社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.01.31

「若ハゲ」「若白髪」の心臓病リスクは5倍以上?

 ある日鏡を見ていると、生え際に白い毛が...。写真に写った自分の姿を見てみたら、思わぬところに薄毛の部分が...。などなど、頭皮のめぐるトラブルは、年を経るごとに身近な問題になっていきます。しかし、まだそんな年齢ではないのに、白髪やハゲが目立つということはありませんか?

 この「若白髪」、「若ハゲ」でお悩みの方も多いかもしれません。実はこの「白髪・ハゲ問題」、見た目以外にも気になる研究結果が存在していることをご存じですか。実は、若白髪と若ハゲが見られる40歳以下の男性は、心臓病のリスクがあがるという研究結果が出ているのです。

若白髪と若ハゲは、心臓病のリスクが5倍以上?!

 この研究は、40歳以下の心臓をとりまく冠動脈に疾患がある790人の男性と、健康な男性1270人が対象で行われました。血液検査や病歴の確認、心臓の検査などをおこない、それぞれの健康状態を点数化したうえで、毛髪の抜け落ち具合によって3つのグループに振り分けました。その結果、点数が高いほど動脈の疾患リスクがあり、毛髪も少ないという結果が……。さらに白髪の状態についても同様に、白髪が多いほどリスクも増すというデータが導き出されました。

 そして、2017年11月にインド心臓病学会は、この研究の結果をまとめ、白髪は心臓病のリスクが5.3倍、毛髪が抜ける場合は5.6倍にも跳ね上がっていると発表したのです。

どうして白髪やハゲになるのか?

 では、一般的に若白髪や若ハゲはどうして起こるのでしょうか?遺伝のほかによくあげられる原因は、睡眠不足、過度なダイエットによる栄養不足、過度な飲酒や喫煙、ストレス、パーマやカラーによる頭皮への刺激などです。

 睡眠不足やダイエットによる栄養不足、ストレスといった項目は、あらゆる病気の原因としてとりあげられています。年齢が若いにもかかわらず、白髪やハゲができてしまう背景は、生活習慣の乱れがあるとすれば、それが病気のサインになっているということは理にかなっているようにも思われます。

 若白髪、若ハゲはただでさえ気になるというのに、そのうえに病気のリスクまで上乗せされてしまえば、それだけでストレスです。これらを改善する方法はないのでしょうか。

頭皮問題を生活スタイルの見直しの機会に

 白髪やハゲの改善によいといわれているのは、規則正しい生活と、十分な栄養の補給、として適度な運動です。「なんだかよく見る項目だ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「若白髪のある人には病気のリスクがある」といわれると、こうした生活習慣の改善が効果的なのもわかる気がします。

 1本や2本の白髪や、多少の毛髪の減少は自然に起こることです。今回の研究結果には、懐疑的な姿勢を見せている研究者もおり、まだ確証があるものとは言いきれません。しかし、夜更かしや過度なダイエットなどは、体に与える影響が大きいことも事実です。

 必ずしも病気につながっているとはいえませんが、「白髪」や「ハゲ」の気になる方は、生活スタイルの見直しの機会にしてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・Newsweek:「若ハゲ」と「若白髪」の心臓病リスクは5倍以上
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/12/5-34.php
・ヘアドクター発毛化学研究所:なぜ、白髪になるのか。
http://www.hairdoctor.co.jp/yomu/1/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
2

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム

初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
津崎良典
筑波大学人文社会系 教授
3

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解

アメリカの大転換はトランプ政権以前に起こっていた。1980~1990年代、情報機器と金融手法の発達、それに伴う法問題の煩雑化により、アメリカは「ラストベルト化」に向かう変貌を果たしていた。そこにトランプの誤解の背景があ...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/11
4

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制

「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題

保守的な軍国化によって、内戦への機運が高まっているアメリカだが、MAGAと極左という対立図式は表面的なものにすぎない。その根本に横たわっているのは白人とユダヤ人という人種の対立であり、それはカーク暗殺事件によって露...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/06
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー