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DATE/ 2017.01.16

有休消化率は世界最低!日本人の「社畜」傾向

 うわっ、私たちみんな社畜…?日本人の美徳の1つとして勤勉さが挙げられますが、その一方で有休消化率が世界最下位級というデータも発表されました。

有休の半分はパー…でも不足感なし?

 総合旅行サイトのエクスペディアが、有給休暇の国際比較調査を実施。世界28ケ国18歳以上の有職者9,424人を対象としたもので、日本は3年ぶりの最下位となりました。ブラジル、フランス、スペインは30日支給され、消化率100%。一方、日本は支給日数では最下位にならなかったものの、20日支給で消化は10日、つまり消化率は50%。53%の韓国をわずかに下回り、「最も有休を取りづらい国」となってしまいました。

 過去9年の調査結果を見ると、最も消化率が悪かった2012年の38%よりは消化率が上がっているものの、消化率以外でも日本人の“社畜的傾向”を示すデータがあります。たとえば「休み不足を感じている人の割合」。消化率が低ければ休みが足りないと思う人も多いのが自然なはずですが、なんと最下位の34%。そもそも休みが足りないとそれほど思っていないのです。ちなみに有休が30日も支給され、消化率100%のスペイン人の68%は休み不足と感じているとのこと。世界一休んでいるのに、まだまだ休み足りないようです。

休みづらい、休んでも仕事が気になる…

 さらに有休取得に罪悪感を感じる人という統計では、日本は世界2位の59%(1位は韓国の69%)。そもそも自分の有休支給日数を知らない人の割合はダントツ1位の47%。2位の韓国(21%)に2倍以上の差をつけています。そして、休んだにもかかわらず「一日中仕事のメールを見てしまう」という人の割合も世界2位の22%(1位は韓国の23%)。せっかくの休みでもなかなか気が休まらない、という人も少なくないようですね。

 有給休暇取得の法的な義務化が取り沙汰されるなどかつてに比べれば有休を取りやすくなってはいるものの、国際レベルではまだまだということが浮き彫りになってしまいました。

 上記の調査結果を見るに、ただ単に休みが取りづらいという制度的な問題ではなく、日本人の考え方が有休取得向上の方向に向いていないのではないかとさえ感じてしまいます。これを仕事熱心ととればいいのか、あるいは会社に飼いならされてしまっていると見るか。諸外国並みに有休消化率を上げるためには、制度的なアプローチだけではなく、有休消化を当然とする風潮を盛り上げていくことも必要かもしれません。

<参考サイト>
・Expedia 有休消化率3年ぶりに最下位に!有給休暇国際比較調査2016
https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2016/
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授