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DATE/ 2016.05.13

心に不安を抱えない!イヤなことを忘れるには?

 5月といえば、進学や就職など、新しい環境に入っていき、ようやく少し周りが見渡せるようになってきた時期ではないでしょうか。それは、精神的なストレスを感じやすいときでもあります。なぜストレスを感じるかというと、知らず知らずのうちに「怖い」と思っているからです。

 では、私たちは何を恐れているのか。それは「失敗」です。

私たちは失敗する

 勉強不足、ケアレスミス、判断違い、その他さまざまな要因によって、私たちは失敗をします。

「ちゃんと確認しておけばよかった」
「もっと予習しておくべきだった」
「あのとき、あんなことを言わなければ」

 後悔は心の中にずっと根を張り、なかなか出て行ってくれません。次もまた失敗するのではないか、と緊張して動きが悪くなり、さらに失敗を重ねてしまうという方は少なくないのでは。そんなあなたは、まじめな人です。でも、この悪いスパイラルに陥りがちなのは、実はまじめでひたむきな人間なのです。

「忘れる」ことが成功への道

 多くの失敗は、頭の中に「失敗体験」だけを残し、過去にとらわれたまま次に進もうとする心を妨げます。

 『「イヤなことがなかなか忘れられない人」のための本』の著者・生月誠先生は、イヤなことや失敗があったとき、気持ちを切り替え、「忘れる」ことが大事と言っています。

 まじめな人間は、イヤなことから目を背けてはいけない、問題は解決しない、無責任なことだと思いがちですが、ここで言う「忘れる」というのは一時的なもので、そこから学ばないという意味ではありません。まじめさ一本で勝負するということに、イヤな気持ちを引きずる根本的な原因があるというのです。

 心に不安を抱えたままがんばると、「がんばること」と「不安」が結びついてしまいます。そんなとき、音楽を聞いたり本を読んだりして気を紛らわそうとしますが、それでも頭の中にイヤな出来事が残り続けてしまうことがあります。そんな場合、どうすれば良いでしょうか。

カラダから治すココロの傷

 健全な精神は健全な肉体に宿る、といいます。生月先生によれば、心の安定は体を落ち着かせることによって取り戻すことができるそうです。「失敗ばかりだ」「次は失敗できない」と思い込んでいる人は、緊張で体全体に力が入り、呼吸が浅く、情緒不安定になっています。

 心から歪んでしまった体調は、良くなればまた心の好調へと帰っていきます。深呼吸をし、首をゆっくり回すことで、感じていたプレッシャーや嫌な記憶から一時的に解放されます。このことが、次の成功につながるといっても過言ではありません。

 一時的なんて何の意味もないのでは?という方も、それを続けていくと次第に落ち込みにくくなるのです。

 また、何か言われて傷ついたとき、仕事なり勉強なり、行動のテンポを上げてみると、イヤな気持ちを断ち切りやすいそうです。仕事の効率も上がり、余計な記憶を留めておかなくて済むので一石二鳥。それに、何より特別な動作がいらないので手軽にできますね。

暗示をかける

 もう一つ方法があります。「暗示」「催眠」です。

 「暗示」「催眠」というと、眉唾もののように聞こえますが、かかりやすい人には大きな効果が期待できる、自己暗示という方法。生月先生は、ポジティブな言葉をつぶやくだけで、それが可能だと言います。

「気持ちがとても落ち着いている」
「まじめであることは長所である」

 というように、つぶやくことによって状況が好転していくという例もあります。

「それでいい」で、心から解放されていく

 最後にもう一つ。色々やってみてもやはり忘れられず、失敗を繰り返してしまうことがあります。そんな人に向けて言いたいことは、「それでいい」ということです。持って生まれた気質、育ってきた環境、人の感じ方は様々です。
まじめで気にする性格で得してきたこともあるはずです。あなたのその性格で、人が心地よく過ごせたかもしれません。

 「だめだけど、これでいいんだ」「気にしてもいいんだ」と、どんなこともポジティブに考えていけば、おのずと自分をしばりつけている「こうでなくてはならない」という心から解放されていくのではないでしょうか。

<参考文献・参考サイト>
『「イヤなことがなかなか忘れられない人」のための本』(生月誠著、青春出版社)
http://woman.mynavi.jp/article/140806-44/
http://matome.naver.jp/odai/2141570569201253801
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授