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破竹の勢いで浸透する、中国のフィンテック事情
「経済(finance)」と「テクノロジー(technology)」を掛け合わせた造語「フィンテック(fintech)」は、いまや世界の一般常識となりつつあります。とりわけ、中国では、野菜市場のおばさんから伝統的な銀行まで、その利用者が急増しています。
何が利用者の増加を促したのか、真相を探ります。
「割安」になるのなら、大いに期待したいところですが、実はまだまだ日本は欧米や中国に比べて、普及が遅れていると言えます。
網商銀行の「網商貸」という融資サービスは、スマートフォンのアプリから融資申請すると、ビッグデータに基づいてコンピュータが融資判断を下し、数分以内に送金される仕組みです。
この超高速融資システム「3・1・0」は数字がスローガンとなっています。「融資申請の記入に必要な時間」が「3」分。そして、「1」秒で、人ではなくシステムが融資可否を判断。つまり、その審査にたずさわる人間は「0」人。AIによる審査のみで判断を下しているのです。
利息は「信用に応じて1日0.016%から0.047%まで変化」し、「信用を高めれば高めるほど低金利で資金が調達できる」ようになっています。
たとえば、肉まん屋台の場合でも、「固定客がいれば融資は可能」なのだそうです。「また屋台の経営者は電気代や水道代といった公共料金をアリペイ(『アリババグループ』が提供するオンライン決済サービス)で支払えば、それもまた融資判断の材料になり」、「他にもシェアサイクルの利用時に違反行為はなかったかなどのさまざまなビッグデータが活用」されているとのこと。
トラック運転手は、「目的地までのガソリン代や高速代の融資を受け、到着したら報酬をもらって返済するといった具合」で、野菜市場のおばちゃんは「朝お金を借りて仕入れ、夜になれば売上金で返済」するとのことです。
こんなサイクルなので、60パーセント以上は年50回以上の融資を受けていて、中には5年間で3794回、平均で1日に2回融資を受けている人もいるのだとか。
その理由はいくつか考えられます。たとえば、ロイター通信によると、アメリカではフィンテックによって、融資業務だけで年間11億円の利益が銀行セクター失われるリスクがあり、大手銀行の大半が骨抜きにされれば、金融危機が引き起こされるリスクがあることをセントルイス地区連銀のブラード総裁が述べ、規制を求める声が広がっているのだそうです。
他方、中国では、伝統的銀行とフィンテック銀行が連携を強化する方向を模索していると、さきほどの「WEDGE Infinity」の記事にはありました。
また、日本においては、決済における根拠法が銀行法、資金決済法、割賦販売法などに分かれていて、一元化されていないことも普及の壁となっているようです。そのため、冒頭のとおり、法の再編が急がれているわけです。
普及が遅れているのは、日本らしく慎重にリスク回避の方法を検討しているとも言えます。とはいえ、できるかぎり迅速に、日本社会に合った柔軟な制度設計を期待したいところです。
何が利用者の増加を促したのか、真相を探ります。
日本でもついに普及が本格化?
フィンテックは、日本でも早くから話題になっており、導入に向けてついに政府が動き出しました。「日本経済新聞」によると、金融庁は「フィンテックの普及を目指し、関連法を再編して新法を作る」ことを発表しました。これによって銀行決済や送金が安くなるなど「割安な金融サービスが増える」と見られます。「割安」になるのなら、大いに期待したいところですが、実はまだまだ日本は欧米や中国に比べて、普及が遅れていると言えます。
超高速融資システム「3・1・0」
冒頭に記した通り、中国では、フィンテックが破竹の勢いで浸透していっています。「WEDGE Infinity」の記事では、2015年に設立された、ネット銀行「網商銀行」(マイバンク)のフィンテックを紹介しています。網商銀行の「網商貸」という融資サービスは、スマートフォンのアプリから融資申請すると、ビッグデータに基づいてコンピュータが融資判断を下し、数分以内に送金される仕組みです。
この超高速融資システム「3・1・0」は数字がスローガンとなっています。「融資申請の記入に必要な時間」が「3」分。そして、「1」秒で、人ではなくシステムが融資可否を判断。つまり、その審査にたずさわる人間は「0」人。AIによる審査のみで判断を下しているのです。
利息は「信用に応じて1日0.016%から0.047%まで変化」し、「信用を高めれば高めるほど低金利で資金が調達できる」ようになっています。
肉まんの屋台や野菜市場のおばさんも
「網商貸」の利用者は、ネットショップ経営者から、なんと肉まん屋台の事業主、個人事業主のトラック運転手、野菜市場の店主な零細事業者も含めて、さまざまです。たとえば、肉まん屋台の場合でも、「固定客がいれば融資は可能」なのだそうです。「また屋台の経営者は電気代や水道代といった公共料金をアリペイ(『アリババグループ』が提供するオンライン決済サービス)で支払えば、それもまた融資判断の材料になり」、「他にもシェアサイクルの利用時に違反行為はなかったかなどのさまざまなビッグデータが活用」されているとのこと。
トラック運転手は、「目的地までのガソリン代や高速代の融資を受け、到着したら報酬をもらって返済するといった具合」で、野菜市場のおばちゃんは「朝お金を借りて仕入れ、夜になれば売上金で返済」するとのことです。
こんなサイクルなので、60パーセント以上は年50回以上の融資を受けていて、中には5年間で3794回、平均で1日に2回融資を受けている人もいるのだとか。
なぜ、日本は普及が遅れていのか
以上のように、中国の例をみると、経営者にとって非常に魅力的なシステムに思えますが、なぜ日本では普及が遅れているのでしょうか。その理由はいくつか考えられます。たとえば、ロイター通信によると、アメリカではフィンテックによって、融資業務だけで年間11億円の利益が銀行セクター失われるリスクがあり、大手銀行の大半が骨抜きにされれば、金融危機が引き起こされるリスクがあることをセントルイス地区連銀のブラード総裁が述べ、規制を求める声が広がっているのだそうです。
他方、中国では、伝統的銀行とフィンテック銀行が連携を強化する方向を模索していると、さきほどの「WEDGE Infinity」の記事にはありました。
また、日本においては、決済における根拠法が銀行法、資金決済法、割賦販売法などに分かれていて、一元化されていないことも普及の壁となっているようです。そのため、冒頭のとおり、法の再編が急がれているわけです。
普及が遅れているのは、日本らしく慎重にリスク回避の方法を検討しているとも言えます。とはいえ、できるかぎり迅速に、日本社会に合った柔軟な制度設計を期待したいところです。
<参考サイト>
・日経新聞:フィンテック普及へ新法 金融庁、銀行決済や送金安く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22183630S7A011C1MM8000/
・日経新聞:フィンテックを大きく育てよ
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO21463230S7A920C1EA1000/
・WEDGE Infinity:審査に1秒!中国「超高速融資」の恐るべき実力
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10630
・ロイター通信:金融当局、フィンテック規制急ぐべき=米セントルイス地区連銀総裁
https://jp.reuters.com/article/fed-bullard-fintech-idJPKBN1CI05N
・日経新聞:フィンテック普及へ新法 金融庁、銀行決済や送金安く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22183630S7A011C1MM8000/
・日経新聞:フィンテックを大きく育てよ
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO21463230S7A920C1EA1000/
・WEDGE Infinity:審査に1秒!中国「超高速融資」の恐るべき実力
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10630
・ロイター通信:金融当局、フィンテック規制急ぐべき=米セントルイス地区連銀総裁
https://jp.reuters.com/article/fed-bullard-fintech-idJPKBN1CI05N
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