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DATE/ 2017.10.03

医療ミスを防ぐ「セカンドオピニオン」とは?

 昨今、医療ミスに関連する事件の報道が多いように感じませんか。群馬大学病院で腹腔鏡手術を行った8人が、2010年から2014年にかけて術後に相次いで死亡した事件は社会に大きな衝撃を与え、記憶に新しい人も少なくないでしょう。この事件では病院の体制も問題になりましたが、治療方針が担当医師の独断で決められていたことや、手術前に患者側に対する適切な説明がなされていなかったことも指摘事項としてあげられています。

 こうした事態を防ぐために、患者側の私たちには何ができるのでしょうか。最近の日本では、患者に治療内容を説明して同意を求めるインフォームドコンセントという考え方が広がっており、治療の際には患者の了承を得ることが欠かせなくなっています。とはいえ、主治医の話に対して医療の素人である私たちが正しいのかを判断をするのは難しいもの。手術前に理解が足りないままで同意書にサインしてしまって、後悔するということは避けたいものですよね。今回はそんな私たちにとって心強い味方になるセカンドオピニオンという存在を紹介します。

セカンドオピニオンとは

 セカンドオピニオンとは主治医とは別の専門医に治療や診断についての意見を聞くことをいいます。診察は行わず、主治医のもとで行った検査結果や治療内容を見ることで、適切な診断・治療がなされているのか客観的な専門医の意見を聞くことができます。主治医による誤診や適切でない治療が見つかれば改善につながりますし、異なる治療法の選択肢を広げることもできるのです。

 実際にセカンドオピニオンを使った人のなかには「診断内容に納得していなかったが、セカンドオピニオンで違う病名を診断してもらえた」という声や「セカンドオピニオンの助言で薬を変えたらとても楽になった」という声も見られます。アメリカでは一般に浸透していて、日本ではまだまだ一般的ではないと感じるかもしれませんが、最近ではセカンドオピニオン外来を設ける病院も増えてきています。その際には信頼できる病院の外来を選ぶようにすることも大切です。インターネットで検索したり、がん治療であれば「がん相談支援センター」に問い合わせることで、情報収集できます。

セカンドオピニオンを受けるためには

 基本的には主治医のもとで治療することが原則となるので、まずは主治医にセカンドオピニオンを受けることを相談する必要があります。前述の通りセカンドオピニオンでは診察を行わないので、主治医の紹介状とともに検査結果の資料を用意しなければなりません。また、主治医が同席するわけではないので自分の病気について理解を深め、自分が何を相談したいのか明確することが重要になります。セカンドオピニオンの意見は必ず主治医にフィードバックする必要がありますが、病院によっては報告書を作成してくれる場合もあるのであわせて確認しておくのが良いでしょう。

 注意しなければならないのは、セカンドオピニオンは公的医療保険が適用されないので全額自己負担になるということ。料金は病院によって異なりますが、30~60分で20,000~40,000円程度かかるといわれています。決して安くはありませんが、主治医の診察や治療で不安がある場合には、安心して治療を受けるためだと思い利用してみるのも良いかもしれません。

 医療ミスから自分の身を守るためには、医療のプロに任せきりにするのではなく、患者自身もメディカルチームの一員であると自覚することが重要です。薬や治療方法は適切なのか、病名は合っているのか、そうした疑問をないがしろにしたことは結局自分の身に返ってくる危険性もあります。病気やケガをした際には、セカンドオピニオンの利用も視野に入れて、自分も納得した状態で治療を行うことを心がけましょう。

<参考サイト>
・セカンドオピニオンとは?セカンドオピニオンを賢く受ける8つの手順
https://secondopinion-japan.com/about/
・虎の門病院 セカンドオピニオン希望の方
https://www.toranomon.gr.jp/visit/2nd_opinion/
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テンミニッツTV編集部
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