社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
AIに奪われない最後まで残る人間の仕事とは?
2016年11月23日、二十五世本因坊治勲(趙治勲九段)と国産囲碁ソフト「DeepZenGo(ディープゼンゴ)」が対局、注目を集めました。AIとトップ棋士のハンディなし対局は初めて。結果は治勲が2勝1敗で勝ち越しましたが、AIの短期的な学習能力に驚きの声も上がりました。人工知能(AI)と人間が戦う日は来るのか。「仕事」という観点から調べてみました。
なくなる仕事トップ5は以下になります。
「電話販売員(テレマーケター)」
「不動産登記の審査・調査」
「手縫いの仕立て屋」
「コンピュータを使ったデータの収集・加工・分析」
「保健業者」
一方、残る職業トップ5は以下になります。
「レクリエーション療法士」
「整備・設置・修理の第一線監督者」
「危機管理責任者」
「メンタルヘルス・薬物関連ソーシャルワーカー」
「聴覚訓練士」
自分の職業がどうか?と照らし合わせるだけではAIに負ける危険が高いかもしれません。このリストが何をもとにつくられたのかを確認してみましょう。
日本の職業事情に置き換えてみると、AIによる影響が大きそうなのは、銀行の窓口担当、不動産登記代行、保険代理店、証券会社の一般事務、税務申告書代行者など、金融・財務・税務系で数字を主に扱う仕事です。また、スポーツの審判や荷物の受発注業務、工場機械のオペレーターなど「手続き化しやすい」職業もなくなる確率が高いと言われています。
一方、残るほうのリストを見ると、医師や歯科医、リハビリ専門職、ソーシャルワーカー、カウンセラーなど、「対人コミュニケーション」が必要な職業が多く挙げられています。
5年以内に変化が見られそうなのは、会計や法律、マーケティングにおけるデータ分析、広告や画像診断、防犯・監視などの分野。
さらに中期的(5~15年)に見ると、生産管理やデザインなどの領域で仕事のやり方に変化がみられるとも予測されます。特に「異常検知」というタスクについて、AIの能力が急速に上がっているため、センサーとの組み合わせでルーティンワークの多くはAIに任せることができるようになっていきます。
「何かおかしい」ことが発生した時だけ人間が対応する職場も増えるかもしれません。ただし、この時点では「ルーティンでない仕事、クリエイティブな仕事(顧客の例外対応をする、提案書を書くなど)」は、まだまだ人間の仕事として重要なものだと言います。
前者は経営判断など、後者はセラピストや営業、レストランの店員など、とても対照的ですね。
なぜそんな変化がもたらされるかというと、人工知能において「ディープラーニング」という画期的な学習が浸透してきたからです。
「なくなる職業」がどんどん増えている?
人工知能(AI)の発達が人の職業を奪うのではないかと迫る予測が、いろんなメディアをにぎわせていますね。どういう仕事が残りやすく、どういう仕事はなくなりやすいのかを考える時に、最も参考にされているのは2013年にオックスフォード大学が発表した論文「あと10年~20年でなくなる職業と残る職業のリスト」です。なくなる仕事トップ5は以下になります。
「電話販売員(テレマーケター)」
「不動産登記の審査・調査」
「手縫いの仕立て屋」
「コンピュータを使ったデータの収集・加工・分析」
「保健業者」
一方、残る職業トップ5は以下になります。
「レクリエーション療法士」
「整備・設置・修理の第一線監督者」
「危機管理責任者」
「メンタルヘルス・薬物関連ソーシャルワーカー」
「聴覚訓練士」
自分の職業がどうか?と照らし合わせるだけではAIに負ける危険が高いかもしれません。このリストが何をもとにつくられたのかを確認してみましょう。
なぜ「なくなる」と判断されたのか?
これは、イギリスにおける702個の職業を「手先の器用さ」「芸術的な能力」「交渉力」「説得力」など、九つの性質に分解し、予想をつけたものです。日本の職業事情に置き換えてみると、AIによる影響が大きそうなのは、銀行の窓口担当、不動産登記代行、保険代理店、証券会社の一般事務、税務申告書代行者など、金融・財務・税務系で数字を主に扱う仕事です。また、スポーツの審判や荷物の受発注業務、工場機械のオペレーターなど「手続き化しやすい」職業もなくなる確率が高いと言われています。
一方、残るほうのリストを見ると、医師や歯科医、リハビリ専門職、ソーシャルワーカー、カウンセラーなど、「対人コミュニケーション」が必要な職業が多く挙げられています。
「何かおかしい」と気付いた後が人間の出番?
『人工知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの』の著者であり、10MTVで講師を務める日本のAI研究のトップランナー松尾豊氏(東京大学特任准教授)によると、「どのくらいの時間を念頭に置くか」で、その答えは大きく変わってくるといいます。5年以内に変化が見られそうなのは、会計や法律、マーケティングにおけるデータ分析、広告や画像診断、防犯・監視などの分野。
さらに中期的(5~15年)に見ると、生産管理やデザインなどの領域で仕事のやり方に変化がみられるとも予測されます。特に「異常検知」というタスクについて、AIの能力が急速に上がっているため、センサーとの組み合わせでルーティンワークの多くはAIに任せることができるようになっていきます。
「何かおかしい」ことが発生した時だけ人間が対応する職場も増えるかもしれません。ただし、この時点では「ルーティンでない仕事、クリエイティブな仕事(顧客の例外対応をする、提案書を書くなど)」は、まだまだ人間の仕事として重要なものだと言います。
最後まで残る「人間の仕事」とは何か
2030年以降の長期的な見通しとしては、「例外対応まで含めて、人工知能がカバーできる領域が増える」とされています。人間に最後まで残る仕事は「非常に大局的でサンプル数の少ない、難しい判断を伴う業務」、「人間に接するインターフェースとしての人間」の2種類だとするのが、松尾氏をはじめとする専門家の見方です。前者は経営判断など、後者はセラピストや営業、レストランの店員など、とても対照的ですね。
なぜそんな変化がもたらされるかというと、人工知能において「ディープラーニング」という画期的な学習が浸透してきたからです。
<参考文献>
『人工知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの』(松尾豊著、KADOKAWA/中経出版)
『人工知能は人間を超えるか-ディープラーニングの先にあるもの』(松尾豊著、KADOKAWA/中経出版)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
国際的に見て、政府の債務残高が大きい日本。その背景には、バブル崩壊後の財政赤字を取り戻せていないことがあった。その一方で、預金残高も高い日本。所得が低いのに預金が多い日本の謎を解説する。(全4話中第2話)
※...
※...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
日本の陸軍は第二次世界大戦を「100年戦争」であると見なした。勝てる見込みは少なかったにもかかわらず、天皇と国民の一体性という精神主義によって、総力戦になだれこんでいった。石原莞爾が満州事変を起こした時に描いたスト...
収録日:2020/02/26
追加日:2020/08/04
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15