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意外と知らない「消費者金融」の年収は?
「消費者金融」と聞いて『ナニワ金融道』を連想するような人はもういないでしょうが、ちょっとグレーなイメージを引きずっている部分は少なくありません。2007年の貸金業法改正以来ガラリと一変し、メガバンクが主導するかたちとなった「消費者金融」企業の実態を、調べてみました。
その実態は、銀行の統廃合と同じぐらい大きく動いてきました。かつての「サラ金」時代にCMなどで名前になじみのあるなかでは、「¥ショップ武富士」は消滅し、「ほのぼのレイク」は新生フィナンシャルに移行し、「黄色い看板のプロミス」はSMBCグループの完全子会社となっています。
現在の大手ご三家は、「アコム(三菱UFJフィナンシャル・グループ)」「SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)」「アイフル」。アコムは自動契約機「むじんくん」のテレビCMで、お金を借りる行動の暗いイメージを払拭しました。アイフルは京都で創業、唯一の独立系専業大手。2009年に事業再生の対象となり、2015年に再生期間を終えて再建途上にあります。
こうした大手で働く従業員の平均年収は、平成28年調べでアコムが603万円(平均39.9歳)、アイフルが551万円(41.0歳)(以上『会社四季報』)。SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)は580万円(39.6歳)(「就活の未来」調べ)。民間給与平均の422万円(平均46歳)と比べると、結構な高給取りと言えるでしょう。
従業員平均年齢は40歳そこそこですが、消費者金融では中途採用者が多いため、平均勤続年数はいずれも13~15年。若い世代の採用に熱心な業種で、定着率も上がってきたといえます。
総量規制とは、個人の借入総額が、原則、年収などの3分の1までに制限される仕組みを言います。不動産や自動車を買うときのローンの除外や、緊急に医療費が必要なときに融資を受け付ける例外規定はあるものの、基本的には年収300万円の人には100万円までの貸付しか許されていません。
かつての「取り立て」イメージを一新するため、言葉遣いや立ち居振る舞いは、ビジネスマナー研修で徹底して習得。また、貸金業の国家資格として「貸金業務取扱主任者」制度が2010年に始まり、2017年度合格率30%強という比較的難しい試験を受けなければなりません。さらに、個人情報保護法や各社のコンプライアンスも勉強して、社内試験に備える必要もあります。
一方で「サービス残業」に厳しいのも、金融業界の常識。少し古いデータですが、デューダの2013年「ホンネの転職白書」によると、残業時間は80業種中21位の少なさで月間平均19.3時間、年間休日はやや少なめで114.6日(62位)とカウントされています。
大手の窓口としてはATMと無人契約機によるオンライン取引がほとんどですから、ATMの金額チェックは最重要の通常業務。一方、切手や印紙、手形などを使うのが日常のため、朝と夕方2回の現金チェックが必須になっています。銀行と同じく、ATMや現金には1円の食い違いも許されないため、すべてが合うまで業務は終われないと言います。
営業では、駅前のティッシュ配りも連想されますが、中心は電話営業。主に女性が担当し、顧客リストを元に限度額増額などを案内します。また、ネット申し込みやコールセンターからの情報を整理し、信用情報機関に問い合わせ・登録していきます。融資できない場合の断り電話も、重要な業務です。
回収業務はいわゆる「取り立て」で、グレーゾーン金利が廃止された現在では、消費者金融業務の主力になっています。返済の遅れている顧客に電話や手紙で支払いを督促するのが主な仕事。電話をかけられる回数や時間は決まっているうえ、本社の精査に備えて電話の内容はボイスレコーダーで録音します。悪質な滞納者は債権回収専門業者に依頼することもあるといいます。
最近では個人情報の取り扱いにミスがあれば裁判沙汰に発展することも多いため、神経を使わざるをえません。お金を扱う手厳しさと相まって、人によっては胃の痛くなりそうな職種になるのかもしれないです。
大手年収550万円から600万円は、平均以上!
銀行にくらべて手軽にお金を借りられる「消費者金融」。お金を借りたい個人に対して融資を行い、返済を支援するのが仕事です。その実態は、銀行の統廃合と同じぐらい大きく動いてきました。かつての「サラ金」時代にCMなどで名前になじみのあるなかでは、「¥ショップ武富士」は消滅し、「ほのぼのレイク」は新生フィナンシャルに移行し、「黄色い看板のプロミス」はSMBCグループの完全子会社となっています。
現在の大手ご三家は、「アコム(三菱UFJフィナンシャル・グループ)」「SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)」「アイフル」。アコムは自動契約機「むじんくん」のテレビCMで、お金を借りる行動の暗いイメージを払拭しました。アイフルは京都で創業、唯一の独立系専業大手。2009年に事業再生の対象となり、2015年に再生期間を終えて再建途上にあります。
こうした大手で働く従業員の平均年収は、平成28年調べでアコムが603万円(平均39.9歳)、アイフルが551万円(41.0歳)(以上『会社四季報』)。SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)は580万円(39.6歳)(「就活の未来」調べ)。民間給与平均の422万円(平均46歳)と比べると、結構な高給取りと言えるでしょう。
従業員平均年齢は40歳そこそこですが、消費者金融では中途採用者が多いため、平均勤続年数はいずれも13~15年。若い世代の採用に熱心な業種で、定着率も上がってきたといえます。
ビジネスマナーアップと「サビ残」禁止
消費者金融で働いていた人の話を聞くと、社会問題となったような強引な取り立ては大昔のこと。一時は借りてもらうための電話勧誘営業が業務の主軸となっていましたが、現在では総量規制のもと、モラルやコンプライアンスの徹底がなされ、ひたすら厳格なデスクワークが中心だと言います。総量規制とは、個人の借入総額が、原則、年収などの3分の1までに制限される仕組みを言います。不動産や自動車を買うときのローンの除外や、緊急に医療費が必要なときに融資を受け付ける例外規定はあるものの、基本的には年収300万円の人には100万円までの貸付しか許されていません。
かつての「取り立て」イメージを一新するため、言葉遣いや立ち居振る舞いは、ビジネスマナー研修で徹底して習得。また、貸金業の国家資格として「貸金業務取扱主任者」制度が2010年に始まり、2017年度合格率30%強という比較的難しい試験を受けなければなりません。さらに、個人情報保護法や各社のコンプライアンスも勉強して、社内試験に備える必要もあります。
一方で「サービス残業」に厳しいのも、金融業界の常識。少し古いデータですが、デューダの2013年「ホンネの転職白書」によると、残業時間は80業種中21位の少なさで月間平均19.3時間、年間休日はやや少なめで114.6日(62位)とカウントされています。
主な業務はATM精査と営業、回収など
主な業務内容について見ていくと、ATMの精査・現金チェック、営業業務、回収業務などで、銀行などの融資部門の仕事と大差ありません。顧客の中には借金の整理を申し出るケースも珍しくないため、裁判所や弁護士との書類のやりとりも頻繁に行なわれます。大手の窓口としてはATMと無人契約機によるオンライン取引がほとんどですから、ATMの金額チェックは最重要の通常業務。一方、切手や印紙、手形などを使うのが日常のため、朝と夕方2回の現金チェックが必須になっています。銀行と同じく、ATMや現金には1円の食い違いも許されないため、すべてが合うまで業務は終われないと言います。
営業では、駅前のティッシュ配りも連想されますが、中心は電話営業。主に女性が担当し、顧客リストを元に限度額増額などを案内します。また、ネット申し込みやコールセンターからの情報を整理し、信用情報機関に問い合わせ・登録していきます。融資できない場合の断り電話も、重要な業務です。
回収業務はいわゆる「取り立て」で、グレーゾーン金利が廃止された現在では、消費者金融業務の主力になっています。返済の遅れている顧客に電話や手紙で支払いを督促するのが主な仕事。電話をかけられる回数や時間は決まっているうえ、本社の精査に備えて電話の内容はボイスレコーダーで録音します。悪質な滞納者は債権回収専門業者に依頼することもあるといいます。
最近では個人情報の取り扱いにミスがあれば裁判沙汰に発展することも多いため、神経を使わざるをえません。お金を扱う手厳しさと相まって、人によっては胃の痛くなりそうな職種になるのかもしれないです。
<参考サイト>
・会社四季報ONLINE:アコム
https://shikiho.jp/tk/stock/info/8572
・会社四季報ONLINE:アイフル
https://shikiho.jp/tk/stock/info/8515
・デューダ:ホンネの転職白書 残業の多い職業・少ない職業は?
https://doda.jp/guide/ranking/073.html
・会社四季報ONLINE:アコム
https://shikiho.jp/tk/stock/info/8572
・会社四季報ONLINE:アイフル
https://shikiho.jp/tk/stock/info/8515
・デューダ:ホンネの転職白書 残業の多い職業・少ない職業は?
https://doda.jp/guide/ranking/073.html
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