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DATE/ 2017.11.29

上司の「イエスマン」として会社で生き残る方法

 日本ではイエスマンが好まれる傾向があります。とくに経済が今ほど停滞していない、古き良き時代には、イエスマンでさえあれば上司から可愛がってもらえました。

 現代でもイエスマンが好まれるのはたしかですが、かつてとは様相がすこし異なります。何が違うのかというと、「見捨てられるイエスマン」と「かわいがられるイエスマン」の2種類のイエスマンがいるということです。

 出世の極意は「かわいがられるイエスマン」になることです。それなら、どうすれば「かわいがられるイエスマン」になることができるのか。もっと言えば、どうすれば成功の道を開くことができるのか。できるだけわかりやすく解説していきます。

上司に絶対に逆らってはいけない

 人事評価関連サービスを提供する株式会社あしたのチームの調査によると、「一般社員の2人に1人が自分の評価が低いと思っている」のだそうです。他方、「評価者の約3割が部下に正当な評価ができていないと回答」しており、以上の結果から人事評価、そして部下と上司の関係づくりの難しさをうかがい知ることができます。

 人事評価をめぐっては成果主義に対する批判もありますが、なんであれ、組織の中で生き抜く基本は、上司に従うことです。作家の佐藤優氏は、『組織の掟』において、組織に属している以上は上司に絶対に逆らってはいけないと強調しています。組織に従属している以上、サラリーマンは前提としてイエスマンであることが必要なのです。

健全なイエスマンであるために

 『いらない部下、かわいい部下』(日本経済新聞出版社)において、著者の新井健一氏は、「かわいがられる部下」とは「健全なイエスマン」であると述べています。「健全なイエスマンとは、時には上司に議論をしかけ、時には相手が上司であっても毅然とした態度で苦言を呈する」部下のことを指しています。言い換えれば、上司のご機嫌ばかり伺っているイエスマンは、「見捨てられるイエスマン」になってしまうということでもあります。

 さらに、「健全なイエスマン」とは言えない部下について、本書では「状況を読まず独善的に動くガラパゴスな部下」と表現しています。ガラパゴスな部下とは、「社外にもっていっても全く使えない知識やスキルばかり蓄えながら、わけ知り顔で周囲をネガティブなほうに巻き込もうとする」部下のことです。

成功をもたらしてくれるのは、広い意味での「上司」

 近い将来、AIの技術進化とグローバル化のさらなる促進により、雇用が今よりもずっと流動的になり、転職も副業も当たり前になる可能性があります。そうすると、必然的に上司と部下の関係も流動的になるでしょう。

 前掲書の著者・新井氏は、そうした状況に備えて、「上司」を幅広く捉えることを勧めています。つまり、今の自分の会社の直属の上司だけにとどまらず、たとえば「興味を持ったコミュニティで目上にあたる人物」なども上司と考え、その人の「かわいがられるイエスマン」あるいは「かわいい部下」であることを実践していくのです。

 長いスパンで見たとき、それが成功への道につながる可能性を生み出します。上司とは、ある意味で成功者と考えることもできるかもしれません。成功しているからこそ上司という地位を獲得しているともいえるからです。成功者を味方につけることが自分の成功にも繋がっていきます。成功をもたらしてくれるのは、結局のところ、広い意味での「上司」なのです。

成功者はどんな人にものを教えたくなるのか

 新井氏の尊敬する株式会社人財育成JAPAN 代表取締役の永松茂久氏は、著書『自分を変える技術』の中で「成功者はどんな人にものを教えたくなるのか?」と題して、成功者にかわいがられる人の共通点を52個あげています。ここでは、そのうちの10個を紹介します。

「01何をやりたいのかが明確」
「02ゴールに独自性と面白みがある」
「03成功したいという執念や情熱を感じる」
「04勉強熱心である」
「05ふてくされずに素直に学ぶ」
「06柔軟なバランス感覚を持っている」
「07質問がうまい」
「08実行力がある」
「09レスポンスが早い」
「10成功者に時間の無駄遣いをさせない気遣いができる」

 こうした点を見つめていくことが、かわいがられる部下、かわいがられるイエスマンとして自分の成功につながっていくということなのではないでしょうか。
 
<参考文献・参考サイト>
・『いらない部下、かわいい部下』(新井健一著、日本経済新聞出版社)
・『自分を変える技術』(永松茂久著、毎日新聞出版)
・『組織の掟』(佐藤優著、新潮社)
・PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000025661.html
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