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「正しい」を信じるな、「間違い」のほうが役に立つ

魂の芸術(4)オリジナルとは「間違い」である

概要・テキスト
松下幸之助は、サミュエル・ウルマンの「青春」という詩を好んだが、自分で好きなところだけを、自己流にピックアップして飾っていた。「自分はこれが好きだ」ということが大切なのであって、それが正しいとか正しくないということは関係ないのである。「間違い」を信じるのは力が要る。だが、そのような「間違い」こそ、役に立つ。自分なりに解釈したオリジナルでないと、オリジナルな生き方はできない。そして世界に1つしかないオリジナルは、ほかの人たちからは「間違い」に見えるに決まっているのである。(全10話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:10:31
収録日:2019/09/11
追加日:2019/11/29
カテゴリー:
キーワード:
≪全文≫

●「正しいかどうか」より「自分はこれが好き」が大事だ


―― 執行先生は心が若いですよね。

執行 多分そうです。

―― 「青春とは心の若さである」という言葉が松下幸之助は大好きでした。あの詩のとおりにやっていますよね。

執行 松下幸之助は「青春」の詩が好きでしたね。

―― あの詩は面白いですね。松下幸之助は、自分の好きなところだけピックアップしているので、全文ではないのです。好きなところだけつなぎ合わせた「オリジナル青春」です。

執行 それでいいんです。

―― それが正しいとか正しくないとかは関係なく、「俺は、これが好きなんだ」と。そういうことですね。

執行 やっているとわかりますが、むしろ間違っているものを好きになったほうが成功する。あるいは自分の命が生きます。理論的にはわかりませんが、正しいと言われているものを信じている人はダメです。

―― 正しいと言われるものを信じる人は、最初からそれを正しいと思っているので、疑問も何も湧いていません。

執行 間違ったものは、やはり不安もあるから、信じるには「力」が要ります。「そんなものを信じて」などと人にバカにされたりするのを、排除しながら信じるわけですから。そこが生命的にすごいのではないでしょうか。

―― 自分なりの解釈ですからね。

執行 僕も自分が信じることは、さんざん人からバカにされていますが、バカにされることが力になっていると思います。

―― Appleの創業者のスティーブ・ジョブズの禅の解釈も、宗教の専門家から見ると間違いだらけだと思います。それでも自分の魂に栄養を与えてくれたところだけは、正確にくみ取っています。シリコンバレーに、禅のセンターを勝手に造ったりもした。でもそれによって魂に感化をもらっていますからね。

執行 そこが大事です。「間違っているものをつかむ勇気」を今の日本人には一番持ってもらいたい、特に偉い人には。「正しいことをやらなければいけない」といった思いが、今の日本は、ものすごく強い。

―― 松下幸之助から僕は書と茶碗を1個ずつもらいましたが、その茶碗が高い茶碗かというと、関係ないわけです。自分で気に入った茶碗を持ってきて、茶碗の箱に「松下幸之助」と書いてあるだけです。「自分で価値を決めている」ところに、松下幸之助の面白みがある。「俺はこの茶碗がいいんだ」と。そして「幸之助」と勝手に...
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