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DATE/ 2020.05.25

世界一使われている「絵文字」とは?

 皆さんは、7月17日が「世界絵文字デー」ということをご存じでしょうか。

 「絵文字」とは、メールやSNSなどで文字のかわりに使用するアイコン的なイラストのことを指します。感情や表情だけでなく、状況や単語ですらも端的に表すことができるため、登場当初から画期的なコミュニケーションツールとして人気となり、多くのユーザーに使用されてきました。

 また「絵文字」は、140文字(日本語、中国語、韓国語)と文字数が限られたTwitterなど、文字数に制限のあるテキストコミュニケーションで、本領を発揮します。それゆえにTwitterユーザーにも「絵文字」は愛用され、Twitter上では様々な「絵文字」が多用されてきました。

 そのためもあってか、Twitterでは「世界絵文字デー」にちなんで、【Twitter上で多く使われている絵文字】を発表しています。

世界一は「泣き笑い」or「さくらんぼ」?

 では早速、【2019年 Twitter上で多く使われている絵文字上位10個】の「国内編」と「世界編」を見てみましょう。なお末尾の「U+〇〇〇」はそれぞれのユニコードです。

【2019年 Twitter上で多く使われている絵文字上位10個】(国内編)
1位 泣き笑い(顔文字) U+1F602
2位 ピース(ハンドサイン) U+270C
3位 キラキラ U+2728
4位 グーパンチ(ハンドサイン) U+1F44A
5位 挙手(ハンドサイン) U+270B
6位 赤色のハート U+2764
7位 思考中(顔文字) U+1F914
8位 炎 U+1F525
9位 号泣(顔文字) U+1F62D
10位 桜の花 U+1F338

【2019年 Twitter上で多く使われている絵文字上位10個】(世界編)
1位 さくらんぼ U+1F352
2位 キラキラ U+2728
3位 桜の花 U+1F338
4位 カメラ U+1F4F7
5位 顔つき太陽 U+1F31E
6位 泣き笑い(顔文字) U+1F602
7位 虹 U+1F308
8位 目が回る U+1F4AB
9位 プレゼント U+1F381
10位 音符 U+1F3B5

 結果を見てみると、日本では顔文字が3個ランクインしていますが、世界では1個のみのランクインとなっています。このことより、日本の利用者の多くが世界の利用者と比較すると、“顔の表情を表す絵文字(顔文字)”を多く使っていることがわかります。

 また、日本編の結果では、ピースやグーパンチといった“手や指だけで意思を表現する絵文字(ハンドサイン)”も、顔文字同様に3個ランクインしていることも特徴的です。

 他方、世界編で1位となったさくらんぼのように、世界では食べ物や天気にまつわる絵文字、カメラや音符といった趣味や興味に関連した絵文字が、幅広く使われていることが見えてきます。

絵文字の発祥は日本!開発者はどんな人?

 ところで皆さんは、「絵文字は日本発祥の文化」ということをご存じでしたでしょうか。

 現在のような絵文字が登場したのは1999年、当時NTT DOCOMOの携帯電話「iモード」の立ち上げメンバーの一人であった、栗田穣崇(くりた・しげたか)氏が開発しました。

 栗田氏は絵文字を開発した動機として、「別に流行らせたかったわけじゃなく、単純に20代の僕が『使いたいな』と思ったからです。絵文字の便利さについては、当時付き合っていた彼女とのポケベルでのやり取りから、『感情が伝わりにくい短文でも、語尾に“ハート(の絵文字)”がつけばポジティブな印象になる』と実感していた」と述べています。

 そして2016年には、栗田氏が開発した12×12ピクセルでつくられた176種の「絵文字」(emoji)が、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵コレクションに加えられました。

 なお、2020年5月現在の栗田氏は、ネットワークエンタテインメントに携わるIT企業・ドワンゴの専務取締役COOなどを務められ、ドワンゴの運営する動画サービス・ニコニコの代表などで活躍されています。

進化する「絵文字」。ただし使い方には注意を

 メールにとどまることなく、TwitterやLINEといったさまざまなSNSでも多用されるようになった「絵文字」は、日々新たな開発がされ、進化を続けています。ただし、単に“絵”ではなく“文字”の機能や意味をもつ「絵文字」には、テキストコミュニケーションにおける注意も求められます。

 文字には文化的背景があります。そのため、例えばハンドサインなど異文化の人同士で使う場合には、特に注意が必要となります。また、絵からは文字以上に様々な情報が読み取れるため、いわゆる“誤読”が起こってしまう場合もあります。そういった点が、「絵文字」が世界共通であっても一概に世界言語とはいえない要因ともなっているように思います。

 また、世代によって「絵文字」の使い方や意味も違ってくるため、下手に使ったり変に多用したりすると、いわゆる“誤爆”となってしまう危うさもあります。

 しかし、異文化や世代間といった文字やコミュニケーションに潜む根源的な課題はあるものの、やはり「絵文字」は便利かつ画期的なコミュニケーションツールであるといえます。豊かな文字文化の一つとして、多いによりよく活用されることが望まれます。今後の「世界絵文字デー」の変遷も楽しみです。

<参考文献・参考サイト>
・7月17日は #世界絵文字デー│Twitter Japan
https://blog.twitter.com/ja_jp/topics/events/2019/World-Emoji-Day-2019.html
・「スマートフォン・タブレット型端末用語」『日本大百科全書』(小学館)
・「スマートフォン・タブレット型端末用語(絵文字 pictogram)」『日本大百科全書』(小学館)
・iモードに絵文字を生んだ男の、やりきる力。やがて絵文字はemojiになった|栗田穣崇の履歴書 #ぼくらの履歴書 - ぼくらの履歴書|トップランナーの履歴書から「仕事人生」を深掘り!
https://employment.en-japan.com/myresume/entry/2020/02/18/103000
・絵文字はどのようにして生まれ, 世界に広がっていったのか?
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/11/3/11_199/_pdf
・The Original NTT DOCOMO Emoji Set Has Been Added - MoMA
https://stories.moma.org/the-original-emoji-set-has-been-added-to-the-museum-of-modern-arts-collection-c6060e141f61
・全然知らなかった!英語圏で勘違い or スルーされているスマホの絵文字15選
https://ej.alc.co.jp/entry/20170327-gourmet-emoji

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