社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
五輪エンブレム問題を考える
2020年東京オリンピック開催に向けて影がさすことになった「エンブレム騒動」。ベルギーのリエージュ劇場ロゴからの盗作との疑惑が浮上している今、盗作問題についての関心が高まっている。
「わかりやすさ」「つたわりやすさ」の観点から素朴な美しさを求められるロゴデザインの世界では、形に単純性が出れば出る程、丸や四角などの形のみで表現せざるを得なくなり、その分数多くのロゴのうちどれかと類似してしまうのは仕方のないことである。
今回問題となっている双方のデザインをみると、訴訟を起こされたとき、勝敗をどのように決められるのかが興味深い。そもそも、今回のデザインは「TOKYO」「TEAM」「TOMORROW」のTからイメージして作られたということで、あの図形全てをもってTとされる。
シアター・リエージュのTとLだけで説明がつくデザインに比例して一文字のみでLともとれる要素を入れてしまったというところも論点になりそうだ。
ではいったいどこからが盗作になりえるのだろうか。
音楽の領域では、旋律が似ている、リズムが似ているなどが判断材料となる。
ポップス・ロック・レゲエなど、ジャンルがあるものは、まず同ジャンル同士のものが似るのは当たり前のことだ。それでも違う曲ができるのは、似た要素の中から、どれだけのオリジナリティをだせるかというところだ。何小節まで同じだとアウト、というような、似ている部分の長さでも印象が大きく違ってくるだろう。
詩や小説など文芸の領域では、元にするものが同じだと似て来てしまう。神話、伝承といった古くから語り継がれているものから取ると、どれも同じ名前や設定になってしまうことがある。
しかし元となるものから作られた設定とさらに似ている場合、指摘される可能性がある。つまり、最近のものからとればとるほど、同じだと見なされてしまうのである。
詩は音楽の「作詞」の部分と同じでフレーズの持つ語感とリズムが争点となってくるだろう。
無意識に、どこかで聞いたことがあって、それが頭の中に残っていて作られてしまったため、「盗んだ」という意識がないという話はよくある。またこれと似ているだろうか、と様々な例を探し出したら枚挙にいとまがない。
このようなコラムも同じ、扱うニュース、源が同じならば同じような記事ができあがってしまうが、大切なのは人が不快に思わないための配慮と、自分の意見を少しでも取り入れることなのではないだろうか。
作り手としても似ているものをあらかじめ把握するのは至難の業だが、多くの「見る」人がこれは似ていると思う気持ちを止めることもできない。だとすれば、提供する側もこれを無視することはできないだろう。
「作る側」と「見る側」、双方が誠実さを持って対応することが大切なのではないだろうか。
「わかりやすさ」「つたわりやすさ」の観点から素朴な美しさを求められるロゴデザインの世界では、形に単純性が出れば出る程、丸や四角などの形のみで表現せざるを得なくなり、その分数多くのロゴのうちどれかと類似してしまうのは仕方のないことである。
今回問題となっている双方のデザインをみると、訴訟を起こされたとき、勝敗をどのように決められるのかが興味深い。そもそも、今回のデザインは「TOKYO」「TEAM」「TOMORROW」のTからイメージして作られたということで、あの図形全てをもってTとされる。
シアター・リエージュのTとLだけで説明がつくデザインに比例して一文字のみでLともとれる要素を入れてしまったというところも論点になりそうだ。
ではいったいどこからが盗作になりえるのだろうか。
音楽の領域では、旋律が似ている、リズムが似ているなどが判断材料となる。
ポップス・ロック・レゲエなど、ジャンルがあるものは、まず同ジャンル同士のものが似るのは当たり前のことだ。それでも違う曲ができるのは、似た要素の中から、どれだけのオリジナリティをだせるかというところだ。何小節まで同じだとアウト、というような、似ている部分の長さでも印象が大きく違ってくるだろう。
詩や小説など文芸の領域では、元にするものが同じだと似て来てしまう。神話、伝承といった古くから語り継がれているものから取ると、どれも同じ名前や設定になってしまうことがある。
しかし元となるものから作られた設定とさらに似ている場合、指摘される可能性がある。つまり、最近のものからとればとるほど、同じだと見なされてしまうのである。
詩は音楽の「作詞」の部分と同じでフレーズの持つ語感とリズムが争点となってくるだろう。
無意識に、どこかで聞いたことがあって、それが頭の中に残っていて作られてしまったため、「盗んだ」という意識がないという話はよくある。またこれと似ているだろうか、と様々な例を探し出したら枚挙にいとまがない。
このようなコラムも同じ、扱うニュース、源が同じならば同じような記事ができあがってしまうが、大切なのは人が不快に思わないための配慮と、自分の意見を少しでも取り入れることなのではないだろうか。
作り手としても似ているものをあらかじめ把握するのは至難の業だが、多くの「見る」人がこれは似ていると思う気持ちを止めることもできない。だとすれば、提供する側もこれを無視することはできないだろう。
「作る側」と「見る側」、双方が誠実さを持って対応することが大切なのではないだろうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
“死の終りに冥し”…詩に託された『十住心論』の教えとは
空海と詩(4)詩で読む『秘蔵宝鑰』
“悠々たり悠々たり”にはじまる空海『秘蔵宝鑰』序文の詩文。まことにリズミカルな連呼で、たたみかけていく文章である。このリフレインで彼岸へ連れ去られそうな魂は、選べる道の多様さと迷える世界での認識の誤りに出会い、“死...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/11/23
国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験
独立と在野を支える中間団体(6)慶應義塾大学「三田会」の起源
中間集団として象徴的な存在である慶應義塾大学「三田会」について考える今回。三田会は単に同窓会組織として存在しているわけではなく、「公」に頼れない場合に重要な役割を果たすものだった。その三田会の起源について解説す...
収録日:2024/06/08
追加日:2024/11/22
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
大転換期の真っ只中にいるわれわれにとって、日本の特性を強みとして生かしていくために忘れてはいけないことが二つある。一つは日本が森林山岳海洋島国国家であるというその地理的特性。もう一つは、日本文化の根源としての縄...
収録日:2020/02/05
追加日:2020/09/16
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19
謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像
日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学
日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのよ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/14
対談 | 林望/ロバート キャンベル