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ここ10年間で給料が上がった仕事、下がった仕事とは?
今の仕事の給料に満足している人も、そうでない人も、「これから順調に上がるのか、それとも下がるのか?」は、何より気になる動向です。AIの進化で「なくなる」仕事も増えると言われる現在、変化の真っただ中にある「給料」の動向について調べてみました。
近年はグローバリズムの影響などもあり、そうは問屋がおろさなくなりました。会社や業界全体の業績が、世界の経済やテクノロジーの動向と直結していて、海の向こうで新しい発明があると、それまでの努力も勤勉も水の泡となってしまう事態が増えてきました。
私たちの給料を下げる要因は、一つに「供給過剰」、一つに「技術革新」、最後に「消費者の行動」だと言われます。その3点を頭の隅に置いて、これまでの流れを見ていきましょう。
[2006→2016・給与の増減トップ3]
1 歯科医師 68.6万/月 △38.5%増
2 航空機操縦士 152.3万/月 △37.7%増
3 掘削・突破工 52.9万/月 △32.2%増
「歯科医は供給過剰なんじゃないの?」と思われた方、はい、正解です。ただ、この統計には自営業は含まれないため、開業医は除外した数字となっています。また、最新機器や最新技術が次々に導入される昨今、設備投資の大変な「開業」を避けるケースも目立ちます。そのため、昔なら当然開業しているキャリアを持つ雇われ歯科医の給料が反映され、このような高い数値となっています。
一方、航空機操縦士(パイロット)の伸び率がこれほど高いのは、業界再編の影響。2010年に起こったJALの経営破綻が逆に幸いして、パイロットの給与水準は高いほうへ統一されようとしています。
[2006→2016・給与の増減ワースト3]
1 はつり工 27.9万/月 ▲18.2%減
2 建具製造工 24.2万/月 ▲15.9%減
3 電気めっき工 27.1万/月 ▲13.7%減
最も給料の減った「はつり工」とは、コンクリートやレンガなど、構築物の表面を削り取ったり、床や壁の穴あけ・コンクリート壊しなど、解体作業に従事する人のことです。公共施設が老朽化していく今後は需要が戻ってくる可能性も考えられます。建具製造は、戸や障子、ふすま、欄間を製造するもの。日本の住まいが変化し、消費者行動が変化するに伴って減ってきました。さらに「電気めっき」は、素材革命や加工技術の進歩による衰退傾向。とりわけ自動車のバンパーがウレタン樹脂に変わったことが大きい様子です。
[2011→2016・給与の増減トップ3]
1 航空機操縦士 152.3万/月 △37.3%増
2 掘削・突破工 52.9万/月 △36.4%増
3 航空機客室乗務員 44.7万/月 △31.6%増
10年間の変化と比較すると、航空機の客室乗務員(CA)の存在が目立ちます。CAの場合、パイロットとは逆に、業界再編の波を受けて、比較的高給だったベテランCAが大量に離職。そのため給与水準が一時的に急減しました。この5年間はそこからの回復基調を表しています。
[2011→2016・給与の増減ワースト3]
1 不動産鑑定士 43.4万/月 ▲27.9%減
2 獣医師 40.6万/月 ▲18.6%減
3 記者 52.1万/月 ▲15.5%減
不動産鑑定士の月給が下がったのは、企業の土地取引状況が2008年のリーマン・ショック以来ほぼ5年間不活発に終始したため、「消費行動の変化」によるものです。獣医師と記者が大幅に下落しているのは、「供給過剰」によるもの。獣医師は国家資格ですが、記者の場合は事情が違います。ネットメディアが激増したため、これまでは専門性の高さで高収入を得ていた「記者」という職業の定義自体が変わりました。クラウドソーシングのみで仕事を得るライターも「記者」と分類すれば、その月収は一気に下がります。
[2013→2016・給与の増減ワースト3]
1 弁護士 49.1万/月 ▲48.8%減
2 木型工 26.8万/月 ▲31.5%減
3 家庭用品外交販売員 26.5万/月 ▲27.5%減
[2015→2016・給与の増減ワースト3]
1 弁護士 49.1万/月 ▲67.7%減
2 はつり工 27.9万/月 ▲19.7%減
3 社会保険労務士 35.9万/月 ▲17.9%減
司法制度改革による弁護士の過剰供給は大きな社会問題。司法修習を終えても法律事務所に就職できない「無職弁護士」がニュースになったのは、2013年頃です。さらにAIの導入で早々と脅かされるのは法律関係という情報も飛び交います。「供給過剰」と「技術革新」が結びつくと、あっという間に仕事の値打ちはダウン。弁護士はまさに受難の時代といえるでしょう。
給料が上がる原因、下がる原因とは?
これまでの日本企業は「生活給」を中心とする年功序列制の給与体系をとっていました。会社に入って10年経てば○万円、20年経てば何割増しと計算ができたのです。労働組合も強く、「給料が下がる」のは、よほど会社の業績が悪くなったか、本人の勤務態度に問題があった場合だけでした。何よりも日本全体が高度成長期にあったため、「真面目に頑張れば報われる」のが当たり前の社会でした。近年はグローバリズムの影響などもあり、そうは問屋がおろさなくなりました。会社や業界全体の業績が、世界の経済やテクノロジーの動向と直結していて、海の向こうで新しい発明があると、それまでの努力も勤勉も水の泡となってしまう事態が増えてきました。
私たちの給料を下げる要因は、一つに「供給過剰」、一つに「技術革新」、最後に「消費者の行動」だと言われます。その3点を頭の隅に置いて、これまでの流れを見ていきましょう。
この10年間で、給料が上がった仕事、下がった仕事
10年前といえば、アップルが米国でiPhoneを発売した年に当たります。それからの10年間、働き方は決定的に変化していますね。ここでは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、平成18年と28年を比較してみました。給与の増減率トップ3とワースト3には、以下の職種が並びました。[2006→2016・給与の増減トップ3]
1 歯科医師 68.6万/月 △38.5%増
2 航空機操縦士 152.3万/月 △37.7%増
3 掘削・突破工 52.9万/月 △32.2%増
「歯科医は供給過剰なんじゃないの?」と思われた方、はい、正解です。ただ、この統計には自営業は含まれないため、開業医は除外した数字となっています。また、最新機器や最新技術が次々に導入される昨今、設備投資の大変な「開業」を避けるケースも目立ちます。そのため、昔なら当然開業しているキャリアを持つ雇われ歯科医の給料が反映され、このような高い数値となっています。
一方、航空機操縦士(パイロット)の伸び率がこれほど高いのは、業界再編の影響。2010年に起こったJALの経営破綻が逆に幸いして、パイロットの給与水準は高いほうへ統一されようとしています。
[2006→2016・給与の増減ワースト3]
1 はつり工 27.9万/月 ▲18.2%減
2 建具製造工 24.2万/月 ▲15.9%減
3 電気めっき工 27.1万/月 ▲13.7%減
最も給料の減った「はつり工」とは、コンクリートやレンガなど、構築物の表面を削り取ったり、床や壁の穴あけ・コンクリート壊しなど、解体作業に従事する人のことです。公共施設が老朽化していく今後は需要が戻ってくる可能性も考えられます。建具製造は、戸や障子、ふすま、欄間を製造するもの。日本の住まいが変化し、消費者行動が変化するに伴って減ってきました。さらに「電気めっき」は、素材革命や加工技術の進歩による衰退傾向。とりわけ自動車のバンパーがウレタン樹脂に変わったことが大きい様子です。
5年スパンで発見できる、意外な現実!
では、5年間での変化はどうでしょうか。より範囲が狭まることで、クローズアップされる職種は変わるのでしょうか。[2011→2016・給与の増減トップ3]
1 航空機操縦士 152.3万/月 △37.3%増
2 掘削・突破工 52.9万/月 △36.4%増
3 航空機客室乗務員 44.7万/月 △31.6%増
10年間の変化と比較すると、航空機の客室乗務員(CA)の存在が目立ちます。CAの場合、パイロットとは逆に、業界再編の波を受けて、比較的高給だったベテランCAが大量に離職。そのため給与水準が一時的に急減しました。この5年間はそこからの回復基調を表しています。
[2011→2016・給与の増減ワースト3]
1 不動産鑑定士 43.4万/月 ▲27.9%減
2 獣医師 40.6万/月 ▲18.6%減
3 記者 52.1万/月 ▲15.5%減
不動産鑑定士の月給が下がったのは、企業の土地取引状況が2008年のリーマン・ショック以来ほぼ5年間不活発に終始したため、「消費行動の変化」によるものです。獣医師と記者が大幅に下落しているのは、「供給過剰」によるもの。獣医師は国家資格ですが、記者の場合は事情が違います。ネットメディアが激増したため、これまでは専門性の高さで高収入を得ていた「記者」という職業の定義自体が変わりました。クラウドソーシングのみで仕事を得るライターも「記者」と分類すれば、その月収は一気に下がります。
弁護士、社会保険労務士も給料ダウン!
2016年と2015年、さらに3年前の2013年の給料を比較すると、より直近の様子がわかります。トップ3は2011年の顔ぶれから変化がありませんが、ワースト3に意外な職業が浮上してくるのです。[2013→2016・給与の増減ワースト3]
1 弁護士 49.1万/月 ▲48.8%減
2 木型工 26.8万/月 ▲31.5%減
3 家庭用品外交販売員 26.5万/月 ▲27.5%減
[2015→2016・給与の増減ワースト3]
1 弁護士 49.1万/月 ▲67.7%減
2 はつり工 27.9万/月 ▲19.7%減
3 社会保険労務士 35.9万/月 ▲17.9%減
司法制度改革による弁護士の過剰供給は大きな社会問題。司法修習を終えても法律事務所に就職できない「無職弁護士」がニュースになったのは、2013年頃です。さらにAIの導入で早々と脅かされるのは法律関係という情報も飛び交います。「供給過剰」と「技術革新」が結びつくと、あっという間に仕事の値打ちはダウン。弁護士はまさに受難の時代といえるでしょう。
<参考サイト>
・厚生労働省 賃金構造基本統計調査
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001062209&cycleCode=0&requestSender=estat
・厚生労働省 賃金構造基本統計調査
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&tclassID=000001062209&cycleCode=0&requestSender=estat
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