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ドローンでピザが宅配される日
東京・浅草の三社祭にドローンを飛ばして撮影すると示唆し逮捕された「ドローン少年」の騒動や、首相官邸に放射性物質の付いたドローンが落下した事件など、ネガティブな面ばかりが強調されがちなドローン。
だが、無人航空機が小型化、低価格化したことで活用分野が次々と広がっている。ここではポジティブな面に着目してみよう。
ドローンは空中から撮影する機能が注目されやすいが、そもそもドローン=空中撮影機ではなく、あくまでドローンは小型の無人航空機のこと。形状は一般的にローター(回転翼)を複数持つマルチコプターと呼ばれるものが多い。その用途は偵察、爆撃など軍事目的から、流通を始めとした商用目的まで幅広い。
インターネット通販大手のアマゾンは2013年に「プライム・エアー」と名付けた輸送サービスの構想を発表。軽量の商品に限定されるものの、アマゾンが出荷した商品を注文から30分以内に届けるというものだ。
宅配ピザチェーン・ドミノピザの英国法人も、2013年にドローンでピザを宅配するサービス「ドミコプター」の動画を公開し話題を呼んだ。どちらも法規制を筆頭に実用化へのハードルは高いが、導入されればドローンがグッと身近なものになるだろう。
SNS世界最大手の米Facebookが開発したのは、インターネット接続サービスを提供するための巨大ドローン「Aquila」。
ソーラーパネルで発電しながら約3カ月飛行することが可能で、インターネット環境が未整備の地域へ空からネット環境を届けることが狙いだという。言うなれば空飛ぶWi-fiスポットだ。
こちらもまだ実用化の時期は明らかになっていないものの、世界の端から端までネット環境を広げようという同社の壮大な野望がはっきりと伝わってくる。
災害時に活①日に用するという使い方もある。
2015年9月は愛知県警がドローンを使った救助訓練を実施。震度7の地震が発生したという想定で、崩壊した建物内に取り残された人がいないか確認する用途などで使用した。
警備大手のセコムはドローンを利用した警備サービスを2015年6月に開始。不審車両や不審人物を発見すると対象を撮影し、防犯に生かすという。
医療分野での活用例もある。米国のベンチャー企業「Matternet」は発展途上国で医薬品の輸送を展開。道路が整備されていない地域でもドローンなら迅速に医薬品を運ぶことができる。1分の遅れが命取りになることもありうる医療の現場での需要は大きい。
もちろん従来なかなか撮ることができなかった写真や映像を撮影できるという機能も見逃せない。地形的や気候など環境の問題で人間が入り込めない場所の撮影であったり、よりダイナミックなスポーツ中継にも生かせることだろう。
米国際無人機協会は、2025年までに米国内だけでドローン市場規模は820億ドル(約9・8兆円)にまで拡大すると予想している。空を飛ぶ物体なだけに安全面の配慮は念入りにしなければならず実態に即した法整備が待たれるが、上に挙げた例を見るだけでも、新たな市場を作り出せる潜在能力を持っていることは間違いない。
だが、無人航空機が小型化、低価格化したことで活用分野が次々と広がっている。ここではポジティブな面に着目してみよう。
ドローンは空中から撮影する機能が注目されやすいが、そもそもドローン=空中撮影機ではなく、あくまでドローンは小型の無人航空機のこと。形状は一般的にローター(回転翼)を複数持つマルチコプターと呼ばれるものが多い。その用途は偵察、爆撃など軍事目的から、流通を始めとした商用目的まで幅広い。
インターネット通販大手のアマゾンは2013年に「プライム・エアー」と名付けた輸送サービスの構想を発表。軽量の商品に限定されるものの、アマゾンが出荷した商品を注文から30分以内に届けるというものだ。
宅配ピザチェーン・ドミノピザの英国法人も、2013年にドローンでピザを宅配するサービス「ドミコプター」の動画を公開し話題を呼んだ。どちらも法規制を筆頭に実用化へのハードルは高いが、導入されればドローンがグッと身近なものになるだろう。
SNS世界最大手の米Facebookが開発したのは、インターネット接続サービスを提供するための巨大ドローン「Aquila」。
ソーラーパネルで発電しながら約3カ月飛行することが可能で、インターネット環境が未整備の地域へ空からネット環境を届けることが狙いだという。言うなれば空飛ぶWi-fiスポットだ。
こちらもまだ実用化の時期は明らかになっていないものの、世界の端から端までネット環境を広げようという同社の壮大な野望がはっきりと伝わってくる。
災害時に活①日に用するという使い方もある。
2015年9月は愛知県警がドローンを使った救助訓練を実施。震度7の地震が発生したという想定で、崩壊した建物内に取り残された人がいないか確認する用途などで使用した。
警備大手のセコムはドローンを利用した警備サービスを2015年6月に開始。不審車両や不審人物を発見すると対象を撮影し、防犯に生かすという。
医療分野での活用例もある。米国のベンチャー企業「Matternet」は発展途上国で医薬品の輸送を展開。道路が整備されていない地域でもドローンなら迅速に医薬品を運ぶことができる。1分の遅れが命取りになることもありうる医療の現場での需要は大きい。
もちろん従来なかなか撮ることができなかった写真や映像を撮影できるという機能も見逃せない。地形的や気候など環境の問題で人間が入り込めない場所の撮影であったり、よりダイナミックなスポーツ中継にも生かせることだろう。
米国際無人機協会は、2025年までに米国内だけでドローン市場規模は820億ドル(約9・8兆円)にまで拡大すると予想している。空を飛ぶ物体なだけに安全面の配慮は念入りにしなければならず実態に即した法整備が待たれるが、上に挙げた例を見るだけでも、新たな市場を作り出せる潜在能力を持っていることは間違いない。
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