●「すべてを手に入れた」ときに感じる強烈な虚しさ
執行 戦後の日本人は、真実を知ることが重要です。自信をつけられない社会で自信を持とうとすると、本当におかしくなってしまいます。そこを今回の対談を見ている人には、注意してほしいです。
田村 やはり、松下幸之助さんや出光佐三さんの精神を引き継いでいく。それが日本人の生き方です。
執行 その一例として、先ほど、出光が出ました。
田村 そこから真のやる気が出てくるのです。
執行 真のやる気や自信が出てくる。だから自信とは、出たときは自信ではないのです。
田村 そうですよね。「無我夢中」という感じです。「そこへ向かうんだ」「それ以外やらない」という。
執行 かえって、先ほどから言っているように、苦悩や枯渇感です。自分の足らないところをもっと求める。求めるものが大きくなるわけですから、出てくるのは枯渇感です。それが真の自信です。だから自信が出たら、枯渇感が出てきて、苦悩が始まると思えばいいのです。
―― 傍からはすごく自信満々に見えるけれども、自分自身の中では……。
執行 枯渇感だということです。
―― 常にそういうものだ、ということですね。
執行 もっと上をめざすわけですから。
田村 「今のままではいけない」という前提ですね。「これをなんとかする」と思うのは枯渇感です。「それを埋める」という。
執行 今の若い人で、「いろいろと自信を失った」とか「自信を持ちたい」と言っている人に私はごまんと会いました。この時代ですから。でも、みんな、「いばりたい人」だけです。「自信を得たい」と言っている人は、いばりたい、格好つけたい。それで他人評価を気にしていて、人よりもいい思いしたい。そういう「くだらない思い」です。
そういう、くだらない思いを捨てたら、自信を持とうなんて思いません。自信なんて「バカ」が持つものです、歴史的には。だって、豊臣秀吉だってダメになったのです。そうでしょう?
田村 そうです(笑)。
執行 おかしいですか?
田村 全然、おかしくありません。
―― おっしゃるとおりだと思います。さらにもう一つ別のことをお聞きします。田村先生のお話で、「大義に向かって行動する精神が根付くと、そこからは大丈夫だ」というお話がありました。今までの話のなかでは、自分の道を見つけるということがありました。お...