テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.12.01

利息・利子・利回り・利率の違いって?

 銀行や金融機関で使われる「利息」「利子」「利回り」「利率」。同じような言葉ですが、これらに違いはあるのでしょうか。使い分けが必要な場面はあるのでしょうか。

利息は払う側、利子はもらう側の呼び方?

 利息や利子はお金を預けたり運用したりする時にも気になりますが、最も気になるのは貸し借りの時ではないでしょうか。

 もともとは貸し手が受け取る一定額の報酬についての取り決めが「利息」、借りた方が貸し手に支払う金額が「利子」と呼ばれていました。しかし、実際にはまぜこぜに使われています。

 銀行などでは、自社が定期預金などにつけるお金を「利子」、ローンなどで受け取るお金を「利息」と呼んでいます。預金者側からは、もらう方が「利子」、払う方が「利息」になります。

 それほど気にして使い分ける必要はありませんが、「利子」も「利息」も金額を表すものという点が共通しています。

金利、利率、利回りはレートに使う

 金利や利率、利回りという言葉は、「利子」・「利息」を計算するためのレート(割合)です。こちらは通常%で表示されます。

 例えば、100万円の定期預金を年利(1年あたりの利率)0.1パーセントで預けておくと、「利子」・「利息」は1000円、金利・利率・利回りは0.1パーセントということになります。

 ゆうちょ銀行だけは「貯金」という言い方が慣例的に使われていますが、預金と意味は同じ。ちなみにゆうちょ銀行の定期貯金の利率は、2016年3月以降、ひと月以上5年まで変わらず0.01パーセントとなっています。預けている側にとっては、通常貯金と変わらない「利子」となります。

金利、利率、利回りの違い

 金利や利率、利回りは、特に前置きがない場合は1年あたりの金利である「年利」を指しています。1カ月単位では「月利」、1日当たりでは「日歩(ひぶ)」と呼びます。特に日歩は証券会社などでお金を運用する時によく使われる言葉です。

 金利と利率の違いは、ありません。どちらも「1年に発生する利子の元本に対する割合」を指します。

 「利回り」だけは少し違います。金利や利率は1年間同じ割合を指していますが、利回りでは「特定の運用に対する収益を1年当たりに換算したもの」となるのです。

 どういうことかというと、金融市場では「半年複利」「1カ月複利」など、さまざまな運用のケースがあるからです。

 元本100万円に対して、半年複利で2パーセントの運用がされた場合、

半年目:1,000,000×1.02=1,020,000円
1年目:1,020,000×1.02=1,040,400円

となります。この場合の利回りは2パーセントではなく、4.04パーセントとなります。

 このように、「利息」が「利息」を生むことを複利と呼びます。資産運用や投資の場合、より実態に即しているのは金利より「利回り」ということになります。金融商品を比較するときは、金利と利率、利回りの違いはしっかり把握して見比べるのがよいでしょう。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?

今井むつみ先生が2024年秋に発刊された岩波新書『学力喪失――認知科学による回復への道筋』は、とても話題になった一冊です。今回、テンミニッツ・アカデミーでは、本書の内容について著者の今井先生にわかりやすくお話しいただ...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/16
2

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
3

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯

ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生...
収録日:2022/10/13
追加日:2023/03/16
江崎昌子
洗足学園音楽大学・大学院教授 日本ショパン協会理事
4

最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性

最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性

未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術

技術の発達・発展により、宇宙空間を利用したさまざまなサービスが考え出されている。人間の環境を便利にするものであり、また攻撃技術にもつながるものであるが、さまざまな可能性を秘めている。さらに宇宙空間の利用は、天文...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/10/19
川口淳一郎
宇宙工学者 工学博士
5

中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う

中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う

クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か

近年、アフリカで起こったクーデターは、イスラム過激派の台頭だけではその要因を説明できない。ではクーデターはなぜ起こるのか。また、台湾よりも中国のほうがクーデターが起こる可能性はないのか。クーデターは本当に「ラス...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/18
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長