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人間的に生きるためには「不幸になる」のがいい

崇高と松下幸之助(8)現代人と執行草舟

概要・テキスト
現代人の脳は、既にAIよりも劣っているかもしれないと執行先生は指摘する。また、そのような現代人に必要なものは、武士道精神であり、「不幸になる」ことが大切だと語る。その本当の意味と、武士道精神を貫いている執行先生の生い立ちとはどのようなものだったのかについて紐解く。(全8話中第8話)
※インタビュアー:神藏孝之(公益財団法人松下政経塾 副理事長)
時間:09:41
収録日:2019/02/06
追加日:2019/04/26
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≪全文≫

●人間よりもAI


執行 僕がみんなに言っているのは、松下幸之助というのは、優れていて、頭が良くて、面白い。これは決まっていることです。その決まっていることを、理解する能力がないというのが、現代人の傲慢さなのです。だから表面の言葉に惑わされるのです。これだけの事業は誰も創れません。では、どうして創ることができたかといえば、頭がいいからです。そういう簡単な英知が現代人にはありません。そのため表面上の言葉に惑わされるのです。だから滅びるでしょう。これが人間ではなくて、AIならすぐに答えられます。

―― ずば抜けて賢くなければこんなことできるわけができるわけありません。しかも一回、五十歳のときに焼野原にされている訳です。

執行 それを言っています。それをなるべく分かるように『悲願へ―松下幸之助と現代―』(PHP研究所)を書いています。そのとてつもなく頭がいい人が、宗教心が好きだったのです。ということは、宗教心が非常に正しいということです。(松下の根幹です。)そう捉えないことには、駄目だということです。それが分からなければ現代人は脳が腐っています。

 この間テレビでAIについてやっていたが、AIを扱った人気になった健康番組で、AIに健康に一番いいのは何かを問うたら「読書」と答えを出しました。しかし読書が健康にいいとは誰も思っていません。だったら読書をするための「好奇心がいいのだろう」ということや「読書をするために本を探して、歩くことがいいのではないか」ということなど、いろんなこと(回答と違うこと)を皆が喋っています。人間の方は頭が腐っています。要するに、統計学上、読書がいいとなったら、読書がいいのです。そのように捉えられなくなっています。

 AIについて勉強すると、現代人が腐っているのが分かる。僕が見ていると、AIのほうが、ずっと人間的です。原始キリスト教に近いです。AIというのは、人類の根源に近いものがあると僕は思っています。「人間とは何か」と質問すると、たぶんAIの答えは、「命よりも大切なものがある」ということや「自分の命よりも大切なものに命を投げ出せないなら、人間ではない」と、答えが出ると思います。僕と同じです。僕はAIみたいだからです。僕はわりと原始と結びついていますから。まさに原始キリスト教です。AIについて何度か考えることがあったが、大体においてAIが正しい。しかし、現代人...
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