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なぜ、あれほど「底抜けな明るさ」でいられたのか?

渡部昇一に学ぶ教養と明朗(1)「温かい家庭」という衝撃

概要・テキスト
渡部昇一先生の長男である渡部玄一氏(チェロ奏者)と、渡部昇一先生の著作を読み尽くしている著述家の執行草舟氏が、渡部昇一先生の思い出を語らいながら「教養」と「明朗なる人生」について考察を重ねていく珠玉の対談。渡部玄一氏が父の思い出をつづった書籍『明朗であれ』は、エッセイで重要な「上手に思い出す」ことができていて、非常に美しく温かみを感じると執行氏は言う。これに対して玄一氏は、亡父の底抜けな明るさの理由を考えたくて、「明朗である」という主題をつくり、思い出をまとめていったと語る。なお、この対談は、渡部昇一先生が膨大な蔵書を収めるために精魂込めて建築した書庫で行われた。(全10話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:42
収録日:2020/09/09
追加日:2020/10/09
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≪全文≫

●「上手に思い出すこと」は、実は非常に難しい


-― 皆様、こんにちは。本日は執行草舟さんと渡部玄一さんにご登場いただきまして、渡部昇一先生にまつわるお話で、「教養と明朗なる人生」というテーマでお話しいただこうと思っております。両先生、どうぞよろしくお願いいたします。

執行 よろしく。

渡部 よろしくお願いします。

―― 今日は、実は渡部昇一先生が建てられた書庫の中からの収録になっております。これは渡部昇一先生が相当な思いを込めておつくりになった建物(自宅兼書庫)ということですね。

渡部 そうですね。

―― いつ頃お建てになったんですか。

渡部 2008年ぐらいから、こちらに住み始めました。それ以前に住んでいた家もそこそこ広かったのですけれども、とにかく本があふれて階段まで山積み、一部床が抜けたりして、「もう、これはまずい」ということで(笑)。

 近くに父の散歩コースの公園がありまして、以前からその近くに住みたい気持ちがあったので、全精力を傾けて、いくらでも本が置ける大きな書庫という気持ちで、ここを建てたようです。

―― 拝見するだけでも「夢の建物」というか、夢の世界のようなところです。今、お話にも出ましたが、渡部玄一さんは渡部昇一先生のご長男で、チェロ奏者でいらっしゃいます。ご著書も、海竜社から『ワタナベ家のちょっと過剰な人びと』と、お亡くなりになったあとで発刊された『明朗であれ』を出しておられます。

 執行さんには今日、印象に残った渡部昇一先生の本をお持ちいただきました。ご紹介いただいてよろしいですか。

執行 昇一先生の本は、印象に残った本は言いだしたらきりがないので、とりあえず近くにあった何冊かを持ってきました。ここに来るにあたって前もって読んだのは、玄一さんが出したばかりの『明朗であれ』です。これが本当に名著ですね。素晴らしいです。

渡部 恐縮です。

執行 私はエッセイが好きで、たくさん読んでいますが、ものすごく温かい。これを読んで一番最初に思い出したのは、昇一先生の本も温かかったということです。大学生のときからずっと読んでいますが、昇一先生は学者なのに本からすごく温かみを感じた。遺伝体質といいますか、それをすごく感じました。

 今日のテーマである「教養」ということでいうと、私が一番重要視している思想があって、それは小林秀雄さんの有...
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