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DATE/ 2018.05.22

新入社員はもらえる?20代のボーナス事情

 新入社員のみなさんも、ようやく落ち着いてくる6月前後、多くの職場ではそろそろ夏のボーナスの話題が出てきます。「新入社員はもらえるの?」「2年目の今年は期待できるの?」と気になる20代のボーナス事情を調べてみました。

夏のボーナス、新入社員は「寸志」程度

 夏のボーナスが支給されるのは、国家公務員が6月30日、一般企業では7月初旬が中心。これは、前年の10月から今年の3月までの勤務に対する賞与(一時金)です。4月に入社した新入社員は、試用期間3か月を経て本採用になるのが7月。ですから、原則をいうと「まだもらう資格はない」のですが、公務員をはじめ多くの会社では新入社員の段階から夏のボーナスが、名目上は支給されています。

 名目上といったのは、多くの新入社員があてにできそうなのは「金一封」や「寸志」(5~10万円)程度だから。まだ教育期間を終えたばかりで貢献度が低いことから、規定の満額を支給する会社はあまりありません。初年度夏のボーナスは「もらえればラッキー」なのだと考えてください。

 ボーナスの金額に関しては、会社の就業規則や労働契約で定められている場合もあれば、業績に応じて支給というケースもあります。そもそもボーナスは企業によって自由に定められる報酬なので、公務員に準じた年2回(夏・冬)支給が平均とはいえ、まったく支給されないところも、年4回に分けて支給されるところもあるのです。

20代のボーナスは前半と後半でこんなに差がある!

 さて、そんな新入社員も含めた20代の平均年間賞与額はどのぐらいでしょうか。賃金構造基本統計調査(2017年)を見ると、全年齢の平均は90万6千円となっています(ここからは夏・冬あわせたボーナス額なので、ご注意ください)。

20~24歳:37万4千円(男性40万7千円、女性33万7千円)
25~29歳:65万3千円(男性71万円、女性57万2千円)

 年間30万円近い支給額の差は、会社内での立場の差。20代前半はまだ先輩に仕事を教えられながら進めていく人がほとんど、後半になると逆に後輩を指導する立場になり、評価される場面が増えるためです。

20代でボーナス支給の多い産業、少ない産業は?

 厚生省の分類による15の産業種別で、20代から多くのボーナスをもらえるのは、どんな産業かを調べてみました。

[20代で多くのボーナスがもらえる産業]
<産業種/20代前半/20代後半>
金融業・保険業/43万円/102万円
製造業/62.6万円/98.9万円
鉱業、採石業、砂利採取業/55.1万円/95.5万円

 製造業や鉱業などで20代前半から多くのボーナスが支給されるのは、こうした産業では中学や高校を卒業して働いている人も多く、20代前半ではすでに十分貢献度が高いためと考えられます。逆に金融・保険業では業界で働く103万人のうち、大学・大学院卒業以上の人が68万人に上るため、20代前半と後半では年間60万円近い差になっています。

 では、20代のボーナスが比較的少ないのはどんな産業でしょうか

[20代であまりボーナスが期待できない産業]
<産業種/20代前半/20代後半>
宿泊業・飲食サービス業/17.7万円/30.3万円
生活関連サービス・娯楽業/16万円/33万円
他に分類されないサービス業/20.7万円/33万円

 これらの産業は20代だけが特別に低いというわけではなく、企業規模10~99人の中小企業が多く、ボーナス支給のないところも多いためです。ちなみに20代の年間賞与額を企業規模別にみると、

<規模/20代前半/20代後半>
10~99人/27.1万円/42.2万円
100~999人/36.6万円/60.4万円
1,000人以上/45.3万円/84.2万円

 明らかに企業規模に比例した格差が分かります。「寄らば大樹の陰」ということわざは、夏のボーナスのときにとりわけ身にしみますね。

<参考サイト>
・厚生労働省:平成29年賃金構造基本統計調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001098975&tclass2=000001098977&tclass3=000001098992&second2=1
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