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DATE/ 2015.11.20

パリ同時多発テロは新しい世界戦争の始まり

 東京大学名誉教授で、先の戦後70年談話(安倍談話)を検討する有識者懇談会にも名を連ねた歴史学者:山内昌之氏は、11/13夜にパリで発生した同時多発テロを「新しい世界戦争の始まり」と評した。

 “今回の事件は、「国家VS国家」でも「ムスリムVS非ムスリム」でも「テロリストVS反テロリズム」でもない。消費生活のもとで幸せを享受している人々を憎悪し、正面から攻撃したという点において誠におぞましく、歴史を振り返ったときに新しい時代、新しい秩序と無秩序が起こった日と思い起こされるかもしれない”としている。

 ローマ教皇フランシス法王も今回のテロ攻撃を「まとまりを欠く、未組織(disorganized)の第三次世界大戦の一部である」と表現した。

 では今回なぜパリが選ばれてしまったのか?

 パリは芸術の都であり、花の都でもある。もっとも健康的な人々が住むと同時に、繁栄とぜいたく、消費を象徴した都市でもある。しかし、今回のテロを実行したテロリストたちからすれば、そこはまさに「背徳の都」あるいは「悪徳の都」だったのだ。

 さらに今回襲撃されたのは、9.11テロのような経済的シンボリック、もしくは政治の中心である官公庁や軍事施設ではなかった。スポーツや音楽、食事やお酒を楽しむ「幸せな人々の週末」そのものが狙われたのだ。

 山内氏は今回の事件をポストモダン(近代主義が成立条件を失った時代)的な歴史現象と捉え、「第一次ポストモダン世界戦争」がはじまった、と大胆な定義をしている。

 いったい何が「第一次ポストモダン世界大戦」という形をつくってしまったのか、シリーズ3話の講義を本日から配信した。以下よりその第1話目をご覧いただこう。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授