社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
イギリスのEU離脱で阿鼻叫喚?ポンドが「殺人通貨」と呼ばれるワケ
6月23日にイギリスで行われたEU離脱の国民投票。残留派が勝つかと目されていた中、離脱派が予想外の勝利を挙げました。前評判を裏切ると市場は乱れるのが常です。この日も世界中が大混乱に陥りました。
24日の日経平均が1286円33銭安と暴落。ITバブル崩壊後の2000年4月17日(1426円04銭安)以来、約16年2カ月ぶりの大幅下落で、歴代の下落幅でも1990年3月19日(1353円20銭安)に次ぐ8位となりました。
ドル円相場は取引量が多いだけに比較的値動きは安定し、日中の値動きが1円以内に収まることが多いのですが、その中での106円台から99円台までの急騰は大混乱を象徴していると言えるでしょう。でも、それ以上に大きく動いた相場があります。まさに今回の「主役」と言ってもいい “ポンド”です。
日本時間24日午前3時ごろは156円台でしたが、EU残留と予想する投資家が増えたためか7時前後には160円を突破。しかし、離脱優勢となった9時過ぎには一転150円を割り、離脱派勝利が確定的となった午後1時半ごろには一気に133円台まで到達しました。実に27円の値動きになります。
かつて2007年7月には1ポンド250円ほどでした、2008年のリーマンショックなどもあり1年半後の2009年1月には118円台まで下落。リーマンショック前の数年間は円安傾向にあり、スワップ(利息)狙いで円売り外貨買いをする個人投資家が中心だったのですが、彼らにとって円高は死活問題。リーマンショック期はポンドに限らずほぼすべての通貨に対して円高基調ではあったのですが、値動きの幅ではポンドがナンバーワン。「殺人通貨」の名前通り、多くの投資家を市場から退場させたと言われています。
国民投票でEU離脱が決まったとは言え、最低でも2年ほどかかると言われています。国民投票のやり直しを求めることも少なくないと報道されています。イギリスの、そしてポンドのこの先をめぐり、世界の市場はまだまだ一波乱、二波乱ありそうな様相です。
24日の日経平均が1286円33銭安と暴落。ITバブル崩壊後の2000年4月17日(1426円04銭安)以来、約16年2カ月ぶりの大幅下落で、歴代の下落幅でも1990年3月19日(1353円20銭安)に次ぐ8位となりました。
ドル円相場よりも大きく動いた相場がある
「有事は円買いが進む」と言われ、為替市場も急激に円高が進みました。日本の貿易に最も大きな影響を及ぼすドル円相場は、開票前は106円前後を推移していたものの、離脱派優勢と様相を呈してくると105円を切るようになり、離脱派勝利が確定的になると一時99円まで急騰。株安と同時進行する形で市場に大きな爪痕を残しました。ドル円相場は取引量が多いだけに比較的値動きは安定し、日中の値動きが1円以内に収まることが多いのですが、その中での106円台から99円台までの急騰は大混乱を象徴していると言えるでしょう。でも、それ以上に大きく動いた相場があります。まさに今回の「主役」と言ってもいい “ポンド”です。
ポンドが「殺人通貨」と呼ばれるワケ
ポンド円相場はもともと値動きの激しい通貨ペアで、ドル円が1円以内の動きに収まっているときでも2円から3円ほど動くこともしばしば。ドル円が5円から6円動いたら大事件ですが、ポンド円なら「まあ時々あるよね」というレベル。FX(外国為替証拠金取引)の世界ではその値動きの激しさから、軽々しく扱ったら痛い目に遭うという意味で「殺人通貨」などと呼ぶこともあります。日本時間24日午前3時ごろは156円台でしたが、EU残留と予想する投資家が増えたためか7時前後には160円を突破。しかし、離脱優勢となった9時過ぎには一転150円を割り、離脱派勝利が確定的となった午後1時半ごろには一気に133円台まで到達しました。実に27円の値動きになります。
急激な値動きで投資家の「防衛線」も突破
FXは「ポンドが○○円に到達したら決済する」と自分で損失が拡大しないように設定をしたり、証拠金(業者に預けたお金)以上の損失を出さないため一定割合の損失が出たら強制的に決済させられるシステムがあります。しかし、値動きが急激なときはそうした「防衛線」を突破することもあるため、今回は証拠金以上の損失を出した人も少なくないでしょう。「YJFX!」の口座を持っているトレーダーのリアルなトレード結果を公開している「YJFX!ファイナンススタジアム」では、数千万単位の損失を出した人がごろごろいて、阿鼻叫喚と言っても差し支えないような状況になっていました。かつて2007年7月には1ポンド250円ほどでした、2008年のリーマンショックなどもあり1年半後の2009年1月には118円台まで下落。リーマンショック前の数年間は円安傾向にあり、スワップ(利息)狙いで円売り外貨買いをする個人投資家が中心だったのですが、彼らにとって円高は死活問題。リーマンショック期はポンドに限らずほぼすべての通貨に対して円高基調ではあったのですが、値動きの幅ではポンドがナンバーワン。「殺人通貨」の名前通り、多くの投資家を市場から退場させたと言われています。
国民投票でEU離脱が決まったとは言え、最低でも2年ほどかかると言われています。国民投票のやり直しを求めることも少なくないと報道されています。イギリスの、そしてポンドのこの先をめぐり、世界の市場はまだまだ一波乱、二波乱ありそうな様相です。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
昨今、生成AIに代表されるようにAIの進化が目覚ましく、「AIに代わられる仕事、代わられない仕事」といったテーマが巷で非常に話題となっている。では、AIに代わられない事とは何であろうか。そこで、『江藤淳と加藤典洋』(文...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/06/25
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
私たちに欠かせない「睡眠」。そのメカニズムや役割についていまだ謎も多いが、それでも近年は解明が進み、私たちの健康に大きく関与することが明らかになっている。まずは最新情報を盛り込んだ睡眠が果たす5つの役割を紹介し、...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/06/05
リスクマネーの不足とは?日本の金融構造の課題と対策
日本の財政と金融問題の現状(3)リスクマネー不足と金融構造の課題
日本では、ベンチャー企業などへのリスクを伴う投資、いわゆる「リスクマネー」の供給が不足している。日本の金融市場においてその状況を打開するためには、マクロな市場整備と機関投資家の育成が必要だ。欧米に事例を参照しな...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/06/24
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
「世界一の投資家」として有名で、バークシャー・ハサウェイの経営者でもあり、世界有数の資産家、さらに慈善家でもあるウォーレン・バフェット。2021年8月で91歳を迎えたが、今でも現役の投資家として活躍し、彼の一挙手一投足...
収録日:2021/09/15
追加日:2021/11/03
ガザの悲劇…ハマスがいなくなることで起こる逆説
トランプ2.0と中東(4)ガザの悲劇と『マカーマート』
ネタニヤフ首相による戦闘再開はイスラエル社会の分断を強化した。首相は自分の政治生命を延命するために住民たちの命を捨て駒として扱ったわけだが、ガザ住民は同様の仕打ちをハマスからも受けている。親子が生死を分けるさま...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/06/22