社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
肺がんは近畿、胃がんは〇〇が多い?
統計数字を通じて「住みやすい」都市や地方の姿を探るシリーズ。今回はライフヘルス篇として、平均寿命の長い都道府県、逆にがん死亡率や自殺率の高い都道府県などを調べてみました。
男性の平均寿命第1位は長野県の80.88歳(1990年以来、20年連続の首位)。続いて滋賀県80.58歳、福井県80.47歳。一方、最下位は青森県で77.28歳(1975年以来、35年連続で最下位)。続いて秋田県78.22歳、岩手県78.53歳。東京都の男性平均寿命は79.82歳(14位)と健闘しています。
女性の第1位ですが、こちらも長野県で87.18歳。長野県は1975年からトップを守ってきた沖縄県を抜いて初の1位となり、男性・女性とも平均寿命が1位の“長寿日本一”となりました。2位島根県87.07歳、3位沖縄県87.02歳。一方、最下位は青森県で85.34歳。続いて栃木県85.66歳、和歌山県85.69歳。東京都の女性平均寿命は86.39歳(22位)。全国平均とほぼ等しい数字です。
国立がん研究センターがん対策情報センターのがん情報サービスでは、「全がん75歳未満年齢調整死亡率」を発表しています。1995年分と約20年後の2014年分それぞれの低い5県、高い5県は以下になります。
<全がん75歳未満年齢調整死亡率>
[1995年]
低い5県:長野県、福井県、熊本県、沖縄県、香川県
高い5県、大阪府、福岡県、佐賀県、長崎県、兵庫県
[2014年]
低い5県:長野県、三重県、滋賀県、福井県、宮崎県
高い5県:青森県、北海道、鳥取県、秋田県、佐賀県
こちらでも長野県が第1位ということで、このことが先述の長寿日本一の要因にもなっているといえるかもしれません。
なお、部位別の傾向を見てみると、「胃がん…東北地方の日本海側で死亡率が高い」「肝臓がん…西日本で死亡率が高い」「肺がん…男性では近畿地方で死亡率が高い」「乳がん…大都市圏および東日本で死亡率が高い」「白血病…九州・沖縄地方で死亡率が高い」とのこと。心当たりの方は一度、病院で診てもらうといいでしょう。
日本の自殺率は性別差が激しく、自殺者のおよそ70パーセントを男性が占めることでも有名です。ここでは都道府県別の動向を「人口動態調査」から見てみましょう。2013年の自殺者は26,063人。人口10万人あたり年間20.47人が自殺した年です。
この年に最も自殺者が多かったのは秋田県で、人口10万人あたり26.38人。2位以下は岩手県26.26人、新潟県25.97人、島根県25.21人、群馬県24.80人と続きます。一方、自殺者が最も少ないのは石川県で17.60人。この他、福井県17.61人、岡山県17.62人、神奈川県17.69人、佐賀県17.98人などが下位に入っています。総じて北日本に自殺者が多く、石川県と秋田県を比べると年間でほぼ9人もの差が生じています。
ちなみに、この年の東京都の自殺者は人口10万人あたり19.7人で33位、全国平均を下回る率になっています。
<砂糖(全国平均年間7305g)>
多い3県:長野県9772g、長崎県8999g、宮崎県8953g
少ない3都県:東京都4963g、埼玉県5030g、福井県5109g
<食塩(全国平均年間2692g)>
多い3県:青森県4571g、山形県4298g、秋田県4261g
少ない3県:奈良県1538g、兵庫県1626g、三重県1630g
<酢(全国平均年間2.9リットル)>
多い3県:鹿児島県4.5リットル、岡山県4.2リットル、徳島県3.6リットル
少ない3県:沖縄県2リットル、宮城県2.1リットル、富山県2.1リットル
<醤油(全国平均年間7.9リットル)>
多い3県:山形県11.1リットル、島根県10.3リットル、茨城県9.6リットル
少ない3都県:沖縄県4.9リットル、神奈川県5.5リットル、東京都5.7リットル
<味噌(全国平均年間7301g)>
多い3県:長野県11901g、秋田県10463g、青森県9800g
少ない3府県:和歌山県3258g、大阪府4382g、兵庫県4558g
地域性の違いはあるものの、「何を食べるとがんになる」「この調味料で寿命が長くなる」という相関関係は、あまり感じられないようです。
男女ともに長寿日本一の県は沖縄から長野に変化
日本人の平均寿命が世界一(男女別では女性1位、男性6位)なのは有名ですが、5年に一度厚労省が集計する「都道府県別生命表」を見れば、住んでいる都道府県によって、男性で最大3.6歳、女性で1.8歳の差があることがわかります。以下、2010年の数字が直近になるため、全国平均は男性79.59歳、女性86.35歳の2010年時点と比較してください。男性の平均寿命第1位は長野県の80.88歳(1990年以来、20年連続の首位)。続いて滋賀県80.58歳、福井県80.47歳。一方、最下位は青森県で77.28歳(1975年以来、35年連続で最下位)。続いて秋田県78.22歳、岩手県78.53歳。東京都の男性平均寿命は79.82歳(14位)と健闘しています。
女性の第1位ですが、こちらも長野県で87.18歳。長野県は1975年からトップを守ってきた沖縄県を抜いて初の1位となり、男性・女性とも平均寿命が1位の“長寿日本一”となりました。2位島根県87.07歳、3位沖縄県87.02歳。一方、最下位は青森県で85.34歳。続いて栃木県85.66歳、和歌山県85.69歳。東京都の女性平均寿命は86.39歳(22位)。全国平均とほぼ等しい数字です。
肺がんは近畿、胃がんは東北の日本海側が要注意
もしも生得的な寿命が全国均一で、社会環境や食生活などの後天的な要素によって都道府県格差が生じるのだとすると、女性に比べて男性のほうが後天的な要素による影響を受けやすいようです。「がん」で亡くなる人の割合にも都道府県による差異はあるのでしょうか。国立がん研究センターがん対策情報センターのがん情報サービスでは、「全がん75歳未満年齢調整死亡率」を発表しています。1995年分と約20年後の2014年分それぞれの低い5県、高い5県は以下になります。
<全がん75歳未満年齢調整死亡率>
[1995年]
低い5県:長野県、福井県、熊本県、沖縄県、香川県
高い5県、大阪府、福岡県、佐賀県、長崎県、兵庫県
[2014年]
低い5県:長野県、三重県、滋賀県、福井県、宮崎県
高い5県:青森県、北海道、鳥取県、秋田県、佐賀県
こちらでも長野県が第1位ということで、このことが先述の長寿日本一の要因にもなっているといえるかもしれません。
なお、部位別の傾向を見てみると、「胃がん…東北地方の日本海側で死亡率が高い」「肝臓がん…西日本で死亡率が高い」「肺がん…男性では近畿地方で死亡率が高い」「乳がん…大都市圏および東日本で死亡率が高い」「白血病…九州・沖縄地方で死亡率が高い」とのこと。心当たりの方は一度、病院で診てもらうといいでしょう。
日本の自殺率を上げているのは、どの地方か
もう一つ、平均寿命に大きく影を落とす要因に「自殺」があります。医療大国日本において自殺は主要な死因の一つであり、20~39歳では1位、40~49歳では2位、50~54歳で3位、55~64歳で4位となっています。10万人あたりの自殺者は、0ECD平均が12.4人、日本は20.9人。この高い値は、何度も要注意の勧告を受けています(2014年現在)。日本の自殺率は性別差が激しく、自殺者のおよそ70パーセントを男性が占めることでも有名です。ここでは都道府県別の動向を「人口動態調査」から見てみましょう。2013年の自殺者は26,063人。人口10万人あたり年間20.47人が自殺した年です。
この年に最も自殺者が多かったのは秋田県で、人口10万人あたり26.38人。2位以下は岩手県26.26人、新潟県25.97人、島根県25.21人、群馬県24.80人と続きます。一方、自殺者が最も少ないのは石川県で17.60人。この他、福井県17.61人、岡山県17.62人、神奈川県17.69人、佐賀県17.98人などが下位に入っています。総じて北日本に自殺者が多く、石川県と秋田県を比べると年間でほぼ9人もの差が生じています。
ちなみに、この年の東京都の自殺者は人口10万人あたり19.7人で33位、全国平均を下回る率になっています。
「さしすせそ」の調味料消費と長寿の関係は?
最後に、あくまで参考のためですが、「さしすせそ」調味料の消費量を調べてみました(いずれも総務省家計調査2008年の数字)。<砂糖(全国平均年間7305g)>
多い3県:長野県9772g、長崎県8999g、宮崎県8953g
少ない3都県:東京都4963g、埼玉県5030g、福井県5109g
<食塩(全国平均年間2692g)>
多い3県:青森県4571g、山形県4298g、秋田県4261g
少ない3県:奈良県1538g、兵庫県1626g、三重県1630g
<酢(全国平均年間2.9リットル)>
多い3県:鹿児島県4.5リットル、岡山県4.2リットル、徳島県3.6リットル
少ない3県:沖縄県2リットル、宮城県2.1リットル、富山県2.1リットル
<醤油(全国平均年間7.9リットル)>
多い3県:山形県11.1リットル、島根県10.3リットル、茨城県9.6リットル
少ない3都県:沖縄県4.9リットル、神奈川県5.5リットル、東京都5.7リットル
<味噌(全国平均年間7301g)>
多い3県:長野県11901g、秋田県10463g、青森県9800g
少ない3府県:和歌山県3258g、大阪府4382g、兵庫県4558g
地域性の違いはあるものの、「何を食べるとがんになる」「この調味料で寿命が長くなる」という相関関係は、あまり感じられないようです。
<参考サイト>
・都道府県別統計とランキングで見る県民性
http://todo-ran.com/
・都道府県別統計とランキングで見る県民性
http://todo-ran.com/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結び...
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂
今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点
猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う
ポスト冷戦の終焉と日本政治(1)「偽りの和解」と「対テロ戦争」の時代
これから世界は激動の時代を迎える。その見通しを持ったのは冷戦終焉がしきりに叫ばれていた時だ――中西輝政氏はこう話す。多くの人びとが冷戦終焉後の世界に期待を寄せる中、アメリカやヨーロッパ諸国、またロシアや同じく共産...
収録日:2023/05/24
追加日:2023/06/27
遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
『江戸名所図会』を手がかりに江戸時代の人々の暮らしぶりをひもとく本シリーズ。今回は、遊郭として名高い吉原を取り上げる。遊女の過酷さがクローズアップされがちな吉原だが、江戸時代の吉原には違う一面もあったようだ。政...
収録日:2024/06/05
追加日:2024/11/18
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19