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命よりも大切な掟のために自分の命を捧げることが文明

崇高と松下幸之助(2)文明と原始キリスト教

概要・テキスト
人類は今の文明の崩壊を迎えようとしている。松下幸之助はこのことをPHP理念の中で予言していた。では、なぜ崩壊してしまうのか。また、そもそも文明を創った正体とは何であったのか。ギリシャの哲学者であるソロンの言葉や原始キリスト教の思想を紹介しながら、文明のあるべき姿に迫る(全8話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(公益財団法人松下政経塾 副理事長)
時間:09:27
収録日:2019/02/06
追加日:2019/04/08
カテゴリー:
≪全文≫

●人類の文明的敗戦


―― 松下幸之助が敗戦のときにPHP理念を唱えたのは予言者、革命家であった、と仰っていますが、まさに同じことが、これから確実にまた敗戦が来るのですね。

執行 あの時は戦争だったからすごく分かりやすいです。でも今後来る敗戦はもっと大きいのです。精神の崩壊です。昔は物質の崩壊だから、あの時の敗戦は悲惨ではあるけど、簡単で分かりやすいです。

 今度は悲惨で分かりにくいです。人間が全員、家畜化されるが、家畜は家畜になったとは分かりません。家畜は家畜になるほど、自分たちは「幸せ」だと思うので、厳しいのです。だから松下幸之助の頃よりももっと大きい敗戦になります。これは僕に言わせると「人類の文明的敗戦」です。だから大きいです。

 でも本当の敗戦が来るから、人類が誕生した頃の、本当に神を求め、宗教を求め、生きるとは何か、愛とは何か、そういうものを真剣に求めた人類に僕は戻れると思っているのです。これは初心に戻るということで、戻れない場合は完全に終わりですね。ただ、もちろん僕は生きている人間ですから、戻れると信じていますが、これは分からないです。今度の場合はホモ・サピエンスの本当の崩壊かもしれません。これは誰にも分かりません。

 ただ、ホモ・サピエンスが本当に崩壊するだろう兆候は、それだけのものが技術的にも生まれているのは確かです。自殺直前というか、原水爆を含め、原発、食品添加物、農薬、iPS細胞や還元不能物質などあらゆるもの含めて、ホモ・サピエンスは滅びる寸前です。自分自身の制御力を失っています。

 だから文明の始まりにソロンというギリシャのポリスで民主主義について述べた政治家がいますが、彼の、人間のためだという言葉を信じてはいけないという考え方が、今ほど必要とされる時期はありません。人間を「滅ぼす」ものは、全部初めは「人間のため」と言っているのです。全部が「人間のため」だと言ってやり始まります。

 原発もそうで、賛成反対関係なく原発があるから、我々は今豊かな生活を送れるということです。原発反対運動が起きたときにマスコミがやることは、原発が無くなったらその補助金で生きている惨めなおばあさんはどう生きればいいのか、という論調です。これが「人間のため」ということです。iPS細胞もそうでiPSができればこういう病人が治ります、という論調です。だからiPSに今反対...
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