社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「無駄な会議」は何故なくならないのか?
日本人は長い時間働くのに、労働生産性は低いと言われます。つまり、長い時間職場に拘束される割に会社は儲からない、よって給料もそんなに増えないということです。
日本の職場の労働生産性を下げる要因はいくつかありますが、その中でも大きなものは「会議」です。無駄な会議が多すぎることが日本人の労働時間を長引かせ、効率を下げているのです。
アメリカ人が論理的で、日本人が感情的だからではありません。アメリカ人は仕事の場では、目的を達成するために最も優れた道を選ぶことを重視するのに対し、日本人は人間関係が壊れないことを重視するからです。
アメリカの会議では活発に議論が交わされます。どちらの意見が優れているか、論理とデータを駆使して、ディベートが繰り広げられるのです。
一方、日本の会議は、議論を戦わせ、どちらか一方を負かすということを非常に嫌います。あるいは、組織の権力者の意見を優先させ、全体でなんとなくその意見に従わなくてはいけない空気をつくり、その意見がたとえ間違っている可能性が高いとしても、その場では正しいことにしてしまうのです。
そんな会議だったらする必要はないと思いますが、みなが集まって、一応賛成したという形をとることが日本式の会議では重要なのです。議論を交わしてより良い結論を導こうというのではなく、みなが合意した結論だから、協力して進みましょうということです。
これは組織の外でも通用するような普遍的な正しさが重要なのではなく、組織の内側の調和が求められるがゆえのことです。
それは、変化の少ない安定した社会だったからだと言えます。そのような世の中では、従来型の組織の維持の方が、新しいチャレンジよりも重視されるのは当然のことで、調和を重視する会議も、それはそれで合理的だったと言えます。
しかし、グローバル化が進む現代社会では、市場がひとつになり、非常に多くのプレイヤーで奪い合うという経済になってきています。つまり、勝者が全てを勝ち取り、敗者は全てを失うという経済です。
激しい競争とイノベーションの中、従来型の商品やサービスは、またたく間に古くなり、新しい魅力や機能が次々に求められるということになってきています。組織もそれに合わせ、次の手を矢継ぎ早に打つことが求められるのですが、従来型の日本の会議では、そのような変化には対応できないのです。
正しい結論よりも調和を重視していれば、組織の中は安定していますが、組織そのものが社会の中で生き残れなくなってしまいます。そうなっては元も子もありません。
そうは言っても簡単に転職できない場合や、会社に愛着がある場合もあるでしょう。そのときは、正しい結論を導く会議に変えるために、次の方法が有効です。
・会議のゴールをはっきりと定義し、スタート時にみなに認識させる
・誰がどの発言をしたか、はっきりと記録をとる
・何も発言をしない人、無難なことしか言わない人はそもそも出席させない
・考え抜いた上での結論を実行した上での失敗は、マイナスではなく、うまく行かない方法をひとつ見つけたという形でプラスにとらえる
これらを徹底させ、うまく行くようでしたら、その会社には未来があるでしょう。逆に、これらの方法が浸透しない、あるいはそもそも導入にも至らない企業は、将来的に生き残る可能性が低いといえるでしょう。もしも、そうした会社にいる場合、割り切って、自分自身の生き残りのための準備を始めたほうがいいのではないでしょうか。
日本の職場の労働生産性を下げる要因はいくつかありますが、その中でも大きなものは「会議」です。無駄な会議が多すぎることが日本人の労働時間を長引かせ、効率を下げているのです。
論理よりも感情が優先される会議
一般論ですが、アメリカの会議では論理が、日本の会議では感情が優先されます。なぜでしょうか?アメリカ人が論理的で、日本人が感情的だからではありません。アメリカ人は仕事の場では、目的を達成するために最も優れた道を選ぶことを重視するのに対し、日本人は人間関係が壊れないことを重視するからです。
アメリカの会議では活発に議論が交わされます。どちらの意見が優れているか、論理とデータを駆使して、ディベートが繰り広げられるのです。
一方、日本の会議は、議論を戦わせ、どちらか一方を負かすということを非常に嫌います。あるいは、組織の権力者の意見を優先させ、全体でなんとなくその意見に従わなくてはいけない空気をつくり、その意見がたとえ間違っている可能性が高いとしても、その場では正しいことにしてしまうのです。
そんな会議だったらする必要はないと思いますが、みなが集まって、一応賛成したという形をとることが日本式の会議では重要なのです。議論を交わしてより良い結論を導こうというのではなく、みなが合意した結論だから、協力して進みましょうということです。
これは組織の外でも通用するような普遍的な正しさが重要なのではなく、組織の内側の調和が求められるがゆえのことです。
グローバル化以降はこのままではまずい
実はこの「和をもって尊しとなす」精神は、かつての日本社会ではとても有効に機能していました。江戸時代の、村で協力し合いながら農業を行う社会ではもちろんのこと、戦後の高度経済成長の中でも、品質の優れた製品を大量生産するにはこの組織作りが最適だったのです。それは、変化の少ない安定した社会だったからだと言えます。そのような世の中では、従来型の組織の維持の方が、新しいチャレンジよりも重視されるのは当然のことで、調和を重視する会議も、それはそれで合理的だったと言えます。
しかし、グローバル化が進む現代社会では、市場がひとつになり、非常に多くのプレイヤーで奪い合うという経済になってきています。つまり、勝者が全てを勝ち取り、敗者は全てを失うという経済です。
激しい競争とイノベーションの中、従来型の商品やサービスは、またたく間に古くなり、新しい魅力や機能が次々に求められるということになってきています。組織もそれに合わせ、次の手を矢継ぎ早に打つことが求められるのですが、従来型の日本の会議では、そのような変化には対応できないのです。
正しい結論よりも調和を重視していれば、組織の中は安定していますが、組織そのものが社会の中で生き残れなくなってしまいます。そうなっては元も子もありません。
一組織人としてはどうすれば良いのか
日本企業でも現代社会に適応している企業では、すでに日本型の無駄な会議を止めて、より正しい結論を導くための会議体制に変えています。もし、あなたのいる会社が現在、調和重視型の会議を行っており今後もそれを続けるようなら、転職という可能性を視野に入れたほうがいいかもしれません。そうは言っても簡単に転職できない場合や、会社に愛着がある場合もあるでしょう。そのときは、正しい結論を導く会議に変えるために、次の方法が有効です。
・会議のゴールをはっきりと定義し、スタート時にみなに認識させる
・誰がどの発言をしたか、はっきりと記録をとる
・何も発言をしない人、無難なことしか言わない人はそもそも出席させない
・考え抜いた上での結論を実行した上での失敗は、マイナスではなく、うまく行かない方法をひとつ見つけたという形でプラスにとらえる
これらを徹底させ、うまく行くようでしたら、その会社には未来があるでしょう。逆に、これらの方法が浸透しない、あるいはそもそも導入にも至らない企業は、将来的に生き残る可能性が低いといえるでしょう。もしも、そうした会社にいる場合、割り切って、自分自身の生き残りのための準備を始めたほうがいいのではないでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
実際に史料をどうやって読み解いていけばいいのか。今回から具体的な史料の読み解き方をケース・スタディしていく。最初は『太閤記』に関する参考資料を用いて、太閤・豊臣秀吉と関白・秀次の関係を考える。そもそも『太閤記』...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/22
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
労働経済を学んでいた島田氏は、ウィスコンシン大学留学中、労働者の教化運動に参加している。アメリカ産業史を学習する中、労働運動の実態を触れ、ウォルター・ルーサーとヘンリー・フォードの熾烈な闘いを知ったからだ。労働...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/18


