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最も失業率が低い県は?働き方でみる都道府県ランキング
統計に表れる数字を通じて、各都道府県の「住みやすさ」を探るシリーズ。今回はワークスタイル篇です。「地域おこし」「田舎暮らし」「Iターン」などを考える上でも、生活を支えるための「就業機会」がどの程度あるかは、最も気になるところです。都道府県別のワークスタイル状況を探ります。
失業率の全国平均は3.4パーセント。都道府県で一番高いのは、沖縄県で5.1パーセント。2位以下には青森県4.5パーセント、大阪府、福岡県4.2パーセント、秋田県、宮城県3.8パーセントと続きます。今回のデータは参考程度にしたほうがいいとはいえ、雑誌「田舎暮らしの本」2015読者アンケートで移住したい都道府県ランキング4位に入っている沖縄県が年間完全失業率1位とはショックですね。一方、最も失業率が低いのは福井県で1.9パーセント。滋賀県、三重県2.2パーセント、富山県2.3パーセント、岐阜県2.4パーセントが続いています。
ちなみに東京都の完全失業率は、全国平均を上回る3.6パーセント。人口の多さを考え合わせると、状況は決して明るいとはいえません。また、失業率の高さと未婚率は相関関係が高いともいわれています。不安定な経済状況が結婚をあきらめさせる原因となるのは致し方ないとはいえ、何らかの逆転策によって、失業と少子社会から同時に脱出することも可能といえるのではないでしょうか。
厚生労働省の報道発表資料による2012年の数字によると、全国平均は1.37倍で、求人倍率第1位は東京都で4.34倍。続いて、愛知県1.89倍、大阪府1.86倍、京都府1.77倍、広島県1.74倍となります。ただし、この数字は当然のことながら、高卒求職者数との関係があります。東京都の高卒求職者数は、高校3年生100人あたり5.27人と、全国平均15.04人を大きく下回し最下位。大学進学率が高いからなのはいうまでもありません。
最も非正規雇用率が高いのは、沖縄県で44.52パーセント。2位は北海道42.82パーセントで、京都府41.75パーセント、大阪府41.30パーセント、福岡県39.97パーセントと続きます。一方、最も非正規雇用率が低いのは福井県で32.73パーセント。富山県32.89パーセント、徳島県33.74パーセント、新潟県34.08パーセント、福島県34.74パーセントと続きます。
このように見ると、「年間完全失業率」でも低位を誇っていた福井県や富山県の「正規雇用率」の高さが光ります。従業員が安心して働ける県は、日本海側に集中しているということでしょうか。
圧倒的に多いのは東京都の総数905人で、人口10万人あたり7.09人に上ります。第2位の静岡県の総数182人も、人口10万人当たりでは4.79人となり、この2都県が他県よりも高い内定取り消し率となっていました。
さらに「派遣切り」はどうでしょうか。厚労省が生産年齢人口(15~64歳)10万人あたりの数字を発表しています(2009年)。それによると、ワースト1は愛知県799.59人。続いて山形県788.84人、長野県761.97人。リーマン・ショックの翌年だったからか、自動車産業関連事業の多い愛知県、長野県などが直撃を受けました。
全国の起業家の総数は145万500人で人口100人あたり1.14人。国民のおよそ1パーセントが起業家ということになりますが、「人口」には子どもやお年寄りも含まれていることをお忘れなく。
起業家がもっとも多いのは東京都で、人口100人あたり1.9人。2位は神奈川県1.3人で、以下、埼玉県1.29人、群馬県1.25人、山梨県1.22人の順です。一方、もっとも少ないのは岩手県と0.67人で、秋田県0.67人(総数は岩手より多い)、沖縄県0.72人、高知県0.73人、滋賀県0.76人と続いています。
なお起業家と自営業のボーダーラインは難しく、混同しがちです。政府などの統計上での「自営業」とは、「個人経営の商店主、工場主、開業医、弁護士、著述家、家政婦など自分で事業を営んでいる者」。従業員の有無や会社組織にしているかどうかは問いません。また「起業家」とは、「過去1年間に職を変えたり新しく職に就いた者のうち、現在は自営業主(内職者を除く)となっている者」とされています。この点にも、ご注意を。
環境に恵まれた地方で、自分の腕やIT力をふるって起業! それを成功させている人の例は、残念ながら現状では例外なのでしょう。でも、だからこそチャレンジする意味もあるのかもしれません。
「住みたい町」が「働ける町」とは限らない
よほど潤沢なリタイア資金を持って移住するのでないかぎり、気になるのはその土地で働けるのかどうか、ということ。まず総務省の「労働力調査」から「年間完全失業率」のランキングを見てみましょう(以下は2015年度の調査結果ですが、「労働力調査」はもともと都道府県別の分析を目的としていないため、結果精度は「十分に確保できない」と発表時に明言されています。参考程度にしたほうがいいでしょう)。失業率の全国平均は3.4パーセント。都道府県で一番高いのは、沖縄県で5.1パーセント。2位以下には青森県4.5パーセント、大阪府、福岡県4.2パーセント、秋田県、宮城県3.8パーセントと続きます。今回のデータは参考程度にしたほうがいいとはいえ、雑誌「田舎暮らしの本」2015読者アンケートで移住したい都道府県ランキング4位に入っている沖縄県が年間完全失業率1位とはショックですね。一方、最も失業率が低いのは福井県で1.9パーセント。滋賀県、三重県2.2パーセント、富山県2.3パーセント、岐阜県2.4パーセントが続いています。
ちなみに東京都の完全失業率は、全国平均を上回る3.6パーセント。人口の多さを考え合わせると、状況は決して明るいとはいえません。また、失業率の高さと未婚率は相関関係が高いともいわれています。不安定な経済状況が結婚をあきらめさせる原因となるのは致し方ないとはいえ、何らかの逆転策によって、失業と少子社会から同時に脱出することも可能といえるのではないでしょうか。
育った町で働けるのかどうかをチェックする
その町で育った若者が就職できる町なのかどうかも問題です。「高卒求人倍率」ランキングを見てみましょう。厚生労働省の報道発表資料による2012年の数字によると、全国平均は1.37倍で、求人倍率第1位は東京都で4.34倍。続いて、愛知県1.89倍、大阪府1.86倍、京都府1.77倍、広島県1.74倍となります。ただし、この数字は当然のことながら、高卒求職者数との関係があります。東京都の高卒求職者数は、高校3年生100人あたり5.27人と、全国平均15.04人を大きく下回し最下位。大学進学率が高いからなのはいうまでもありません。
「正規雇用」をゲットしたければ、日本海側へ移住?
ワークスタイルの中でも「格差」の代名詞となっている「非正規雇用率」のランキングはどうでしょうか。総務省の「就業構造基本調査」を見てみましょう。2012年時点で、全国平均の非正規雇用率は38.15パーセント。企業で雇用されている労働者の5人に2人ほどが非正規労働者ということになります。最も非正規雇用率が高いのは、沖縄県で44.52パーセント。2位は北海道42.82パーセントで、京都府41.75パーセント、大阪府41.30パーセント、福岡県39.97パーセントと続きます。一方、最も非正規雇用率が低いのは福井県で32.73パーセント。富山県32.89パーセント、徳島県33.74パーセント、新潟県34.08パーセント、福島県34.74パーセントと続きます。
このように見ると、「年間完全失業率」でも低位を誇っていた福井県や富山県の「正規雇用率」の高さが光ります。従業員が安心して働ける県は、日本海側に集中しているということでしょうか。
「内定取り消し」「派遣切り」にも地域性はある?
さて、働く側にとって最も避けたい状況は何でしょうか。少し数字は古いのですが、「内定取り消し」についてのランキングが厚生労働省から発表されています(2009年度)。圧倒的に多いのは東京都の総数905人で、人口10万人あたり7.09人に上ります。第2位の静岡県の総数182人も、人口10万人当たりでは4.79人となり、この2都県が他県よりも高い内定取り消し率となっていました。
さらに「派遣切り」はどうでしょうか。厚労省が生産年齢人口(15~64歳)10万人あたりの数字を発表しています(2009年)。それによると、ワースト1は愛知県799.59人。続いて山形県788.84人、長野県761.97人。リーマン・ショックの翌年だったからか、自動車産業関連事業の多い愛知県、長野県などが直撃を受けました。
「地方で起業!」を夢で終わらせるのか
最後に総務省の「就業構造基本調査」(2012年)に戻って、人口100人あたりの起業家数の順位を見てみましょう。全国の起業家の総数は145万500人で人口100人あたり1.14人。国民のおよそ1パーセントが起業家ということになりますが、「人口」には子どもやお年寄りも含まれていることをお忘れなく。
起業家がもっとも多いのは東京都で、人口100人あたり1.9人。2位は神奈川県1.3人で、以下、埼玉県1.29人、群馬県1.25人、山梨県1.22人の順です。一方、もっとも少ないのは岩手県と0.67人で、秋田県0.67人(総数は岩手より多い)、沖縄県0.72人、高知県0.73人、滋賀県0.76人と続いています。
なお起業家と自営業のボーダーラインは難しく、混同しがちです。政府などの統計上での「自営業」とは、「個人経営の商店主、工場主、開業医、弁護士、著述家、家政婦など自分で事業を営んでいる者」。従業員の有無や会社組織にしているかどうかは問いません。また「起業家」とは、「過去1年間に職を変えたり新しく職に就いた者のうち、現在は自営業主(内職者を除く)となっている者」とされています。この点にも、ご注意を。
環境に恵まれた地方で、自分の腕やIT力をふるって起業! それを成功させている人の例は、残念ながら現状では例外なのでしょう。でも、だからこそチャレンジする意味もあるのかもしれません。
<参考サイト>
・都道府県別統計とランキングで見る県民性
http://todo-ran.com/
・総務省のホームページ(「平成24年就業構造基本調査」より)
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/
・都道府県別統計とランキングで見る県民性
http://todo-ran.com/
・総務省のホームページ(「平成24年就業構造基本調査」より)
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/
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