社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.02.03

エアコンつけっ放しの方が電気代が安いって本当?

 真冬や真夏、気になるのはエアコンの電気代。省エネのためにこまめにオンオフしましょう。というのはかつて当然のごとく信じられていた説ですが、今ではオンオフをしすぎるくらいならつけっぱなしの方が電気代がかからない説も有力になっています。まったく正反対の主張ですが、どちらが正しいのでしょうか?

 エアコンメーカー大手のダイキンが両説の決着をつけるべく検証結果を発表しました。その結果とは――。

つけっぱなし派がやや優勢ですが…

 ダイキンが生活者アンケートを行ったところ、約7割の人が「つけっぱなしの方が電気代が安い」と考えているそうです。しかし、実際に外出時にエアコンのつけっぱなしを実践している人は約5割にとどまるというデータもあり、合わせて考えてみるとつけっぱなし派が五分五分からやや優勢程度でしょうか。

 実証実験が行われたのは最高気温36.3度の猛暑日。エアコンの設定は冷房26度で、午前9時から午後11時までつけっぱなしにしたときと、30分間隔で運転オンオフを繰り返したときの消費電力量を比較しました。すると午前9時から午後6時まで、いわゆる日中と言われる時間帯はつけっぱなしの方が消費電力量が少ないという結果が得られました。

 逆に気温が下がる夜間(午後6時から11時)は、つけっぱなしよりこまめにオンオフする方が省エネに。というのも、エアコンは運転を開始した直後の室内温度と設定温度の差が大きいときに電力を多く消費するもので、日中は電源オフにするたびに室内温度が上がり、再度電源オンにした際の消費電力が増えます。一方で夜間はオフ時の室内温度の上がり方がゆるやかになるため、つけっぱなしよりもこまめにオンオフした方が消費電力が少ない、という構図になりました。

「35分」超える外出なら電源オフ!

 ダイキンは「消費電力は、外気温の変化や陽射しなど天候の影響を大きく受けるため、条件が異なるとこの限りではありません。(中略)急激な温度上昇があった場合などには、設定温度を維持するために、消費電力が上昇することもあります。この様な場合は日中であってもエアコンを『つけっぱなし』にした方が消費電力量が大きくなることもあります」と、条件によって結果が変わりうると前置きしつつ、日中は35分まで、夜間は18分までの外出時間ならつけっぱなしの方が電気代が安く上がる、としています。

 つけっぱなし、こまめにオンオフ、どちらかが一方的に正しいというわけでもないという結果は、意外だったでしょうか。どちらの“派閥”にとってもきっと有益な情報になったことと思います。ケースに合わせてエアコンをお得に使って、少しでも電気代を抑えましょう。

<参考サイト>
・「つけっぱなしがお得”という説は本当なのかを検証せよ!」│代金 https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission05 ・エアコン暖房を「つけっぱなし」にするのと「こまめに入り切り」するのでは、どちらの電気代が安くなるの?│ダイキン
https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission05/page02
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴

国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
小原雅博
東京大学名誉教授
2

大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた

大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた

内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題

ヒラリー・クリントン氏の全盛期は、当時夫のクリントン氏が大統領だった2000年代だったという島田氏。当時、ダボス会議での彼女の発言が全米の喝采を浴びたそうだが、およそ10年後、大統領選挙でトランプ氏と対峙した際、彼女...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/24
3

熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン

熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン

熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法

「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
4

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方

人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?

不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実

改革開放当時の中国には技術も資本もなく、工場を建てる土地があるだけだった。経済成長とともに市民が不動産を複数所有する時代となり、地価は高騰し続けた。だが、習近平政権による総量規制は不動産価格を低下させ、消費低迷...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/16
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使