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神や天皇など崇高な存在がなければ偉大な社会はできない

「壁」ありてこそ(3)崇高なるものの重要性

概要・テキスト
19世紀までのヨーロッパ人には神への信仰があった。日本は神の代わりに天皇への尊崇心があった。「日本人の心のふるさと」は田園風景や里山などではなく「天皇」だったのだ。それを失ったから日本人はダメになった。崇高な存在がいないと偉大な社会はできない。人間と動物の違いは自分以外のものに自分の命を捧げられることだが、現代人はそれを失っている。しかも今や、人間はもう中世人が神を信仰したように、何かを信じることはできなくなっているのである。(全8話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12:38
収録日:2021/01/14
追加日:2021/03/05
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≪全文≫

●「日本人の心のふるさと」は天皇


執行 ヨーロッパだと19世紀に、ニーチェ があの有名な「神は死んだ」と言いました。でもニーチェはご存知のとおり、大変な信仰者です。神を捨てるために、狂うまで「神なんて関係ない」と言った。それはすごい信仰です。

―― すごいです。信仰者です。

執行 ヨーロッパも信仰があった。日本の場合、やはり天皇だと思います。三島由紀夫までは確実にみんなあります。それで天皇に絶望して死んだ人もいるし、いろいろいます。どちらにしても天皇に「日本らしさ」が集約しているということです。

―― その根っこがあるかどうかですね。それで芥川龍之介は逆に、西欧の科学文明と戦うわけですね。戦いながら「ぼんやりとした不安」で自殺まで追い込まれる。そういう人たちがいた時代ですね。

執行 そういうことです。

―― その中で有名になった人も有名でなかった人たちも、旧制高校を中心にみんな1回はその葛藤があった時代。

執行 あったということです。私が中学生、高校生まで知っていた人間は、無名の人であれ、ちゃんとした人、尊敬に値する人は、みんなありました。天皇制反対で、天皇制を親の仇だと思っているような共産党員でも、天皇陛下から声かけられたりしたら震えちゃっているわけだから(笑)。

―― 私が一番驚いた映像は、敗戦後 、「オキュパイド・ジャパン(Occupied Japan=占領下日本)」のGHQ支配の時代に、昭和天皇が国民を元気づけるために巡幸したときのものです。当時、破綻していますから、警備なんてありません。でも、どこへ行っても、まったく大丈夫だった。しかも普通は、敗戦国の皇帝が来て、「わざわざ来てくれた」と死ぬほど感激してくれる国民を持っている国はないですよね。

執行 まったくないです。天皇は「帝王」ではなく、「日本人の心」であり、「日本人の心のふるさと」ですから。「日本人の心のふるさと」は、実は田園でもなければ、景色とか緑とか里山といったものとは全然関係ない。天皇なのです。天皇の存在が日本人の心の原点で、それを失ったということです。

―― ものすごく大きいですね。

執行 大きいです。だから今の日本人は、何をやってもダメです。


●「壁」があるからこそ、素晴らしいものが生み出されていく


―― 私も昭和世代で、執行先生と7つくらい違いますが、感銘を受ける人や面白い人が、小学校、...
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