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自らの「運命」は、総じて「嫌いなもの」の中にある

武士道の神髄(4)どんな仕事でも全力でやる

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
武士道的に生きるなら、目の前にある仕事には命懸けで体当たりするしかない。何事にも命懸けでぶつかる人間は、魅力的だ。人間の生き方を美学として磨き上げるのが「武士道」なのである。また「自分が好きなもの」は、「自分の運命」ではないことが多く、「好きなもの」をやるほど運命から外れる。才能がある分野は、その道の大変さがわかるから嫌いになる。だから嫌いだと思っていることの中に、自分の才能や運命が潜んでいる場合が多いのである。だからこそ、どんな仕事でも全力で当たらねばならない。(全10話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:46
収録日:2019/11/26
追加日:2020/02/07
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≪全文≫

●親の後を継ぎたがるのはダメな子供


―― もう一つ、うかがいたいのが「仕事」です。現代人にとっての運命ということを考えると、一つ仕事があります。

執行 今はみんな仕事をしていますからね。

―― 武士道的に生きるとき、仕事についてはどう捉えればいいでしょう。

執行 これはもう簡単で、どんな仕事でも本人に与えられている今日、目の前にある仕事に命懸けで体当たりすることです。それ以外、一切ありません。「与えられた仕事」に体当たりする。「仕事の価値がどうだ」などと言ってる人たちは全員、昔で言えば「女子供」です。屁理屈ばかり言っているということです。

―― 「この仕事は僕に向いていない」とか「こんな仕事やりたくない」とか。

執行 典型です。

―― 多いですね、そういう話も。

執行 今は多いです。だから、そういう人たちは全部、いつも自分の利益ばかり考えている。

 与えられたものに死ぬ覚悟でぶつかるのが『葉隠』の精神ですから。どんな仕事もそうで、僕は最初に造船所に勤めていましたが、ここでも命懸けでした。朝から晩まで命懸けで働き、いろいろな運命から造船所を辞めて、その後もいろいろなことがあって仕方なく今の研究をしたら、独立することになった。これは運命です。(運命が)出てきたからやっているだけで、与えられた仕事は全部、ぶつからなければダメです。どんな仕事でもそうです。命懸けでぶつかっている人間が、やはり魅力があるのです。

―― 魅力というところですね。

執行 そう。武士道とは「魅力」ですから。武士道は「美学」です。だから「魅力や美学はなくていい。俺は動物でいい」というなら武士道はもう要らないのです。人間の生き方というものを美学として磨き上げる。何が格好いいか(を大切にする)。それが西洋では騎士道であり、日本では武士道です。

 『葉隠』も、どうやれば格好いいかという話で、だから僕は小1で読んでも感応したのです。あれが哲学論なら感応しません。どんなに小さな子供でも何が格好いいかは多分、本能的に持っているのです。僕は小1で「こんなに格好いいものはない」と思い、「これで行こう」と決意しました。その決意が69歳でも全然ブレていないのは、それが本物だったということです、女の子は思わないかもしれませんが、男はやはり思うのです。

―― 「どんな仕事でも全力でやる」というのは、まさ...
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