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コロナパンデミックから世界を再構築するための5つの提案

コロナパンデミックと闘う世界と今後の課題(1)コロナ以前・以降の世界を俯瞰する

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
2019年11月に初めての感染者が出てから、瞬く間に世界全体に広がっていった新型コロナウイルス。感染拡大の状況を踏まえて、これからの世界が向かうべき方向性を提示する。今回のシリーズでは、7月配信のシリーズ講義「コロナ禍で揺れる世界経済の行方」のデータを更新。第1話では、世界各国における感染の広がりとさまざまな対応に関して説明する。(全12話中第1話)
時間:10:20
収録日:2020/07/16
追加日:2020/08/25
≪全文≫

●世界に広がる新型コロナウイルスパンデミック


 新型コロナウイルスパンデミックの第一波は、2020年7月現在、先進諸国を一巡しました。特に6月以降は、その多くは貧困に喘ぐ発展途上国において、急速に感染の拡大が進みました。これらの国々は人口も多い上に、とりわけ貧困層の間では衛生状態が非常に悪く、医療サービスも貧弱で、経済的にも苦しい状況です。このままコロナウイルス感染が拡大していくと、これまでに想像もしなかったほどの大規模な感染に発展する可能性があると思います。

 もしそうなれば、先進諸国にも必ず広がり、地球全体を包むような大規模なパンデミックになるという危険性があるのです。地球社会がこの大感染にどのように立ち向かうのか、という点が問われると思います。

 人類はこれまでに何度も同じようなパンデミックを経験してきています。例えば14世紀のペストは、数十年間蔓延が続き、欧州の人口の約3分の1が亡くなりました。これがきっかけとなって宗教革命が起き、人々は中世の束縛から解放されて、ルネッサンスが到来し、やがてそのことが産業革命への発展につながったともいわれています。

 より最近の事例では、約100年前のスペイン風邪が挙げられます。この際には、地球全体で4千万人が犠牲になったという話もあります。この同時期にロシア革命をはじめとして、社会主義が台頭してきました。資本主義の牙城であったイギリスでは、これまでの資本主義の限界を感じて、修正資本主義の方向に向かいました。その転換が功を奏したかと思えば、世界大戦へと世界は向かうことになりました。ともかく、こうした経験をわれわれは再度確認しておいた方が良いと思います。


●パンデミックの直前の世界を俯瞰すると4つの傾向があった


 今回もおそらく大規模なパンデミックとなるので、この新型コロナウイルスパンデミックは世界をどのように変容していくのか確認しておく作業が必要です。今回の私の報告では、このパンデミックの直前の世界に関して、4つの傾向を着目してお話ししたいと思います。

 1つ目はアメリカの指導力の低下です。第二次世界大戦後、アメリカが強い指導力を発揮してきましたが、このアメリカの国際的指導力が近年急速に低下しています。トランプ政権に至っては、その役割を放り出すようになってしまいました。これは1つの大きな傾向ですよね。

 2つ目はこの...
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