社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
いま増えている、給料「日払い」の仕組みとは?
子どもが指折り数えて待つのはプレゼントのもらえる誕生日なら、大人が待つのは自分への御褒美が買える給料日でしょうか。生活費をやりくりし、給料日前の倹約モードを頑張れるのも、あと数日で一回リセット、リフレッシュできるぞと思えるからこそです。
とはいえ給料日を待たずに、突然の出費に見舞われることもあるでしょう。懐かしい仲間から急な飲み会の誘い、親戚縁者や恩師の訃報、エアコンの故障やらスマホ落として修理代やら……思わず、1日分だけでも給料日払いでもらえたらなあ、なんて溜息がこぼれてしまう。そんなやりくりの日々の救いとなるのか、給与の日払いをできるようにする企業が出てきています。
それを企業の正社員でも可能にするところが出てきているのです。もっとも、月給制から日給制へと完全移行している、という話ではありません。月給の内から任意の日数分を前払いできる、給料日よりも先に一部を日払いで引き出せるということなのです。
会社によっては6%前後の手数料がかかりますが、急に物入りになった人には好評のようです。また、社内ルールで前借りの限度額を決めているなど、使い過ぎて給料日に素寒貧みたいなことにならないようブレーキをかけているところもあります。
経営側と従業員の間に、勤怠管理システムを提供する業者が入り、依頼した企業、もしくは業者の資金から前払いを可能にしているのが一般的です。
従業員から見れば前述したように、急な物入りに対応できるのはプラスですよね。貯金を切り崩したり、消費者金融のお世話になったりするのを防げます。システムによってはスマホで申し込めるところもありお手軽です。経営者側からすると、既に働いてもらったぶんの給料を前払いしているだけですので、持ち逃げトラブルなどのダメージは必然少なくなるでしょう。また、給料前払いシステムを取り入れている、福利厚生が厚いとイメージが良くなりやすく、人材確保が容易になり離職を防げるようになるというメリットもあるようです。
逆にマイナス点を見るならば、従業員側はやはり手数料がかかってしまうことでしょう。場合によっては、前払いの内の数%はどうしても引かれてしまうことがあるとのこと。また、あまり頻繁に利用していると査定の際に良い印象を持たれないのではと、ちょっと気まずいかもしれませんね。経営側はシステム導入のための初期費用やセッティングなどの手間が挙げられます。さらに、スマホでの操作などがある場合は個人情報流出の恐れなど、セキリュティに関しても気をつけねばならなくなります。
「前払いとは言っているけど、これって給料担保にした借金と同じでは?」
給料前払いシスムは、2つの資金繰りパターンがあります。会社側があらかじめ前払い用資金をプールさせておいてそこから支払うものと、仲介業者が持っている資金から支払うものです。後者の場合、手数料という名の利息を取って、給料を担保に前借りをさせているのですから、貸金業と同じと見なされかねません。貸金業の登録なしに運営していれば違法と指摘される可能性が大です。
給料の前借りできる分にかかる手数料を利息として考えた場合、給与ではなく金銭の貸付に当たってしまうのではないかという懸念があるのです。仮に「手数料」の6%が「利息」であったなら、法律上は1年間で72%の利息とみなされ、法廷の上限金利をオーバーしてしまいます。これでは消費者金融に借りなくて済むどころか、経営者公認の消費者金融がいるのと変わりません。いわゆる貧困ビジネスじゃないかと指摘する声も上がっています。また、給料が一部とはいえ、雇い主からではないところから支払われる、全額払いされないことなどは労基法に抵触する可能性もあると懸念されています。
現段階で給料日払いシステムを評価するなら、グレーゾーンにあると言えそうです。給料の前借りをしなくてもよいように、喧伝される割にはまだまだ国民全体まで行き渡らない好景気を早く実感できるような世の中になって欲しいものです。
とはいえ給料日を待たずに、突然の出費に見舞われることもあるでしょう。懐かしい仲間から急な飲み会の誘い、親戚縁者や恩師の訃報、エアコンの故障やらスマホ落として修理代やら……思わず、1日分だけでも給料日払いでもらえたらなあ、なんて溜息がこぼれてしまう。そんなやりくりの日々の救いとなるのか、給与の日払いをできるようにする企業が出てきています。
正確には一部前払い
日払いというと、アルバイトや派遣業務、現場を転々とする職人さんにはお馴染みの支払いスタイルです。1日働いて、その場で給料手渡し。経験したことのある人も少なくないのでは。それを企業の正社員でも可能にするところが出てきているのです。もっとも、月給制から日給制へと完全移行している、という話ではありません。月給の内から任意の日数分を前払いできる、給料日よりも先に一部を日払いで引き出せるということなのです。
会社によっては6%前後の手数料がかかりますが、急に物入りになった人には好評のようです。また、社内ルールで前借りの限度額を決めているなど、使い過ぎて給料日に素寒貧みたいなことにならないようブレーキをかけているところもあります。
経営側と従業員の間に、勤怠管理システムを提供する業者が入り、依頼した企業、もしくは業者の資金から前払いを可能にしているのが一般的です。
給料日前の救世主? それとも……
そんな給料日払いシステム、従業員と経営者にとって、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?従業員から見れば前述したように、急な物入りに対応できるのはプラスですよね。貯金を切り崩したり、消費者金融のお世話になったりするのを防げます。システムによってはスマホで申し込めるところもありお手軽です。経営者側からすると、既に働いてもらったぶんの給料を前払いしているだけですので、持ち逃げトラブルなどのダメージは必然少なくなるでしょう。また、給料前払いシステムを取り入れている、福利厚生が厚いとイメージが良くなりやすく、人材確保が容易になり離職を防げるようになるというメリットもあるようです。
逆にマイナス点を見るならば、従業員側はやはり手数料がかかってしまうことでしょう。場合によっては、前払いの内の数%はどうしても引かれてしまうことがあるとのこと。また、あまり頻繁に利用していると査定の際に良い印象を持たれないのではと、ちょっと気まずいかもしれませんね。経営側はシステム導入のための初期費用やセッティングなどの手間が挙げられます。さらに、スマホでの操作などがある場合は個人情報流出の恐れなど、セキリュティに関しても気をつけねばならなくなります。
法律的にはグレーなところも
こうして並べてみると雇用者、被雇用者、両方に利便性はありそうですが、業者によっては法律的な危うさを指摘する声もあるそうです。「前払いとは言っているけど、これって給料担保にした借金と同じでは?」
給料前払いシスムは、2つの資金繰りパターンがあります。会社側があらかじめ前払い用資金をプールさせておいてそこから支払うものと、仲介業者が持っている資金から支払うものです。後者の場合、手数料という名の利息を取って、給料を担保に前借りをさせているのですから、貸金業と同じと見なされかねません。貸金業の登録なしに運営していれば違法と指摘される可能性が大です。
給料の前借りできる分にかかる手数料を利息として考えた場合、給与ではなく金銭の貸付に当たってしまうのではないかという懸念があるのです。仮に「手数料」の6%が「利息」であったなら、法律上は1年間で72%の利息とみなされ、法廷の上限金利をオーバーしてしまいます。これでは消費者金融に借りなくて済むどころか、経営者公認の消費者金融がいるのと変わりません。いわゆる貧困ビジネスじゃないかと指摘する声も上がっています。また、給料が一部とはいえ、雇い主からではないところから支払われる、全額払いされないことなどは労基法に抵触する可能性もあると懸念されています。
現段階で給料日払いシステムを評価するなら、グレーゾーンにあると言えそうです。給料の前借りをしなくてもよいように、喧伝される割にはまだまだ国民全体まで行き渡らない好景気を早く実感できるような世の中になって欲しいものです。
<参考サイト>
・NIKKEI STYLE:日払い給料、正社員にも広がる 思わぬ出費も安心
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO24799430Z11C17A2NZBP00?channel=DF061020161183
・NIKKEI STYLE:日払い給料、正社員にも広がる 思わぬ出費も安心
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO24799430Z11C17A2NZBP00?channel=DF061020161183
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
メダカの学校・総合的な学習(探究)の時間・逆参勤交代
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(4)社会課題の解決に取り組む人財産業
未来のプラチナ社会の実現に向けて、教育の見直しも欠かせない課題である。旧来的な知識伝達型の教育方法ではなく、教える側のダイバーシティを考慮した「メダカの学校」的なあり方や探究型学習の活用が重要なポイントとなる。...
収録日:2025/04/21
追加日:2025/10/30
忠犬ハチ公で哲学する…人と犬の関係から見えてくる道徳論
東大ハチ公物語―人と犬の関係(1)上野英三郎博士とハチ
東京大学大学院人文社会系研究科教授・一ノ瀬正樹氏が、海外でも有名な「ハチ公」の逸話を例に、人と犬の関係について考察する。第一回目は、ハチの飼い主・上野英三郎博士について触れ、東大とハチ公の結びつきや、東大駒場キ...
収録日:2017/04/04
追加日:2017/06/13
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
変人募集中…0から1を生める人、発掘する人、育てる人
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(4)エンタメで一番重要なのは「人」
エンタメビジネスにおいて一番大切なのは「人」である。さらに、「0から1を生める」クリエイターが必須であることはいうまでもないが、そのような人材だけではエンタテインメントビジネスは成立しない。時として異能で多様なク...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/10/28
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
半世紀ほど前、松下幸之助に経営者の条件について尋ねた田口氏は、「運と徳」、そして「人間の把握」と「宇宙の理法」という命題を受けた。その後50年間、その本質を東洋思想の観点から探究し続けてきた。その中で後藤新平の思...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/24


