●ヨーロッパ発の生ジュース療法とは
それでは、図表7を見てください。生ジュース療法についてです。私は1979年に、スイスのベンナー病院というところへ少し勉強に行っていました。この病院は1897年に設立されていて、全世界から集まってくる難病・奇病の患者を食事療法だけで治す病院です。珍しい病院でしょう。
この病院は、ヨーロッパのど真ん中にありながら、肉、卵、牛乳、バターを一切出しません。動物性の食品はヨーグルトだけです。あとは黒パン、ジャガイモ、ナッツ、生野菜、ハチミツ、岩塩です。これを調理して、食べ物を出す。そして朝から必ず飲ませるのが、ニンジン2本とリンゴ1個のジュースです。当時の院長に、なぜそんなにニンジンジュースが効くのかと聞いたら、その人は、人間の体に必要なビタミンとミネラルを全部含んでいるからだと言いました。そういうことで、家に帰ったら、ぜひニンジン2本、リンゴ1個でジュースを作ってください。レモンを入れても結構です。おいしいですし、それで十分ですよ。
さらに図表7の下、胃潰瘍、肝臓病、がんがある人は、キャベツも入れてください。キャベツもビタミンが入って潰瘍にいいです。もう100年ぐらい前から、自然療法の分野ではキャベツががんに効果的だということが経験的に分かっていました。硫黄の成分でスルホラファンという物質がありますが、これががん細胞の増殖を抑えるということが最近分かりました。ですから、胃潰瘍、肝臓病、がんのある人は、キャベツを入れてください。ただキャベツを入れた汁を飲んだ場合は、おならが「硫黄な」匂いになります。硫黄が入っていますからね。だから、人の前でおならをしないでください。おならをすると、「さよおなら」と帰られますよ。自分が1人で風呂に入っているときに1発出すと、草津の温泉に行ったような感じになります。
きゅうりには、イソクエルシトリンという利尿作用のある成分がありますから、高血圧、心臓病、むくみにとても効きます。パイナップルは、ブロメリンというタンパク分解酵素がありますから、肉をよく食べる人向けです。特に夏はリンゴが無くなりますから、ニンジンとパイナップルでジュースを作るといいです。パイン(pineapple)は、アップルという意味ですから、リンゴと同じような味です。イチゴはビタミンCと鉄がありますから、貧血などに効果的です。セロリも図表の通りですが、その他にピラジンという成分が入っています。これは血栓を溶かしますから、脳梗塞、心筋梗塞が心配な人は、セロリを入れてください。あとはここに書いていませんが、玉ねぎです。玉ねぎにはグルコキニンという血糖を下げる物質がありますから、糖尿病の人はタマネギを入れてください。ただ、玉ねぎを100グラムも入れるととても飲めませんから、20グラムぐらいでちょうどいいです。
●アメリカの大規模調査から分かったこと
あと、表に何かいろいろと書いてありますね。1975年に、アメリカの上院に栄養改善に関する「栄養問題特別委員会」という委員会が設けられました。あまりにもアメリカ人で、がん、脳卒中、心筋梗塞、肥満になる人が多いので、アメリカ人の医学者と栄養学者に、全世界の栄養状態と病気の状態を調べさせたのです。自分たちが食べているものは問題ないだろうと思っていたら、2年後に5000ページに及ぶ勧告文が出されます。その一番最初が図表7です。これを見て、ジョージ・マクガバン上院議員は「われわれは造病食、殺人食を食べていた」と泣いたといわれます。
この一番上を見てください。“increase carbohydrate intake to account for 55 to 60% of energy”と書いてあるでしょう。1日のエネルギー摂取量の55~60パーセントを炭水化物にしなさいという意味です。つまり、そういう人たちが一番元気でしたということです。
主にドイツやオランダなどの国で栄養学が作られ、何が何グラムと言っているうちに、訳が分からなくなって病気になっていたのです。そこでアメリカが、国を挙げて調べさせたら、結局こうなったわけです。もう一度見てください。結論的に、歯の形と一致しているではありませんか。だから、ここに戻ってきたわけです。
●調査で分かった「食べるべき物」「減らすべき物」
具体的には表の6番の下、“achieved by increasing the consumption of”以降の部分です。アメリカ人がしっかり食べないといけない食べ物は、まずフルーツです。それから、begetables(野菜)です。whole grainsは、未精白の穀物のことです。玄米や玄麦、トウモロコシ、そばです。poultry(鶏肉)、fish(魚)、ス...