社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
ジョブズが火付け役、グーグルも実践している「マインドフルネス」がストレス社会を救う?
「マインドフルネス」という言葉をどこかで耳にしたことはないだろうか。グーグル、インテル、パタゴニアなど、さまざまなグローバル企業が取り入れている「ある行為」のことだ。しかし、名前だけでは何のことだか想像がつきにくい。ここでは、マインドフルネスをごくごく簡単に説明したい。
火付け役は、スティーブ・ジョブズだ。ジョブズはアメリカにおける最初のメジャーな「瞑想するCEO」であり、禅仏教の伝統の信奉者、東洋思想の学徒だった。実は、彼は日本人の導師に師事し、ひっそりと、かなり深く研究していたのである。
なお、マインドフルネスは宗教から切り離されている。仏教以外にも瞑想を行う宗教は世界中に存在するが、それらとは基本的に関係がない。あくまでも技術として瞑想を捉える方法だ。特定のやり方で、意図的に、この瞬間に何ら判断を加えることなく注意を向けることが、マインドフルネスである。
日本企業ではまだまだ広まっていないが、やはり同じようにストレスや不安は増大し、休む暇も減っているのだから、いずれマインドフルネスが流行する可能性は十分にある。一人で手軽にできることだから、気になるようなら、一足先に始めてみてはいかがだろうか。
火付け役は、スティーブ・ジョブズ
マインドフルネスは、実はまったく難しいことではない。一言で言ってしまえば、マインドフルネスとは「瞑想」だ。仏教の「座禅」は、立派な、というよりも主流のマインドフルネスである。日本人には身近な行為だが、これまで日本企業が社員に瞑想を奨励するケースは少なかった。研修の一環として座禅を体験するくらいのものだろう。しかしマインドフルネスは、アメリカを中心にいまや企業社会で流行しているのである。火付け役は、スティーブ・ジョブズだ。ジョブズはアメリカにおける最初のメジャーな「瞑想するCEO」であり、禅仏教の伝統の信奉者、東洋思想の学徒だった。実は、彼は日本人の導師に師事し、ひっそりと、かなり深く研究していたのである。
ストレス軽減、集中力アップなどに効果的
マインドフルネスがなぜ流行しているかといえば、手軽な割に効果が大きいからだ。ただ瞑想するだけで、ストレス軽減、集中力アップ、思いやりと優しさのトレーニング、持続可能な幸福感の高まりにつながるといわれている。瞑想を実践すると、たとえば困った上司がいても、自分がリアクションを変え、受ける影響を変えることでストレスを減らすことができるようになる。科学的にも、マインドフルネスを実践していくと、感情入力を処理する皮質領域が厚くなり、偏桃体が小さくなるといった具体的な変化がおこることが証明されている。なお、マインドフルネスは宗教から切り離されている。仏教以外にも瞑想を行う宗教は世界中に存在するが、それらとは基本的に関係がない。あくまでも技術として瞑想を捉える方法だ。特定のやり方で、意図的に、この瞬間に何ら判断を加えることなく注意を向けることが、マインドフルネスである。
日本でも流行する可能性がある
マインドフルネスがグローバル企業を中心に流行している背景には、職場や社会の変化がある。グローバル企業では、以前よりもストレスフルで、勤務時間が増えているところが多い。技術革新や社会変化のスピードが速く、未来がより不確定になってきたことで社員の心には不安が増しているし、スマートフォンなどの発達で、仕事とプライベートの境目はどんどん曖昧になってきており、休む暇がない。これらを解決する方法として、マインドフルネスが注目を浴びているのだ。日本企業ではまだまだ広まっていないが、やはり同じようにストレスや不安は増大し、休む暇も減っているのだから、いずれマインドフルネスが流行する可能性は十分にある。一人で手軽にできることだから、気になるようなら、一足先に始めてみてはいかがだろうか。
<参考文献>
・『マインドフル・ワーク 「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える』(デイヴィッド・ゲレス著、岩下慶一訳 NHK出版)
・『マインドフル・ワーク 「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える』(デイヴィッド・ゲレス著、岩下慶一訳 NHK出版)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
「ヒトは共同保育の動物だ」――核家族化が進み、子育ては両親あるいは母親が行うものだという認識が広がった現代社会で長谷川氏が提言するのは、ヒトという動物本来の子育て方法である「共同保育」について生物学的見地から見直...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/08/31
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本は第二次大戦後に軍事飛行等の技術開発が止められていたため、宇宙開発において米ソとは全く違う道を歩むことになる。日本の宇宙開発はどのように技術を培い、発展していったのか。その独自の宇宙開拓の過程を解説する。(...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/02
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
現代流にいうと地政学的な危機感が日本を中央集権国家にしたわけだが、疫学的な危機によって、それは早い終焉を迎えた。一説によると、天平期の天然痘大流行で3割もの人口が減少したことも影響している。防人も班田収授も成り行...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/01
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
数学も音楽も生きていることそのもの。そこに正解はなく、だれもがみんな数学者で音楽家である。これが中島さち子氏の持論だが、この考え方には古代ギリシア以来、西洋で発達したリベラルアーツが投影されている。この信念に基...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/08/28
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
なぜモンゴルがあれほど大きな帝国を築くことができたのか。小さな部族出身のチンギス・ハーンは遊牧民の部族長たちに推されて、1206年にモンゴル帝国を建国する。その理由としていえるのは、チンギス・ハーンの圧倒的なカリス...
収録日:2022/10/05
追加日:2023/01/07