テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.02.02

共働き・子育てがしやすい企業とは?

結婚すると男性は収入が上がり、女性は収入が下がる!?

 女性の社会進出が大きなトピックとなって久しいですが、現状はどうなのでしょうか。2013年の明治安田生活福祉研究所の調査によると、30代未婚女性の7割近くが結婚相手として年収400万以上の男性を、また3割が年収500万以上の男性を希望しているそうです。これに対して、30代未婚男性でそうした稼ぎがあるのは3割弱、5割は年収300万未満という結果が出ています。

 この状況を見れば、未婚者が多い理由の一部はわかります。しかし、これは単に女性が高望みしているという話ではありません。武蔵野大学、杏林大学兼任講師の舞田敏彦氏によると、結婚すると男性は収入が上がり、女性は収入が下がるそうです。つまり、女性で高い収入を得ているのは未婚の女性なのです。こうなれば、結婚を望む女性が相手に高収入を求めるのも当然と言えるでしょう。

共働き子育てしやすい企業は?

 一方、日経BP社の共働き子育て家庭向け情報サイト日経DUALでは「共働き子育てしやすい企業2016」TOP20社を発表しています。女性の社会進出に取り組んでいる企業100社に調査票を送り、回答を受けて選出するものです。重視された評価基準は以下の通り。

1. 男性社員の多くが(3日以上連続の)育児休業を取得しているか
2. 産育休を取得する(している・した)社員を対象に、両立支援の取り組みを実施しているか
3. 2の両立支援の取り組みには、社員の配偶者も巻き込んでいるか
4. 在宅勤務制度があり、多くの社員に利用されているか
5. 月ごとの平均残業時間が短いか
6. 恒常的な残業を削減する取り組みを行っているか
7. イクボスを増やす取り組みを実施しているか
8. 社員の保活をサポートする取り組みがあるか
9. フレックス勤務制度を取り入れており、多くの社員により利用されているか
10. 業務効率化の施策を行っているか
11.「時間当たり生産性」を社員の人事評価に入れているか
12. 性別や年齢等の属性に関係なく受けられる、キャリア教育の機会があるか
13. 経営戦略に「育児中社員の両立支援」や「働き方の改革」という視点が盛り込まれているか

 以上の項目から、時間の拘束をなるべく少なくするような取り組みや、男性の育児参加というところを重視していることがうかがえます。男女社員がともに仕事と育児を両立して行うことができるかがポイントで、男性も休みを取りやすくなる、また残業にたよらない労働形態が大事になるということです。

 ちなみに、優良とされた企業のトップ5は以下の通りです。

1位:サントリーホールディングス
2位:丸井グループ
3位:ダイキン工業
4位:日本生命保険
5位:ピジョン

より自由な労働の形が一般化するために

 今後、こうした取り組みがひろがり、長時間労働によらない効率的な労働システムが導入されれば、既婚・未婚、男性・女性という違いを超えた、より自由な労働の形が一般化するのではないでしょうか。そうなれば、長時間労働だけでなく、ワーキングプアに関する問題にも光がさすかもしれません。

 ということで、女性の社会進出にともなって、会社の労働環境がどう変わっていくのか、今後も注目していきたいところです。

<参考サイト>
・BLOGOS:正視に耐えない残酷な現実「男性の年収と未婚率」(武蔵野大学、杏林大学兼任講師 舞田敏彦=文・図版)
http://blogos.com/article/203791/
・日経電子版:日経DUAL「共働き子育てしやすい企業2016」TOP20社を発表!
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO10486190Z01C16A2000000?channel=DF260120166497
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために

百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために

大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために

硫黄島の戦いでの奇跡的な物語を深く探究したノンフィクション『大統領に告ぐ』。著者の門田隆将氏は、「読者の皆さんには、その場に身を置いて読んでほしい」と語る。硫黄島の洞窟の中で、自分が死ぬ意味を考えていた日本人将...
収録日:2025-07-09
追加日:2025/08/15
門田隆将
作家 ジャーナリスト
2

日本は集権的か分権的か?明治以来の国家の仕組みに迫る

日本は集権的か分権的か?明治以来の国家の仕組みに迫る

「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念

今も明治政府による国家モデルが生きている現代社会では、日本は中央集権の国と捉えられがちだが、歴史を振り返ればどうだったのかを「集権と分権」という切り口から考えてみるのが本講義の趣旨である。7世紀に起こった「大化の...
収録日:2025-06-14
追加日:2025/08/18
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
3

原発建設には10年以上も…小型モジュール炉の可能性と課題

原発建設には10年以上も…小型モジュール炉の可能性と課題

日本のエネルギー政策大転換は可能か?(2)世界のエネルギーと日本の原発事情

再生可能エネルギーのシェアが世界的に圧倒的な伸びを見せる中、第7次エネルギー基本計画において原子力発電を最大限活用する方針を示した日本政府だが、それはどこまで現実的なのか。国際エネルギー機関が発表した今後のエネル...
収録日:2025-04-04
追加日:2025/08/17
鈴木達治郎
長崎大学客員教授 NPO法人「ピースデポ」代表
4

全ては経済?…米中対立の現状とリスクが高まる台湾危機

全ては経済?…米中対立の現状とリスクが高まる台湾危機

トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(2)米中対立の現在地

世界第一、第二の経済力を誇る米中の対立は由々しい問題である。第1次トランプ政権下で始まった対立はバイデン政権に継承されてきたが、トランプ第2次政権では主題はもっぱら経済に集中している。われわれも米中協議の行方を注...
収録日:2025-06-23
追加日:2025/08/14
佐橋亮
東京大学東洋文化研究所教授
5

なぜウェルビーイングが大事?DEIとの関係と価値の多様化

なぜウェルビーイングが大事?DEIとの関係と価値の多様化

DEIの重要性と企業経営(2)人的資本経営とウェルビーイング経営

今、企業の中に「人的資本経営」が急速に浸透している。経産省の定義によると、人的資本経営とは、人材を資本と捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方のこと。類似する概念と...
収録日:2025-05-22
追加日:2025/08/15
山本勲
慶應義塾大学商学部教授