社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
人間力を高める大前提は「弱さを認める素直さ」
ビジネスの現場で必要なのは、聞く力や問う力だ、いや対話力も重要だ、などとよく言われますが、最も重要なのは総合的な人間力でしょう。経営コンサルタントの浜口直太氏の信条も「人間力を高める」であり、そのための努力を怠らないという点にあります。
では、なぜ浜口氏がそう考えるようになったのでしょうか。
自分にどんな助言、激励ができるわけでもないけれどと思った浜口氏が、それでも行動に移したのが、バージニア州アーリントンにあるベトナム難民村に行き、戦災にみまわれた多くのベトナム人の話を聞くということでした。人々の話を聞くなかで、自分がいかに恵まれ、頑張ることのできる環境にいるかを自覚し、世のため人のために生きようという決意を固めることができたといいます。この決意を志の根本に置いたからこそ、世界最大の会計監査法人・会計事務所の採用面接を突破することができた、と浜口氏は当時を振り返ります。
しかし、この浜口氏、小さい頃から勉強ができない、自分には理解力がない、と悩み通しだったというから驚きです。暗記力も理解力も到底人に及ばない状態。同じ話を何度聞いてもなかなか理解できなくて、特に国語力に欠けるのが決定的な欠点だったそうです。大学を卒業するまで、教科書以外で読んだ本は『子鹿のバンビ』と『野口英世』の2冊だけ。しかもどちらも読了していないので、結末も知らずじまいというのですから、筋金入りです。世は偏差値教育真っ只中でもあり、非常に苦しい学校生活を送っていたそうです。
「素直であれ」という言葉が鍵となり、やがて到来するグローバル化時代に役立つ人間になりたいという気もちが芽生え、迷っていた大学進学を決意。一心不乱の勉強態度も評価され、無事大学卒業、そしてアメリカ留学を果たしたのだそうです。
人間力をつける大前提は「世のため、人のために生きる」という強い意志ですが、その根本にあるのは、自分の欠点、弱点を素直に認め努力する力。弱さあってこその強さが、人間力養成には必要なのではないでしょうか。
人間力に最も必要な大前提とは
その浜口氏が人間力をつけるために必要なポイントとして挙げるのは、たとえば、「人生は悪くて当たり前、とプラス思考で臨む」とか「感謝の心を忘れない」「明るく元気に大きな声で話す」など、一見単純に見えて、自分の考え方や行動の中心に常にすえようとすると実はつい忘れがちになってしまうようなことばかり。そして、浜口氏は自分で人間力を高めていくために最も重要な大前提は「世のため、人のために生きよう」と思い定めることだと言います。では、なぜ浜口氏がそう考えるようになったのでしょうか。
まず、出来ることから始める
直接、「世のため、人のために生きることが人間力を高め、成功、幸せに導いてくれるものだ」と教えてくれたのは、浜口氏が大学卒業後アメリカに渡り大学院を目指して勉強している時に出会ったドイツ系アメリカ人のステファニー・テンジー氏。「世のためといっても何をしたらよいのか」と戸惑う浜口氏に「とにかく人の相談にのって励ましてあげなさい」とアドバイスをしたそうです。自分にどんな助言、激励ができるわけでもないけれどと思った浜口氏が、それでも行動に移したのが、バージニア州アーリントンにあるベトナム難民村に行き、戦災にみまわれた多くのベトナム人の話を聞くということでした。人々の話を聞くなかで、自分がいかに恵まれ、頑張ることのできる環境にいるかを自覚し、世のため人のために生きようという決意を固めることができたといいます。この決意を志の根本に置いたからこそ、世界最大の会計監査法人・会計事務所の採用面接を突破することができた、と浜口氏は当時を振り返ります。
もともとは筋金入りの劣等生だった
こうして聞くと、「やはりうんと勉強して留学先で優秀な成績を修めるような人は、心がけが違う。そういう精鋭だから、自ら人間力をつけることができたのだろう」と思う人がいるかもしれません。しかし、この浜口氏、小さい頃から勉強ができない、自分には理解力がない、と悩み通しだったというから驚きです。暗記力も理解力も到底人に及ばない状態。同じ話を何度聞いてもなかなか理解できなくて、特に国語力に欠けるのが決定的な欠点だったそうです。大学を卒業するまで、教科書以外で読んだ本は『子鹿のバンビ』と『野口英世』の2冊だけ。しかもどちらも読了していないので、結末も知らずじまいというのですから、筋金入りです。世は偏差値教育真っ只中でもあり、非常に苦しい学校生活を送っていたそうです。
弱さを認める素直さが強さのもとになる
そうした自分の存在意義すら見出せない毎日のなかで、出会ったのが松下幸之助氏の言葉。小学校中退ながら日本一の事業家になった松下幸之助の「人生で成功するために大事なことは、素直な心を持つことだ」という言葉に出会い、自分はどれほど素直だったかと反省したと浜口氏は言います。「素直であれ」という言葉が鍵となり、やがて到来するグローバル化時代に役立つ人間になりたいという気もちが芽生え、迷っていた大学進学を決意。一心不乱の勉強態度も評価され、無事大学卒業、そしてアメリカ留学を果たしたのだそうです。
人間力をつける大前提は「世のため、人のために生きる」という強い意志ですが、その根本にあるのは、自分の欠点、弱点を素直に認め努力する力。弱さあってこその強さが、人間力養成には必要なのではないでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
アメリカの大転換はトランプ政権以前に起こっていた。1980~1990年代、情報機器と金融手法の発達、それに伴う法問題の煩雑化により、アメリカは「ラストベルト化」に向かう変貌を果たしていた。そこにトランプの誤解の背景があ...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/11


