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人工知能が給料を決めて小説を書く?AIがひらく未来
5月11日のYahooニュースに1つのブログ記事が転載されました。
タイトルは「人工知能が給料を決めている会社」。SE、商社マン、香港IT会社社長、外資系ERPベンダーのプリンシパルと4つの顔を持つ成迫剛志氏が、自身のブログ「成迫剛志の『ICT幸福論』」にアップしたものが元になっています。
筆者によると、それは人工知能を手掛けているグローバルIT企業が取り入れた事例。自社製品活用による話題づくりなのかどうかはわかりませんが、従来から会社の人事規定としてデータベース化されてきた「個々人の保有するさまざまなスキルとそのレベル」を人工知能が読み込み、判断を加えて給料調整を行い始めたということのようです。
ワールドワイドに活躍する筆者は独自の予想も試みていますが、「いまのところは」人工知能が給料を下げたケースはない模様。ただし、直属上司も知らない間に「上げた」ケースはあるそうで、これからの成り行きが注目されます。給料アップは「自己申告したスキルにしてはよくやっている」ということなのか、「今後の成長も見込んで」のことなのか、気になるところですね。
同じ頃、日本国内を賑わしたのは「人工知能が小説執筆 文学賞で選考通過」のニュースでした。こちらは人間と人工知能による共同創作小説を開発するプロジェクト。第3回「星新一賞」に応募した結果が、報告会で明らかになりました。審査者には人工知能使用作品であることを伏せたまま、4作品を応募し、うち1編が予選通過となったものです。
「星新一賞」は、2013年に「理系的発想力を問う」ために日本経済新聞社が創設した文学賞。応募規定には「人間以外(人工知能等)の応募作品も受付けます」の一文もあり、今回の応募作品2561作品のうち、AIによる応募は11編あったということです。
松尾氏は『人工知能学会』の倫理委員長も務める、日本の人工知能研究のトップランナー。その彼でさえ、「僕は、3年ぐらいあとに勝つようになるかなというふうに思っていたんですけれども、それよりも、だいぶ早かったですね」とコメントするほど、「アルファGO」の「かしこくなり方」はスピードアップしていたようです。
速さの秘密が「ディープラーニング」。人工知能がさまざまな能力を切り開いていくことについて、松尾氏はあくまでも楽観的で、「人間の仕事がなくなる」といった心配はしていません。
むしろ、彼が不安に感じているのは、10MTVの中でも話していますが、少子高齢社会において、どのように世界のモデルとなるようなロボットを日本が速やかに開発できるのか。また、スピードアップするAIの進化に、「モノづくり大国」の自信を持つ日本は乗り遅れているのではないか、の2点です。
枯れ尾花に幽霊を見るのは、日本人の悪い癖。正体を知らずに「AIアレルギー」を抱え込んでいたのでは世界との差は開くばかり。開発者たちにとって最も怖いのは、そちらのほうなのかもしれません。
タイトルは「人工知能が給料を決めている会社」。SE、商社マン、香港IT会社社長、外資系ERPベンダーのプリンシパルと4つの顔を持つ成迫剛志氏が、自身のブログ「成迫剛志の『ICT幸福論』」にアップしたものが元になっています。
筆者によると、それは人工知能を手掛けているグローバルIT企業が取り入れた事例。自社製品活用による話題づくりなのかどうかはわかりませんが、従来から会社の人事規定としてデータベース化されてきた「個々人の保有するさまざまなスキルとそのレベル」を人工知能が読み込み、判断を加えて給料調整を行い始めたということのようです。
ワールドワイドに活躍する筆者は独自の予想も試みていますが、「いまのところは」人工知能が給料を下げたケースはない模様。ただし、直属上司も知らない間に「上げた」ケースはあるそうで、これからの成り行きが注目されます。給料アップは「自己申告したスキルにしてはよくやっている」ということなのか、「今後の成長も見込んで」のことなのか、気になるところですね。
碁でも小説でも活躍し始めたAI
それにしても、2016年の春以来、「人工知能(AI)」の進化とそれを支える「ディープラーニング」の話題には一挙に火がついたようです。そのきっかけとなったのは、3月中旬に韓国から舞い込んだニュースから。グーグルの開発した「アルファGO(碁)」が韓国の囲碁チャンピオンであるイ・セドル9段に4勝1敗で勝ち越し、韓国棋院より名誉9段を授与されたのです。3連敗を喫したイ・セドル9段は人類の運命を双肩に担う悲壮感さえ漂わせて、4戦目で一矢を報いたのでした。同じ頃、日本国内を賑わしたのは「人工知能が小説執筆 文学賞で選考通過」のニュースでした。こちらは人間と人工知能による共同創作小説を開発するプロジェクト。第3回「星新一賞」に応募した結果が、報告会で明らかになりました。審査者には人工知能使用作品であることを伏せたまま、4作品を応募し、うち1編が予選通過となったものです。
「星新一賞」は、2013年に「理系的発想力を問う」ために日本経済新聞社が創設した文学賞。応募規定には「人間以外(人工知能等)の応募作品も受付けます」の一文もあり、今回の応募作品2561作品のうち、AIによる応募は11編あったということです。
「“仕事がない世界”」は妄想なのか?
こうした動きを受けてか、NHKでは3月15日放映の「クローズアップ現代」で「“仕事がない世界”がやってくる!?」と題してシンギュラリティ問題を特集。さらに24日には「人工知能はどんな未来をひらくのか?」と題して、「アルファ碁」や「小説執筆」の動きを追いました。その解説者として呼ばれたのが、10MTV講師で東京大学大学院工学系研究科准教授・松尾豊氏です。松尾氏は『人工知能学会』の倫理委員長も務める、日本の人工知能研究のトップランナー。その彼でさえ、「僕は、3年ぐらいあとに勝つようになるかなというふうに思っていたんですけれども、それよりも、だいぶ早かったですね」とコメントするほど、「アルファGO」の「かしこくなり方」はスピードアップしていたようです。
速さの秘密が「ディープラーニング」。人工知能がさまざまな能力を切り開いていくことについて、松尾氏はあくまでも楽観的で、「人間の仕事がなくなる」といった心配はしていません。
むしろ、彼が不安に感じているのは、10MTVの中でも話していますが、少子高齢社会において、どのように世界のモデルとなるようなロボットを日本が速やかに開発できるのか。また、スピードアップするAIの進化に、「モノづくり大国」の自信を持つ日本は乗り遅れているのではないか、の2点です。
枯れ尾花に幽霊を見るのは、日本人の悪い癖。正体を知らずに「AIアレルギー」を抱え込んでいたのでは世界との差は開くばかり。開発者たちにとって最も怖いのは、そちらのほうなのかもしれません。
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