●生姜は英語で「元気を与える」という意味を持つ
石原 鉄が不足すると貧血になります。銅が不足すると成長不良になります。亜鉛が不足すると味覚や嗅覚に障害が起きます。その他に、亜鉛は体のいろいろな酵素の原料になっているといいます。亜鉛が多く入っている食べ物は何かというと、牡蠣(かき)です。山の柿、海の牡蠣といいますね。海の牡蠣には亜鉛が入っています。
陸上の植物で亜鉛が多く入っているのは、生姜です。生姜は、英語でジンジャーといいます。ジンジャーを英語の辞書で引いてください。ショウガの他に、意気、健康、元気、気骨、ピリッとしたところ、生姜で味付けする、元気づける、活気づける、鼓舞するといった意味が書いてあります。
イギリス人も生姜の効能を知っていたのです。14世紀にペストがはやり、ロンドン市民の3分の1が死んだそうです。3分の1はすごい数ですね。その時に生姜を食べることができた貴族階級の人は1人も死にませんでした。そういうことが分かって、16世紀になって、ヘンリー8世が、イギリス人はもっと生姜を食べなさいということで作らせたのが、今でもあるジンジャーブレッドです。
●生姜の辛味成分には多くの効能がある
石原 漢方薬は、生姜がいっぱい入っています。私も、学生時代からこういう話をしているのですよ。約50年前です。当時、こういう話をするのは早すぎますから、同級生の皆に変人扱いされるわけですよ。また言い始めた、という感じでした。その同級生も医者なのですが、多くががんになったり、死んだりするのです。そうすると電話がかかってくるのですよ。どういうものを食べたらいいかとか、どうしたらいいかとかを聞いてきます。
それで33年前に開業した時、あまり化学薬品を出したくなかったものですから、漢方を自分で勉強したのですよ。そうしたら、風邪薬の葛根湯、これには生姜が入っています。胃の薬の安中散、肝臓の薬の小柴胡湯、腸の薬の桂枝加芍薬湯、全部生姜が入っているのですよね。生姜というのは不思議だなと思って、生姜の研究論文を読みました。日本にはあまりなかったのですが、アメリカとデンマークにはたくさんありました。そうしたら、生姜の効能がたくさん出てきました。
面倒くさいからまとめますと、生姜の中に辛味の成分があるでしょう。ジンゲロン、ジンゲロール、ショウガオール、これらが主...