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かつての大物たちはざっくばらんで、かわいくて、やんちゃ

人生のロゴス(8)忍ぶ恋とウィット

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
『人生のロゴス 私を創った言葉たち』(執行草舟著、実業之日本社)
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忍ぶ恋の本質には、まだ成長していない子どもの純愛のようなところがある。幼稚でも、やんちゃでもいい、変に大人びない純愛。あるいは、正しいことに命を懸け、恋すなわち無限の憧れに生きる。そういう純愛の世界に生きることが、忍ぶ恋につながるのである。さらに「ユーモアとウィット」についても考える。ユーモアとウィットがあれば、誰かを攻撃しても全然汚くない。日本人の大物も戦前はユーモアがあったが、これは文学を読んでいたからである。今の政治家は教養のない人たちばかりで、だから発言にもウィットがないのだ。(全14話中第8話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11:19
収録日:2023/03/29
追加日:2023/07/14
カテゴリー:
≪全文≫

●無限の憧れに向かって生きるのが日本人


―― 先生の話を聞いていて、〈恋の亡びた日本なぞ どっかへ行了(いっちま)へ〉も……。

執行 折口信夫ですね。

―― これも先生の生きざまですね。

執行 忍ぶ恋です。折口信夫は、(皆さん)知っていると思いますが日本の民俗学の権威で、一番の学者です。『現代襤褸(らんる)集』という詩集があり、その中にある「日本の恋」という詩に出てくる言葉です。

 折口信夫が生前に言っていたことで私が一番感動したのは、日本民族とは「全員がスサノオの子孫だという気持ちを持っていること」というものです。

―― みんなスサノオだと。

執行 日本とはスサノオで、スサノオの子孫だと思っている限り、日本人なのだと折口信夫が言っています。ではスサノオの本質とは何か。スサノオの本質とは、(前回お話しした)言った狂気です。狂気に生き、正しいと思うことに命を懸け、恋に生きること。恋とは憧れです。無限の憧れ。無限の憧れに向かって生きるのが日本人で、スサノオノミコトの命なのです。

 これを失ったら、もう日本は終わりだと。だから日本人は、折口信夫も言っていますが、西洋人に比べると「幼稚」なのです。これは民族性だと言っています。

―― 幼稚なのですね。

執行 もう昔からです。でも幼稚でいいと。やんちゃなのです。(日本人は)スサノオの子孫なのです。その代わり、変に大人びないで純愛です。まだ成長していない子どもの純愛。そういう純愛の世界に生きなければダメだと言っているのです。だから、私が提唱する「忍ぶ恋」につながるのです。

―― まさに忍ぶ恋そのものですからね。

執行 そう。〈恋の亡びた日本なぞ どっかへ行了へ〉。もう日本ではないということです。だから、今みたいにコンプライアンスだの、くだらない英知や生き方の知恵みたいなことを言い出したら、日本人は世界の孤児になるとも言っています。

 大体コンプライアンスや法律というのは西洋のものです。日本人に、こんなものは合いません。日本人は義理人情、親のためなら死ぬ、親の苦労のためなら自分が身代わりになる、そういう生き方です。それをここで「恋」と言っているのです。

 だから、深めていけば恩義であり、義理であり、義理人情です。法律なんか関係ない。天皇を中心として、目上の者を崇拝して家制度の中に生きるということです。

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