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『「中だるみ社員」の罠』著者が語る、伸び悩みへの処方箋
いま、会社でキャリアの「伸び悩み」にぶつかる働く人が増えているそうです。『「中だるみ社員」の罠』(山本寛著、日本経済新聞出版社)によると、たとえば、「2年前と同じミスをしてしまう」「アラフォーだが同じ部署でずっと働いている」「仕事にワクワクしない、でも転職も決断できない」という人は、「キャリア・プラトー(キャリアの停滞)」の危険性があるそうです。
著者の山本寛氏は青山学院大学経営学部教授で、『自分のキャリアを磨く方法-あなたの評価が低い理由』(創成社新書)、『働く人のキャリアの停滞 ‐伸び悩みから飛躍へのステップ』(編著、創成社)など、キャリアをテーマとした多数の著書があります。
このコラムでは、山本氏の著書『「中だるみ社員」の罠』に沿って、「キャリア・プラトー」には何か、どう対処すべきなのか、ご案内します。
「キャリア・プラトー」には、「仕事の停滞」と「昇進の停滞」の大きくは2種類あります。さらに、それに関連するかたちで「配置転換の停滞」があり、「人生の停滞」と合わせて全部で4種類に分類されます。
仕事の停滞とは、「仕事をしていて新たな挑戦や学ぶべきことが欠けていたり、ワクワク感や喜びを見出せない状態」です。昇進の停滞は、「今の会社で将来昇進する可能性が非常に低下すること」を指します。配置転換の停滞は、「今の部署(部や課)に配属されてからの年数が他の社員に比べとくに長くなったり、いつまでも会社の重要な部署に配属されないこと」。そして4つのうちで、最も深刻だとされる人生の停滞は、「これから人生で進むべき方向や生きていく意味自体がわからなくなったり、人生全体に自信を失ったような状態」をいいます。
一般的に新しい仕事を担当する場合、1年目は「慣れるための期間」、2年目は1年目の失敗を補ったり、新しい工夫を試したりできる、本当の意味で「基礎づくりのための期間」、3年目はオリジナルなやり方を取り入れた「本格的な応用が可能になる期間」にあたります。
したがって、もし「2年が過ぎた時点でも、同じミスを何度も繰り返すなど、成長を感じないとすれば、仕事に適応していないという不適応感や停滞につながる可能性が高い」のです。
細かいところでは、「真面目な人」と「完璧主義者」は停滞しやすいということです。ここでいう「真面目な人」とは、学校の勉強はできるのに仕事ができない人、要するに応用力が弱い人のことを指しています。完璧主義者は自分にもまわりにも高い水準を求めるため、頭打ちになりやすく、コミュニケーションにも失敗しがちな人のことです。
第一に「キャリアレジリエンスを鍛える」。「キャリアレジリエンス」とは、キャリアに関する挫折や停滞を経験した後に立ち直るための能力のことです。
第二に「キャリアを戦略的に考えてみる」。山本氏は戦略的に考えてみる方法として、さらに細かく6つの方法を提案しています。こちらは後述します。
第三に「偶然の出来事をうまく利用する」。これは言い換えれば、「努力を続けていれば、いつかはチャンスが訪れるので、そのチャンスをできるだけ逃さない」ようにするということでもあります。
第四に「人との関係を見直す」。「ネットワークづくり」まではいかなくとも、身のまわりの人との関係を見直すことがキャリア形成につながることは少なくないということです。
第五に「あえて考えず、目の前の仕事に没頭する」。これはある意味でキャリアについて「戦略的に考えないこと」を意味します。「仕事量が多すぎて手に負えない時は、多すぎる仕事量の全体を考えるより、まずは視野をできる範囲に狭めて少しずつこなしていくことが大事」だと、山本氏は伝えています。
(2)と(6)は、フレーズだけでは分かりにくいかもしれないので、少し補足します。「(2)キャリア上のチャンスの創造」は、読書や勉強会、研修や大学院で自分に不足するスキルを磨いたり、専門知識を得たり、経験を積むことです。「(6)(上司との)意見の一致」は、簡単にいうと、上司に対して好意的な態度を示し、良い関係を構築することです。それによって上司の評価が高まれば、昇進の可能性が高まります。
また、昇進後に本来求めていた働き方を知り、あえて停滞することによってその職を得る場合もありえます。つまり、キャリアの昇進だけが正解ではないのです。
山本氏も「本来、その人なりの納得感があれば、どんな回り道や失敗、そして停滞も許されると思います。それが読者の皆さん一人ひとり皆違うキャリアだからです。自分の心の声によく耳を傾け、これからのあなただけのキャリアを歩んでいって欲しいと思います」と述べています。
「自分の心の声によく耳を傾けること」はとても大事な指摘です。キャリアの昇進と停滞の二者択一に振り回されることなく、まずは自分なりのキャリアとは何かを考えてみるということですね。
著者の山本寛氏は青山学院大学経営学部教授で、『自分のキャリアを磨く方法-あなたの評価が低い理由』(創成社新書)、『働く人のキャリアの停滞 ‐伸び悩みから飛躍へのステップ』(編著、創成社)など、キャリアをテーマとした多数の著書があります。
このコラムでは、山本氏の著書『「中だるみ社員」の罠』に沿って、「キャリア・プラトー」には何か、どう対処すべきなのか、ご案内します。
「キャリア・プラトー」とは何か
「プラトー」に似ている言葉に「スランプ」があります。その違いは、スランプが「レベルが下降する」という意味であるのに対して、プラトーは「これ以上、上がらず横ばいになっている」状態を指します。プラトーは、まさしく「停滞」を意味しているのです。「キャリア・プラトー」には、「仕事の停滞」と「昇進の停滞」の大きくは2種類あります。さらに、それに関連するかたちで「配置転換の停滞」があり、「人生の停滞」と合わせて全部で4種類に分類されます。
仕事の停滞とは、「仕事をしていて新たな挑戦や学ぶべきことが欠けていたり、ワクワク感や喜びを見出せない状態」です。昇進の停滞は、「今の会社で将来昇進する可能性が非常に低下すること」を指します。配置転換の停滞は、「今の部署(部や課)に配属されてからの年数が他の社員に比べとくに長くなったり、いつまでも会社の重要な部署に配属されないこと」。そして4つのうちで、最も深刻だとされる人生の停滞は、「これから人生で進むべき方向や生きていく意味自体がわからなくなったり、人生全体に自信を失ったような状態」をいいます。
「2年前と同じミスをしてしまう」のは危険なサイン
さて、「キャリア・プラトー」には以上の4つがあるのですが、冒頭では「2年前と同じミスをしてしまう」が停滞の危険サインであることを述べました。それはなぜなのでしょうか。一般的に新しい仕事を担当する場合、1年目は「慣れるための期間」、2年目は1年目の失敗を補ったり、新しい工夫を試したりできる、本当の意味で「基礎づくりのための期間」、3年目はオリジナルなやり方を取り入れた「本格的な応用が可能になる期間」にあたります。
したがって、もし「2年が過ぎた時点でも、同じミスを何度も繰り返すなど、成長を感じないとすれば、仕事に適応していないという不適応感や停滞につながる可能性が高い」のです。
「真面目」と「完璧主義」は停滞しやすい
キャリアの停滞に影響する要因はさまざまあり、なかなか一概には語れません。とくに仕事の停滞は、特定の要因が明らかにされていません。一方、昇進の停滞は「年齢が高く、勤続年数が長いことで促進され、女性ほどみられる」とあります。細かいところでは、「真面目な人」と「完璧主義者」は停滞しやすいということです。ここでいう「真面目な人」とは、学校の勉強はできるのに仕事ができない人、要するに応用力が弱い人のことを指しています。完璧主義者は自分にもまわりにも高い水準を求めるため、頭打ちになりやすく、コミュニケーションにも失敗しがちな人のことです。
停滞解消のためにできる5つのこと
山本氏は、停滞解消のためにできることとして、同書で大きく5つのポイントを挙げています。第一に「キャリアレジリエンスを鍛える」。「キャリアレジリエンス」とは、キャリアに関する挫折や停滞を経験した後に立ち直るための能力のことです。
第二に「キャリアを戦略的に考えてみる」。山本氏は戦略的に考えてみる方法として、さらに細かく6つの方法を提案しています。こちらは後述します。
第三に「偶然の出来事をうまく利用する」。これは言い換えれば、「努力を続けていれば、いつかはチャンスが訪れるので、そのチャンスをできるだけ逃さない」ようにするということでもあります。
第四に「人との関係を見直す」。「ネットワークづくり」まではいかなくとも、身のまわりの人との関係を見直すことがキャリア形成につながることは少なくないということです。
第五に「あえて考えず、目の前の仕事に没頭する」。これはある意味でキャリアについて「戦略的に考えないこと」を意味します。「仕事量が多すぎて手に負えない時は、多すぎる仕事量の全体を考えるより、まずは視野をできる範囲に狭めて少しずつこなしていくことが大事」だと、山本氏は伝えています。
キャリアを戦略的に考えてみる
第二の「キャリアを戦略的に考えてみる」ですが、山本氏はそのための方法として、次の6つの項目を挙げています。「(1)停滞状態の把握」「(2)キャリア上のチャンスの創造」「(3)自己推薦・アピール」「(4)挑戦的行動」「(5)ネットワークづくり」「(6)(上司との)意見の一致」の6つです。(2)と(6)は、フレーズだけでは分かりにくいかもしれないので、少し補足します。「(2)キャリア上のチャンスの創造」は、読書や勉強会、研修や大学院で自分に不足するスキルを磨いたり、専門知識を得たり、経験を積むことです。「(6)(上司との)意見の一致」は、簡単にいうと、上司に対して好意的な態度を示し、良い関係を構築することです。それによって上司の評価が高まれば、昇進の可能性が高まります。
キャリアの昇進だけが正解ではない
例外的ではありますが、あえて停滞を選択することでプラスに働くケースもあります。たとえば、キャリア目標の呪縛から離れることでプライベートの充実を得ることが可能になります。家族と過ごす時間が増え、家庭の状態が良好になる場合もあるでしょう。また、昇進後に本来求めていた働き方を知り、あえて停滞することによってその職を得る場合もありえます。つまり、キャリアの昇進だけが正解ではないのです。
山本氏も「本来、その人なりの納得感があれば、どんな回り道や失敗、そして停滞も許されると思います。それが読者の皆さん一人ひとり皆違うキャリアだからです。自分の心の声によく耳を傾け、これからのあなただけのキャリアを歩んでいって欲しいと思います」と述べています。
「自分の心の声によく耳を傾けること」はとても大事な指摘です。キャリアの昇進と停滞の二者択一に振り回されることなく、まずは自分なりのキャリアとは何かを考えてみるということですね。
<参考文献>
『「中だるみ社員」の罠』(山本寛著、日本経済新聞出版社)
http://www.nikkeibook.com/book_detail/26332/
<関連サイト>
山本寛研究室|青山学院大学経営学部 山本寛ゼミ
http://yamamoto-lab.jp/
『「中だるみ社員」の罠』(山本寛著、日本経済新聞出版社)
http://www.nikkeibook.com/book_detail/26332/
<関連サイト>
山本寛研究室|青山学院大学経営学部 山本寛ゼミ
http://yamamoto-lab.jp/
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