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DATE/ 2017.03.17

知られざる「トモダチ作戦」…健康被害の実態

知られざる「トモダチ作戦」の健康被害

 東日本大震災以降、脱原発を実現するべく活動を行っている元内閣総理大臣の小泉純一郎氏。活動を進めていく中で、「トモダチ作戦」に参加した兵士たちの健康被害について知ります。東日本大震災当時、太平洋上を航行していた原子力空母ロナルド・レーガンは、日本政府の要精に応じて、被災地の支援に駆けつけます。これがトモダチ作戦です。

 米軍兵士たちは、沖合に停泊した空母からヘリコプターで現地に向かい、さまざまな活動を行いました。その後、彼らは深刻な健康被害に悩むことになります。

 なぜそんなことになってしまったのでしょうか。彼らはもしかすると、福島第一原発事故の影響で、外側だけでなく内側からも被ばくしていたのではないかと、小泉氏は考えます。屋外での活動を終えた兵士たちからは放射能が検出されます。しかも防護服を脱いでもまだ放射能(測定器)が鳴っていたそうです。後に聞いた話ですが、兵士たちが使うシャワーは、沖合の海水を真水にして使用したものでした。そこでは塩分は除去できるのですが、放射性物質は除去できないとのこと。またその真水は、空母上での食事にも使われていました。つまり、兵士たちは、外部だけでなく内部からも被ばくしてしまった可能性があるということです。

 小泉氏は、カリフォルニアで10人の兵士たちに話を聞きました。以前であれば健康そのものだった彼らの体は、トモダチ作戦によって一変してしまいました。ある者は、鼻血や下血が止まらなくなり、除隊せざるを得なくなりました。作戦当時、妊娠をしており、その後障害を持った子どもを産み、やがて亡くしてしまった女性兵士もいます。日本国民は、トモダチ作戦のこうした現実を、知らないままで過ごしてきたのです。

政府もマスメディアも静観?

 トモダチ作戦の健康被害は、どうして問題にならなかったのでしょうか。まずマスメディアは、この問題をほとんど報道しませんでした。アメリカ政府も、事態を把握していましたが、国防総省から出された報告書では、健康被害は放射能被ばくによるものとは断定できないとされています。

 そこで、東京電力との裁判が始まるわけですが、裁判をアメリカでやるのか日本でやるのかすら、最終的な結論が出るのはしばらく先のようです。日本政府は、係争中であるということで、この件に関して静観している様子です。

寄付金は1億円を超えた!広がる支援の輪

 そこで小泉氏が始めたのが、「トモダチ支援基金」です。2016年7月から2017年3月までの9カ月間で1億円を集め、それをトモダチ作戦の健康被害を受けた兵士たちに、見舞金として届けるという壮大なプロジェクトです。

 無謀な挑戦、と思われるかもしれません。しかし小泉氏の熱意に共感した支援の輪は、広がっていきます。その一人である安藤忠雄氏は、大阪で小泉氏を招いて講演会を開き、そこで集めた会費を全額寄付するという方法を提案してくれました。そして、なんと一度に1000万円以上の寄付が集ったそうです。2017年3月時点で寄付は1億円を超え、さらに集まっていると聞きます。こうして、小泉氏が始めた米軍兵士への支援の輪は、確実に広がっているのです。
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授