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トモダチ作戦後…小泉元首相が思わず涙した理由とは?
元内閣総理大臣の小泉純一郎氏は、東日本大震災以降、脱原発を実現するべく活動を行っています。その一環として小泉純一郎氏が取り組んでいるものの中に、福島第一原発事故直後、米軍が展開した「トモダチ作戦」に参加した兵士たちへの支援活動(「トモダチ支援基金」)があります。
小泉氏はなぜ、そのような活動を行っているのでしょうか。東京大学第28代総長・小宮山宏氏と慶應義塾大学名誉教授・島田晴雄氏を交え、小泉純一郎氏がその活動の経緯と今後のエネルギー政策の行末について、10MTVの中で議論を行いました。
総理を辞任後、小泉純一郎氏は、東日本大震災をきっかけに自ら原発政策について知見を蓄え、脱原発派へと転身していきます。そうした中、小泉氏は「トモダチ作戦」に参加した兵士たちの健康被害について知ることになるのです。
この話を知った小泉純一郎氏は、兵士たちの実態を探るべく渡米し、彼らから話を聞いたのですが、その内容は想像を超えるものだったようです。ある兵士は、トモダチ作戦の任務を終えてから1~2年後、鼻血や下血が止まらなくなったと話し、また当時妊娠中だった女性兵士から生まれた子どもは障害児で、その後亡くなってしまったそうです。小泉氏はそうした話を10人ほどから聞いたのですが、実際に健康被害を訴える人はその時点で400人ほどに上っているとのことでした。
その言葉を聞いた小泉氏は、「思わずぐっときた」と話してくれました。よくは見えなかったのですが、今回の鼎談の中でそのことを思い出しながら語っている時、小泉氏の目から涙のようなものがひとすじこぼれていたかもしれません。それほど、米軍兵士たちの誠実さと廉直さは、小泉氏の心を打ち、強い決意となって、つながっていきました。
「私にはやらなければならないことがある。ただ感謝の言葉を述べて終わりにするのではなく、少しでもそれを形に示すべきではないか」。こうして、「トモダチ支援基金」が設立されました。
しかし小泉氏は、自らの信念を曲げませんでした。すると、そうした志に対し、著名な建築家の安藤忠雄氏をはじめ、多くの心強い協力者が現れたのです。彼らのサポートもあり、「トモダチ支援基金」への募金は順調に集まっているといいます。そして、「トモダチ支援基金」の活動は今年3月をめどに続けられるそうです。
小泉氏はなぜ、そのような活動を行っているのでしょうか。東京大学第28代総長・小宮山宏氏と慶應義塾大学名誉教授・島田晴雄氏を交え、小泉純一郎氏がその活動の経緯と今後のエネルギー政策の行末について、10MTVの中で議論を行いました。
賛成派から脱原発派へと転身
かつて現役の総理だった頃、小泉純一郎氏は原発賛成派でした。しかし三人の鼎談から浮かび上がってきたのは、「資源がない」「温暖化対策に必要だ」といった周囲の官僚や専門家らによって、総理がいわば「裸の王様」にされている現実でした。総理を辞任後、小泉純一郎氏は、東日本大震災をきっかけに自ら原発政策について知見を蓄え、脱原発派へと転身していきます。そうした中、小泉氏は「トモダチ作戦」に参加した兵士たちの健康被害について知ることになるのです。
トモダチ作戦と兵士たちの壮絶な健康被害
トモダチ作戦とは、東日本大震災当時、日本政府の要請に応じて米軍が展開した、救援および復興支援活動のことです。この活動に参加した兵士たちの一部が今、深刻な健康被害に悩まされているというのです。それは、彼らが福島第一原発事故による汚染状況もよく分からない中で活動したため、放射能に被ばくしているのではないかというものでした。この話を知った小泉純一郎氏は、兵士たちの実態を探るべく渡米し、彼らから話を聞いたのですが、その内容は想像を超えるものだったようです。ある兵士は、トモダチ作戦の任務を終えてから1~2年後、鼻血や下血が止まらなくなったと話し、また当時妊娠中だった女性兵士から生まれた子どもは障害児で、その後亡くなってしまったそうです。小泉氏はそうした話を10人ほどから聞いたのですが、実際に健康被害を訴える人はその時点で400人ほどに上っているとのことでした。
「思わずぐっときた」…兵士の言葉を聞いた元総理の目から涙!?
そんな厳しい健康状態の中に置かれている彼らですが、忠実に任務を遂行した結果だとして自分たちの状況を受け入れ、しかも日本を恨むどころか「日本が好きだ」とさえ言ってくれる兵士もいたのです。その言葉を聞いた小泉氏は、「思わずぐっときた」と話してくれました。よくは見えなかったのですが、今回の鼎談の中でそのことを思い出しながら語っている時、小泉氏の目から涙のようなものがひとすじこぼれていたかもしれません。それほど、米軍兵士たちの誠実さと廉直さは、小泉氏の心を打ち、強い決意となって、つながっていきました。
「私にはやらなければならないことがある。ただ感謝の言葉を述べて終わりにするのではなく、少しでもそれを形に示すべきではないか」。こうして、「トモダチ支援基金」が設立されました。
たとえ逆境であっても
ところが、「トモダチ作戦」の健康被害は、日米双方のマスコミが積極的に取り上げないこともあり、世間にはほとんど知られていませんでした。また、もし「トモダチ作戦」による健康被害が放射能被ばくを原因とするのだとすれば、作戦を指揮した軍上層部の責任問題にも発展しかねません。「本当に放射能被ばくが原因なのか」と疑問視する声もあったと、小泉純一郎氏は言います。しかし小泉氏は、自らの信念を曲げませんでした。すると、そうした志に対し、著名な建築家の安藤忠雄氏をはじめ、多くの心強い協力者が現れたのです。彼らのサポートもあり、「トモダチ支援基金」への募金は順調に集まっているといいます。そして、「トモダチ支援基金」の活動は今年3月をめどに続けられるそうです。
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