「壁」ありてこそ
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「などてすめろぎは人間となりたまいし」という叫びの真実
「壁」ありてこそ(5)天皇の人間宣言と三島由紀夫
三島由紀夫は、戦後、マッカーサーの命令で出された昭和天皇の「人間宣言」を嘆いた。そして自らの作品『英霊の聲』で「などてすめろぎは人間(ひと)となりたまいし」という叫びを奔出させた。しかし、「なぜ、人間なんかになってしまったのだ」という慨嘆は、あらゆる人にとって正しいことなのである。スペインの哲学者ウナムーノも「人間以上のものになろうと必死に生きて初めて、人間程度のものにしかなれない」と語った。何事も過剰にできる力がないと、ちょうどいい量はできない。今「憂国の芸術」と名付け、芸術のために死んでいった人たちの作品を集めている。過剰な思いで、魂の葛藤をした作家の作品だけが、将来の日本人の心に訴えかけるからである。(全8話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12分32秒
収録日:2021年1月14日
追加日:2021年3月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●「人間以上のものになろう」と必死に生きる


執行 三島由紀夫も、あの時代に言っていました。「などてすめろぎは人間(ひと)となりたまいし」という有名な言葉があります。「なんであなたは、人間なんかになったのですか」と三島由紀夫が言って、それで死んだのです。『英霊の聲』の中に書かれた言葉ですが、私はあの気持ちがよくわかります。天皇は、そのへんのくだらない人間なんかになってはダメなのです。少なくとも、とてつもなく高貴な人でなければ。当たり前でしょう。

 厳しく言ってしまうと、三島由紀夫 みたいな本当に頭のいい人が厳しく見ると、あの天皇の「人間宣言」から、もうダメなのです。だから、あの有名な「などて……」の言葉を遺して(三島由紀夫は)死んだのです。

―― だけど昭和天皇の場合は、戦前の帝王学を受けています。(倫理を進講した思想家の)杉浦重剛もいたし、そのような人たちで支えてきました。

執行 だから、身分差だったのです。天皇陛下(昭和天皇)が人間宣言をしたのは、マッカーサーにさせられたわけですが、宣言したのは大人になってからです。若いときまでは神として育てられていますから、全然違います。皇后陛下(香淳皇后)も、宮様の家の人だから同じです。

 ただの人間はダメなのです。やはり、人間より上にならなければ。これは、われわれもそうです。私は、なれるかなれないかは全然わかりませんが、そうなろうと思って生きています、ウナムーノという私の尊敬している哲学者が、「人間以上のものになろうと必死に生きて初めて、人間程度のものにしかなれない」と言っています。

―― すごい言葉ですね。

執行 そうです。『ドン・キホーテとサンチョの生涯』 という主要著書の中に書いてある言葉です。私はこれがすごくわかります。

 たとえば私のこの事業は、たいした事業ではありませんが、この程度の事業を作り上げるのに、私が持っていた理想や夢は、今の100倍とは言いませんが、50倍はありました。人はよく私を「ある程度やった人」と言ってくれますが、とんでもない話です。私が思っていた理想や夢の50分の1、100分の1も、まったくまだ達成できていません。人間のエネルギーとは、そういうものです。

―― そうでしょうね。まだ戦っている最中ですからね。

執行 私はこれを医学理論でも言っています。「何でも過剰にできるだけの力がないと、...

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