テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.04.07

「老後に住みたい都道府県」ランキング

 老後はどのようなところで暮らしているイメージでしょうか。大きく分けると、「田舎暮らし」派と「都会暮らし」派に分かれるのではないでしょうか。田舎で暮らせば、自然豊かなところで穏やかに過ごすことができます。一方、都会で暮らしていれば美術館や博物館、カルチャースクールなどの文化的なものにアクティブに触れることができるところが強みです。では実際に都道府県で考えるとどこが人気なのでしょうか。ここではランキングをみてみましょう。

トップは「沖縄県」

 株式会社AlbaLinkは「老後に住みたい都道府県ランキング」を発表しています。調査は2023年3月に行われたもので、対象は全国の男女500名(10代から60代以上の男女)。インターネット調査(複数回答)です。この結果トップ5は以下の通りとなりました。

1位 沖縄県 75票
2位 東京都 56票
3位 北海道 43票
4位 神奈川県 38票
5位 福岡県/兵庫県 32票

 1位は「沖縄県」です。亜熱帯気候で比較的過ごしやすく穏やかな南国の島、沖縄は時間の流れも穏やかな感じがします。2位は「東京都」。田舎暮らしをイメージしていたひとにとっては、意外な結果ではないでしょうか。都会の利便性と田舎暮らしの穏やかさ、拮抗しています。

 続いて3位は「北海道」。気候としては沖縄と正反対かもしれません。しかし、広大な大地に豊かな自然の恵みは魅力的です。また食の豊かさは他の地域に類を見ないものがあります。大自然の魅力という点では、沖縄とも共通するものがありそうです。4位は神奈川県、5位は同票を獲得した福岡県/兵庫県と、それぞれ都市部を持つ都道府県が続きます。やはり生活の利便性を考えれば、都会から離れないほうがいいという判断かもしれません。

住み続けたいランキングでの1位は「北海道」

 少し違った角度から見てみましょう。ブランド総合研究所が行った「都道府県『定住意欲度』ランキング」を参考にします。調査対象は1万6300人(一部を除き各都道府県から約350人)。調査時期は2021年5月です。住民に対して、「今後も住み続けたいと思うか」と聞いたものです。回答は「ぜひ住み続けたい」=100点、「できれば住み続けたい」=75点、「どちらでもない」=50点、「機会があれば他県に移住したい」=25点、「すぐにでも他県に移住したい」=0点の5段階から1つを選択。この結果をもとに平均の数値を出したものでランキングを出しています。トップ5は以下の通りです。

1位 北海道 85.2点
2位 福岡県 84.6点
3位 沖縄県 84.2点
4位 熊本県 80.6点
5位 宮城県 80.2点

 1位は北海道となり、なんと2年連続1位という成績です。2位の福岡県は「すぐにでも他県に移住したい」=0点と答えた人が全国で最も少なかったとのこと。

 大きく見て「老後に住みたい都道府県」は、現在住んでいる人の「定住意欲度」も高いと言っていいようです。つまり、これらの都道府県は、単に外からみたブランド力だけではなく、実際に住んでいる人の生活のしやすさといった視点でも、魅力的なのかもしれません。

老後資金から考えると「田舎暮らし」かもしれない

 少しまえに老後2000万円という話が話題になりました。実際のところ老後は毎月いくら確保するべきなのでしょうか。全国銀行協会のサイトに試算をみつけました。これによると、世帯主が60歳以上の夫婦世帯が毎月必要な額は、税・社会保険料など非消費支出まで含めて26万4,707円(総務省統計局の2018年「家計調査報告」)。これに対して収入は、公的年金などの社会保障給付にその他収入を加えて22万2,834円。つまり、おおよそ毎月5万円の赤字です。単純計算すれば1年で60万円、10年で600万円。90歳まで生きるとすれば、30年で1800万円ということになります。

 この不足分を補うには、生涯現役として働き続ける、投資資金でやりくりするなどいくつか考えられるとは思います。ただし、より現実的で無理のない方法は、ある程度生活費を抑えることではないでしょうか。こう考えると、家賃などの物価の高い都会で老後を過ごすには、やや厳しい側面がある気もします。「老後の生活も都会で」との希望も多いようですが、経済の面から考えるとそう簡単ではないとは言えるかもしれません。

<参考サイト>
・【老後に住みたい移住先ランキング】男女500人アンケート調査
https://wakearipro.com/old-age-immigration//
・住み続けたいまち1位は北海道。都道府県定住意欲度ランキング|ブランド総合研究所
https://news.tiiki.jp/articles/4712
・Q. 老後資金は一体いくらあれば安心……?|一般社団法人全国銀行協会
https://www.zenginkyo.or.jp/article/life/retirement/4385/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?

「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだと...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10
柿埜真吾
経済学者
2

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性

アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
3

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税

会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。

第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

今や化学兵器の主流…「バイナリー」兵器とは?

今や化学兵器の主流…「バイナリー」兵器とは?

医療から考える国家安全保障上の脅威(3)NBC兵器をめぐる最新情勢

2006年ロシアのKGB元職員暗殺には「ポロニウム210」というNBC兵器が用いられた。これは、検知しやすいγ線がほとんど出ない放射線核種で、監視の目を容易にすり抜ける。また、2017年金正男氏殺害に使われた「VX」は、2種の薬剤を...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/15
山口芳裕
杏林大学医学部教授
5

生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは

生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは

弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(9)弥生人の「生の世界」

弥生時代の衣食住には、いったいどんな文化があったのだろうか。土器やスタンプ痕の分析から浮かび上がる弥生人が生きていた世界、その生活をひもとくと、農耕の発展の経路や死生観など当時のさまざまな文化の背景が見えてくる...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/14
藤尾慎一郎
国立歴史民俗博物館 名誉教授