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DATE/ 2018.04.21

ハローワークは使える?就職サイトとの違いは?

 就職や転職に際して、ハローワークは「使える」のでしょうか?

 結論から言うと、ハローワークは使えます。ただし使うメリットのより多い人と少ない人はいます。そして、より有効な活用方法を知らないため、お得な情報を逃している人もいるかもしれません。

 そしてなにより、求人情報や就職支援情報が玉石混淆していることも事実なため、「利用のコツ」が必要になってきます。就職サイトと比較しつつ、ハローワークの有効活用法をみていきたいと思います。

ハローワークのメリットとデメリットとは?

 ハローワークとは「公共職業安定所」の愛称です。その名のとおり厚生労働省の運営する公共の機関で、職業紹介や職業指導、失業給付や雇用保険に関する手続きや事務なども無料で行ってくれます。すべての世代における、「就職活動の基本となる機関」といえます。

 ハローワーク利用にはいくつかのメリットがありますが、そのうちの主な3つを紹介します。1つ目は、求人量が多いことです。就職サイト等と違い無料で求人を出すことができるため、幅広い層の企業が求人を登録しています。2つ目は、全国に550以上あり、地域に根ざした求人案件を多数紹介していることです。3つ目は、職員や相談員によるキャリアコンサルティングやサポートや就職支援セミナーなどを無料で受けられることです。

 ただし、メリットも見方を変えるとデメリットになってしまうこともあります。まず無料で求人を出せるため、残念ながらブラック企業の求人や実際の業務内容と違う求人情報が混ざっていることも多々あります。そして、地元のハローワークでは十分な支援が用意されていなかったり、地域性によっては似たような求人しかなかったりする場合もあります。また、職員や相談員の質にばらつきがあり、腕利きの相談員や相性のよい職員に出会えないこともあります。

就職サイトにもあるメリットとデメリット

 一方、就職サイトは民間企業が運営しており、就職活動に関する情報提供を行ってくれ、登録やエントリーをすることによって、就職活動をバックアップしてくれます。なお、就職サイトの資金源の基本は、求人情報を出している各企業です。ですから利用者は、登録・求人検索・応募など基本的な利用は、ハローワークと同じく無料で行うことができます。

 そして、ハローワークの求人と違い、画像や動画などの独自のコンテンツが求人情報と一緒公開されていることが多いため、企業の雰囲気や業務内容がわかりやすくイメージしやすくなります。また、応募企業の担当者と直接やり取りができたり、スカウト機能などで新たな企業との出会いがあったりといったメリットがあります。

 しかし、ネットで世界中に公開されており、なおかつ応募もカンタンにできるため、応募総数は多くなり倍率が高くなる傾向にあります。さらに採用企業からサイト運営企業への料金が発生してしまうこともあり、採用どころか面接にも至らないことも多々あります。また、基本は間に入ってくれる人がいないため、すべて自分で調整しなくてはならないことや、選考に落ちた理由や評価ポイントなどがフィードバックされないといったデメリットがあります。

ハローワークの有効活用方法あれこれ

 転職や失業など職業生活全般の情報に詳しく、関連書籍なども多数執筆しているフリーランスライターの日向咲嗣氏は、著書『ある日突然、失業したら、どうする・どうなる』で、「転職を一歩リードするにはハローワークを使おう」と呼びかけ、ハローワークの有効活用方法を紹介しています。

 日向氏は、まずは「ハローワークインターネットサービス」を併用し、おおまかな検索はハローワークに行く前に済ましておくこと。つぎに、「ハローワークプラザ」など、地元以外のより支援やサービスの手厚いハローワークにも行くことをすすめています。ハローワークによっては、マンツーマンのキャリアコンサルを受けられたり、質の高い就職セミナーやワークショップなどにも、無料で気軽に参加できたりもします。

 また、中高年ホワイトカラー求職者の再就職活動を支援するための「キャリア交流プラザ」や、「ヤングワークプラザ」「ジョブカフェ」のような若者向けのハローワークの関連施設など、年齢や用途に応じた特化した施設もあります。そして「求職者支援制度(職業訓練)」の利用によって、より高度な専門技術を無料もしくは安価かつ、失業手当の受給中に手にすることも可能になると取り上げ、年齢やライフスタイルに応じたハローワークの、さらなる有効活用方法を多面的に提案しています。

目的とエビデンスをしっかりと持つためにも

 ここでいったん、「なぜハローワークや就職サイトを使うのか」という、根本に戻りたいと思います。それは「よりよい就職や転職という目的を達成するため」でしょう。

 労働社会学・マスメディア論・ジェンダー研究を専門とする、ジャーナリストで和光大学教授の竹信三恵子氏は、著書『これを知らずに働けますか?』で「ハローワークか民間かを問わず、求人票は会社が出した情報が元です。だからこそ、必ず客観的なデータなどで裏付けをとること、必要な情報は自分で多角的に収集すること」とし、「情報は丸呑みせずにウラをとることが基本です」と警鐘を鳴らし、『就職四季報』等の活用を提案しています。

 情報や選択肢が多いことは、基本的にはとてもすばらしいことです。しかし多様な情報には、間違った情報や不要な情報も含まれてしまいます。そのような情報に惑わされないためにも、しっかりとした目的を定めてエビデンスに基づく有益な情報を選べるようにしたいですね。

<参考文献>
・『ある日突然、失業したら、どうする・どうなる』(日向咲嗣著、明日香出版社)
・『これを知らずに働けますか?』(竹信三恵子著、ちくまプリマー新書)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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