本当のことがわかる昭和史《3》社稷を念ふ心なし――五・一五事件への道
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「話せばわかる」「問答無用、撃て」…五一五事件の真相
本当のことがわかる昭和史《3》社稷を念ふ心なし――五・一五事件への道(17)海軍の青年将校が主導した五・一五事件
渡部昇一(上智大学名誉教授)
1931年の三月事件と十月事件の流れが、翌年の1932年5月15日に起きた、あの五・一五事件につながる。首謀者は、国家改造を目指す若手海軍士官の集まりである王師会の主要メンバーだった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第三章・第17話。
時間:4分33秒
収録日:2014年12月22日
追加日:2015年8月27日
≪全文≫
 こうした青年将校たちの動きが、翌年の昭和7年(1932)5月15日に起きた五・一五事件へとつながっていくことになる。

 今度は海軍側で、「国を憂える陸軍の青年将校たちが十月事件などの壮挙に及んだにもかかわらず、自分たちは何もしていないではないか」という話になったのが事の発端だ。

 海軍にも藤井斉大尉(戦死後少佐に進級)という、青年将校運動のリーダー格と目される人物がいた。藤井大尉は大川周明や西田税らと交流を持ち、昭和3年(1928)に国家改造を目指す若手海軍士官の集まりである王師会を結成したが、昭和7年(1932)の第一次上海事変で偵察飛行中に戦死している。

 その王師会の主なメンバーが古賀清志中尉、三上卓中尉、中村義雄中尉で、彼らが五・一五事件の首謀者だった。彼らは陸軍にも声をかけ、その後二・二六事件の中心になる安藤輝三大尉や村中孝次大尉に参加を呼びかけたが、彼らは時期尚早だといってクーデターに加わらなかった。陸軍からは、その場に居合わせ、クーデターに賛成した士官候補生11名が参加している。

 この五・一五事件の特徴は、民間右翼に広く声をかけたことだ。たとえば大川周明をはじめ、橘孝三郎が率いる水戸の愛郷塾、それから本間憲一郎が塾長を務める土浦の紫山塾、頭山秀三が設立した世田谷の天行会が加わっている。だが実際には大川周明・頭山秀三らは動かず、蹶起に参加したのは愛郷塾の農民決死隊だけであった。

 ピストルや手榴弾は海軍将校が上海から持ってきたもので、それらを運んだのが駆逐艦「楡」だったというから、ひどいものである。

 第一組(三上中尉指揮)が首相官邸と日本銀行、第二組(古賀中尉指揮)が牧野伸顕内大臣邸、第三組(中村中尉指揮)が立憲政友会の本部を襲撃したのち、各隊が合流して警視庁を襲撃する計画だった。また愛郷塾の農民決死隊が変電所を襲い、混乱に乗じて、荒木陸相を首相とする内閣を樹立しようと企てたのである。

 彼らは襲撃を終えたら憲兵隊に自首するつもりだった。あの十月事件でさえ、首謀者たちはほとんど懲罰を受けていないのだから、たいした罪にはならないと考えていたのだろう。

 首相官邸に向かったのは三上卓中尉、山岸宏中尉、村山格之少尉、黒岩勇予備少尉の4人の海軍士官と陸軍士官候補生5人である。裏門から山岸中尉と村山少尉が官邸内に侵入した。これは有...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
編集部ラジオ2026(32)鎌田東二先生の法華経講義解説-1
【10min名作探訪】鎌田東二先生の『法華経』講義の核心ビジョン
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸