジットカードなどの金融機関はもちろん、携帯電話や電気、ガス、運転免許、就職、大学の学生番号などの会員番号と結び付けられているのだ。司法省の統計によると2006~08年のなりすまし被害は、実に約1,170万件。被害額は約173億ドル、つまり日本円に換算して約2兆700億円という、とてつもない被害が出ているのだ!
韓国では情報流出が問題化
昨年、日本の大手通信教育会社から流出した3,000万件以上の個人情報が社会問題化したことは記憶に新しいが、韓国のマイナンバーにあたる「住民登録番号」の情報流出は、現在まで確認されただけでも3億7,400万件にも及ぶという発表もある。これは韓国の人口の5,000万人を軽く上回る数字で、単純計算で国民ひとりあたり7回は情報が漏れているということだ。流出した情報は他の個人情報と結び付けられ、様々な目的で利用されているという。
日本でも、マイナンバーを企業が取り扱うようになることから、安全面での対応を迫られているが、対応が完了している企業は今年4月時点でまだ2割という調査もある。
日本でも銀行の口座とひも付けるなど、民間利用が始まる見込みだ。これまでも、落とした保険証などを悪用されて、消費者金融で借金を作られるなどの悪用事例はあったが、マイナンバーの悪用はそれどころじゃ済まない可能性もある。
政府は、悪用を防止するため様々な対策を施しているとも言うが、個人でも海外の事例など踏まえ、今から、しっかりと個人情報を守る意識を作っておきたい。携帯、ネット、原子力発電、自動車…、便利なものの裏には、危険が潜むというのは歴史の教訓だ。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
シフトワークによる脱同調に要注意…時差ボケへの対策は?
睡眠と健康~その驚きの影響(5)時差ボケと脱同調
シフト勤務者にとって避けて通れない問題がある。それは、時差ボケによる睡眠のリズムである。現在、日本では労働者の何割かがシフトワークに就いているが、この働き方では睡眠のリズムが崩れ、健康を大きく害する危険がある。...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/07/03
なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(2)江藤淳の「リアリズムの源流」
文芸評論を再考するに当たり、江藤淳氏の「リアリズムの源流」を振り返ってみる。一般的に日本で近代小説が始まった起源は坪内逍遥だといわれるが、江藤氏はそれに疑問を呈す。そして注目したのが、夏目漱石の「坊ちゃん」であ...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/02
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか
第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ
反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは
日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道
機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01